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当然の報い


『それで、ハルちゃんはどうしたいわけ?』

「だから、それが分からないから長瀬さんに相談をしているんだよ」


 長瀬 凛は明らかに機嫌が悪かった。

 すごぶる悪かった。

 起原は言わずとも知れたさきのハルト怒髪衝天事件。

 それしか思い当たる節はない。

 

『そうだね。ハルちゃんがまるでウイルスに乗っ取られてコントロール不能へ陥るみたいな事にならなければ、最悪のエンディングは表示されなかったかもしれない。本軍っておもいっきりシャセキの伏兵を滅多打ちにした影響だよね? これって蜂の巣つついたのと同じことだよ。だから慎重に事を運ばなければ駄目だよって注意したのに。全部台無しじゃん』

「…………はい」


 冷静に捲し立てる凛のお説教、ハルトは耳が痛い。

 

 こうなった原因は、ヴァン公爵の本陣跡へ向かっている途中、一人て抱える問題じゃないと判断し恐る恐る凛へエンディングの事を説明し助言を仰いだのだ。

 結果は見ての通り戦々恐々、蛇に睨まれた蛙。


『ねえ、聞いてる? 勿論聞いているよね? まさか聞き流してないよね? ねえねえ?』

「聞いてます。はい…………」


 女を怒らすと怖い。

 母親に負けじと劣らずの驚異がここにあった。


『だいたいハルちゃんはいつもいつも、肝心な時に暴走して皆に迷惑をかけるんだから――――――』


 こうなると凛は暴走列車の様にノンストップ。

 親でも神でも止める手立てはないのだ。 

 それに向こうが正論をぶつけてきているので、言い訳しても見苦しいだけ。

 ならばハルトの出来る事はこのまま何事もなく嵐が鎮まるのをスマホ越しに祈るのみである。


 居た堪れず受話器を離すと、聞こえる水の音。

 視線を向けると、水面みなもにアメンボが静かに踊っていた。


 あれから暫く進路を進め池に着いたヴァージニア一行は休憩に入る。

 これからの事態に備えてナポレオンに水を飲ませる為、一息つくことにしたのだ。

 透明な湧き水なので底もクリアに視認する事が可能。


 天然の水鏡にはボコボコに腫れ上がった自分の顔が写し出されていた。

 その凄惨さに思わず顔をしかめる。

 これも身から出た錆、自業自得、本末転倒、失敗者をなじる言葉なら幾らでも湧いてくる。

 コックピットから出た矢先、小さき少女から繰り出す右のストレート、左のボディーブロー、ここから先は意識が飛んで覚えてない。

 それで気が付いたらここで大の字に倒れていた。

 道理で顔が痛いはずだと頬を擦る。


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