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一人より二人

昨日更新出来なかった分です。

 

『お前の言っていることは相変わらず解読不能だが、言いたいことはなんとなく分かるだっちゃ』

「おお、理解不能から進歩した」

『はいはい』


 曲がりながらも分かってくれて素直に喜ぶハルト。

 しかし、この時同意してくれたのは、実は彼女の皮肉。

 それが判明したのは結構先の事だ。

 

 太陽が多少傾き始め、西日の色が果汁を絞ったグレープフルーツみたいに濃くなってくる。

 ならば葡萄入れたら黒くなるのか、誰しも一度体験しているファミレスでアルティメットマイドリンクを錬成した世代は試したくなるのではなかろうか。

 人間のくだらない探求心、誠に存在するなら神も興味は尽きない筈。


「でも、ヴァージニアさん」

『うん?』

「張り切るのは良いけど、肝心のヴァン公爵が何処にいるのか分かっているの?」

『馬鹿だっちゃ。それが分かればとっくに行動へ移している』 

「………………」

 

 やはりまだその段階かと、ハルトは一人げんなりした。

 ヴァージニアは自他ともに認めるパーフェクト脳筋。

 頭より先に体が動くのは長所であり短所、それは今までの騒動で十分骨身に染みていた。

 ちなみにハルトもこのカテゴリーの所属なのだが、あれだけの事を仕出かして未だに自覚していない。


『偽者はヴァン公爵かキーだって言っていただっちゃよね?』

「そうだね」


 ただ、ハルト的には男爵の言い方が引っ掛かっていた。

 何故、あの場面でどうとでも取れる言い方をしたのだろうと。

 だが、まだ判断材料が少なくて、正解を導き出すことは叶わなかった。


『何か手掛かりがあれば良いのだけれど』

「じゃ、取り敢えず議論してみますか?」

『小難しい事は苦手だっちゃ…………』


 ヴァージニアのトーンがフォルテからメゾフォルテへランクダウンするぐらい嫌そうに沈む。

 ハルト好みな魅惑のアニメ声が台無しだ。


「皆を説得してこの戦いをやめてもらうには公爵が頼りだ。兵力がない今、勝ち目がない。何処で何をしていたのか分かれば判断しやすいのだけど?」

『ううう? 容赦ないだっちゃね』

「一人より二人で考えた方が、良い答えを導き出せる」


 これは世界屈指のハードゲーム攻略で凛と協力した時、ソロの限界を感じた瞬間に嫌でも思い知らされた時の教訓。

  

 全てはゼロになった。

 ヴァージニアは師匠に続き家族まで失う。

 残ったのは騎士道と仲間達の想いのみ。

 ハルトは戦友としてヴァージニアをこの戦争から生き延びさせると改めて心に決めた。


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