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ハルトの違和感

 

『我ながら中々上手く言ったものだっちゃね。いつ情報が漏れるか分からない状況下、何とも明言出来ない今、最高の答え方だと思う』


 そう、ヴァージニアは自身のスピーチを採点すると満足そうに独りごちた。


「…………ヴァージニアさん、何かおかしくない?」

『何なんだっちゃ唐突に』


 満足な雄弁に援護や後押しをしてくれないからなのか、本体は不満の声をあげる。


 先程からハルトには違和感があった。

 いや、ここは困惑していると言った方がいいのだろうか。

 

「こんなものなのかな?」

『だから、何がだっちゃ?』


 しつこいナンパでおざなりとなっているかのように、とても横柄に答えるヴァージニア。

 彼女はテーマが不明瞭の案件を嫌う。


「シュレリア男爵の事だよ。王国最強騎士だもん、凄い強いだろうと用心して準備してきたのに、逆に僕らが圧倒している気がする」


 アクションストーリーの法則だと物語が進む度に敵の強さも跳ね上がるのがセオリーであり、ゲームだと難易度が上がるのが常識。


 だが、ステージボスにしては前回のボス、バクリュウキョウに比べると全く大した事はない。

 ゴブリンが束で相手した方が手応えがあったぐらいだ。

 だから腑に落ちない。


『簡単な事、バクリュウキョウが強すぎたんだっちゃよ。それなら師匠が抵抗できず殺されたのも理由が付く』

「でも、その論だとバクリュウキョウに勝った僕達が、シュレリア男爵を実力で凌駕している事になるよ」

『ハルト=即ち私最強とか?』

「有り得ないよ」


 ハルトは軽く首を横へ振る。

 バクリュウキョウ最強説は色々と魅惑的だったが、異世界無双のライトノベルじゃあるまいし、そんな都合の良い事があるわけがないと懐疑的。

 結果、現実としてハルトはあからさまな罠と勘ぐっていた。


『なら、本人に聞いてみるのが手っ取り早い』

「一体何をするつも――」


 ヴァージニアはこれ以上余計な事をして欲しくはないと思ってるハルトの声を遮って、『偽者、何で本気を出さないんだっちゃ? お前は別として乗っ取った父様の王国最強と謳われた戦闘技術を持ってすれば、私はとても手も足も出ない。それとも何かを狙っているのか?』一見、挑発ともとれる語り方で淡々と問い掛ける。


 もしこれが本当に駆け引きだったら、終始相手の思う壺だろう。


『………………』


 しかし、男爵は何も答えなかった。

 人形の如く口をつぐんでいる。

 ハルトとシュレリア男爵は敵同士、もう、話すつもりは無いのだろうとハルトはそう解釈した。


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