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好きは才能を凌駕する


『お前は本当にあのヴァージニアなのか?』

『ニセ者に驚かれても全然嬉しくはないだっちゃ』


 また、ヴァージニアは何事もなかったように立ち上がる。

 アンデッドか機械のように。

 実際はダウンしてもゲームシステムの仕様で一定時間が過ぎれば自動的に起き上がるのだ。

 これが不自然で異様に映るのだろうか。


 だが、その驚きも至極当然であろうか。

 当事者のヴァージニアでさえ内心は驚きの連続なのだから。

 親子として今まで共に暮らしてきたが、王国強者の武人に手合わせで剣を当てるどころか触る事も出来なかったのだ。

 幾ら努力して研鑽を積んでも、隙だらけでとても武術と呼べる代物じゃない。

 私では生涯この域に到達は無理だ。

 そう、ハルトに心情を独白すると、


「じゃ、今までのその千倍努力すれば良いだけじゃん」

『あ゛』


 気遣いゼロの相方へ如何にも不機嫌そうに眉を吊り上げるヴァージニア。

 才能のある奴に何が分かると言いたげだったが、その言葉を急ブレーキをかけて飲み込む。


 何時ものおちゃらけたお気楽星人にしては珍しく、真面目な顔をしていたからだ。


「神様はいつだって不公平だ。大好きな事に関してはけして才能を与えてくれない。ゲームに関してだって才能があるとは僕は思ってないよ。昔は圧倒的超ザコだったんだ」

『こんなに私の操作が上手いのにか?』

「僕の国ではこんな言葉がある。『好きは上手の近道』何千回もただ上手くなるまで反復練習を繰り返していたんだよ」


 ハルトは腕も不器用、頭の回転も遅い、一時的記憶力と判断力も絶望的。

 特にアクション系に必須の能力が元々備わってなかった。

 しかし、あるゲームに出会いハマる。

 それがロボット操作系だ。

 しかもたまたま好きなアニメキャラがコラボしていたのが切っ掛け。


 それが今ではeスポーツ界からもスカウトが来る程の売れっ子になる。

 そう考えると人間とは不思議なものだ。

 

『変態が言うと嘘臭いだっちゃよ』

「なら僕が何時も唱えている呪文をヴァージニアさんにも伝授しよう」

『やはり何か才能があるんだな?』


 男爵には聞こえないように呟く。


「好きは才能を凌駕する」


『………………』

「これを唱えまくってたらいつの間にか、世界レベルになってたよ」

 

 お陰で常に所持金ゼロとは言わなかったが。

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