表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/264

ゴッドキャンセラー


『愚か者め、そのまま沼へ落ちるがいいわ』

「――なんのなんの。こんなのは仕送りをゲームに使いきって20日凌いだ時に比べたら屁だよ。屁のかっぱ。モヤシは偉大」


 そう人間のクズな体験談を自慢げに誇ると、ゲーマーは軽口を体現するかのように、ヴァージニアを巧みに操作。

 丘から転げ落ちる前に点在していた岩を人並み外れた握力で掴み、『何だと!?』反動を利用して体操の鞍馬みたいに反転した。


「よし、無事着地」


 何事もないように地面に足を着く。

 それどころか、ヒロインのダメージゲージは全く減ってない。

  ぴんぴんしていた。


『…………変態、何で私は何ともないんだっちゃ?』 


 相棒へ身を委ねて受けきった当事者も呆然、面食らっている。

 

「聞きたいの?」

『……いや、止めておくだっちゃ。頭から煙が出る』


 ヴァージニアの判断は正解。

 その答えは常識を逸していたからだ。


 操縦席に備わっているヴァニシングライダーのメイン機能、『ギアシステム』は車と同じギアチェンジで身体能力を底上げする。

 強敵バクリュウキョウにもサードギアまで引き上げてとどめに使用した。

 ゲーム『ヴァニシングライダー』を熟知していたハルトは、今回更に難度の高い裏技にチャレンジしている。

 実は性能が変わる主力ギアを上げたり下げたりすると、一瞬だが無敵時間が生じるのだ。


 ファースト→セカンドorセカンド→ファーストのように。


 刹那的タイミングなので一般ゲーマーでは狙って出来る事ではないが、しかしながら、天才ゲーマーゴッドハルトはこのカテゴリーに入らない。

 ギア使用時間を逆算、ゲームのヴァニシングライダーのシステムさえも巧みに自在に操る。

 変態またはクレイジーという畏敬の念で呼ばれるのは伊達じゃなかった。

 身に付けた理由はお金がないのでチートスキルが買えないという何とも貧乏学生らしいお話。

 ならばと命懸け、特になけなしの資金を費やしシステムを全て把握後、最強の攻略法はないのかと編み出したのがこの神業だったのだ。

 今ではSSS級難度『ゴッドキャンセラー』として世界中のゲーマーやeスポーツ界に知られている。


『今の私にそんな攻撃は効かないっちゃよ』

「ヴァージニアさんいいよ、ドンドンプレッシャーを与えて」


 ハルトの指示でヴァージニアは男爵の動揺を煽った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=263323178&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ