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陣形は動く城なり


「それになんなんだちゃ。あの奇妙な兵の配置の仕方は?」

「恐らくあれは中華から伝来した陣形、八陣が一つ鶴翼だよ。僕の世界では大陸から伝わって戦国時代でも多用されていたんだ。国によって姿は違うけど、これは典型的過ぎて逆に気味が悪い」

「言っている事の殆んどが理解できないけど、凄い事は分かったっちゃ」


 日本に伝わった八陣は確たる資料が不足していて、秀吉の天下になるまで陣立ては大名家によって解釈が違う為にまちまちであった。

 三国志の軍師孔明や春秋戦国時代の名将呉起が活用した記述は残っているが、資料が限られているので、初期の配置なのか合戦時の展開後の状態なのか未だに解明されてない。

 なので鶴翼と言っても甲陽軍鑑が日の本の戦術の全てでもないので、確たる形は存在していなかった。

 ちなみに曹仁の八門金鎖とか、上杉謙信の車懸りとか、知名度のある陣形は難易度が高い分、本当に使われたのかどうか伝説の域を出ていない。


 でも、これってゲームで散々やったあの陣形だよねと、ハルトは頭を捻る。

 そう、そこにあったのは戦国シミュレーションゲームで必ず登場する模範的なビクトリー隊形。

 戦国の資料に記載されていた複雑な陣容ではない。

 

「魔族って本能で動いているイメージがあるけど、こんなに統制がとれているなんて、知能は高いんだね」

「確かに。王国はこんな高度な陣形は組めない。王国は横三列が基本だっちゃ。あのような奇妙な陣形は見たことも聞いたこともない」

「でも、これは変だよ。実際はその地形に合わせて臨機応変なんだ。もっと複雑なものも存在するけど、包囲が目的ならこれはあからさまだ」


 現実でも横一列に並ぶのが西洋の基本陣形。

 ローマ帝国時代からフランク王国を経てそのまま受け継いでいる。

 逆に言うとそこから陣形は進化していなかった。

 その事からこの異世界でも同じ過程を経ているとハルトは推測。

 中世西洋異世界――即ち西洋ファンタジーのカテゴリーに分類されると仮説を立てていた。


「ひゃああ、凄い洗練されているだっちゃねぇ」

「いやいや、感心している場合じゃないよ! そんな事よりヴァージニアさんのお父さんに知らせないと」


 ヴァージニアは長考後、「………………はっ!? しまった。呆気に取られて、事の重大さに反応出来なかったっちゃあああ!」容量オーバーでゼンマイブリキ人形のようにカクカクになった。

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