最終話 これからも
「貴様! アレスト教の! 私の結界を破るだと!?」
「断絶結界なんて中々高度な術を使うのね。私でも使えないわよ。まあ、私は結界破壊の方が得意だから壊す事は出来たけどね」
窮地に追い込まれた状況で、イリーナそしてリリスが救出にやってきた。
「さ、早く行くわよリスト。その女に止めを刺している時間はないわ」
「あ、ああ」
俺はミリアを担いで逃げ始める。
リリスもイリーナを担いで、その場から逃げ始めた。
「待て!」
ミエは再び断絶結界を張るが、範囲外に出たため、事なきをえた。
「どうしてここが分かった」
走りながら、イリーナに尋ねる。
「ロブの守護騎士としての特殊スキルは、探査系なのよ。彼があなたの居場所を突き止めて、私たちが救助しに来たってわけ」
ロブにそんな能力があったのか。知らなかった。
「とにかくすぐ逃げるわよ。ほかの守護騎士と聖女に見つかれば、厄介だからね」
それからは無駄口を叩かず、一心不乱に逃げ続けた。
そして建物から出る。
魔法陣が地面に書いてあった。
「あれに乗って。大聖堂へ帰還できるわ」
「分かった」
俺は魔法陣に乗る。
イリーナが何か唱えると、魔法陣が強い光を放ち、俺たちは大聖堂へと転送された。
一時はどうなるかと思ったが、何とかミリアの守護騎士を辞めることなく、逃げ切ることに成功した。
○
「あの、リストさん」
大聖堂に帰り、一息ついてたとき、ミリアが不安げな表情で話しかけてきた。
「どうした? もう危機は去ったぞ。何でそんなに暗い表情をしているんだ?」
俺は尋ねる。
ミリアはしばらく黙って、
「リストさん……私、本当にリストさんと一緒にいていいのでしょうか? あの時、守護騎士を辞めていたほうが、リストさんにとってはいい事だったのではないでしょうか?」
「何だ。そんな事を考えていたのか」
俺はミリアの頭に手を乗せて、軽く撫でる。
「いい事に決まっているさ」
「でも……これからも、私を守るために危険な目に遭うかもしれないじゃないですよ」
「俺は元から危険な生き方をしていた男だ。あんまり変わらねーよ。それに危険だったとしても、もうどうしようもねーさ」
ミリアは首を傾げ、
「何がどうしようもないんですか?」
と尋ねてきた。
「ミリアを失いたくないと思ったってことだ。仮にどんな危険でも、お前を傷つけようとしてくる奴や、奪おうとしてくる奴は命を賭けてでも守る。ミリアが俺が邪魔になってやめろと命令でもしない限り、死ぬまでお前を俺は守る」
「……リストさん」
ミリアは感極まったのか、目から涙を流す。
彼女は涙を拭い、微笑みながら、
「邪魔なんてとんでもないです。これから一生わたしといてください。約束ですよ」
そう言った。
「ああ約束だ」
俺は力強く、返事をした。
これからどんな困難があっても、このミリアを守りたいという強い気持ちがあれば、乗り越えられる。俺はそう感じた。
完結しました! ここまで読んでくださった読者の方々、本当にありがとうございます!
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