表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/37

33話 ギャレク教

 俺が転送されたのは、薄暗く陰気な場所だった。


 それなりに広い部屋で、窓がないため、太陽の光一切入ってきていない。ランタンがいくつか壁にかけられており、それだけが部屋を照らしていた。


 周りに黒いローブを着た者が、複数いる。


「持ってきなさい」


 ミエはその者たちに命令をした。すぐさま動き出し、しばらくして緑の液体が入った瓶を持ってくる。


「これが何かわかる?」

「分からん」

「なら教えてあげる。守護騎士は死ななければ、守護騎士を止めることが出来ないと言われているが、この液体『解任液』を飲んだ後、自分の口から守護騎士を止めると言えば、守護騎士を止めることができる」

「……俺を守護騎士からやめさせたいのか?」

「そう。あなたはその子の守護騎士には相応しくない」

「どういうことだ」

「詳しく知る必要はないわ。ただ、忠義の聖女は、通常の聖女とは違い特別だってことは言っておく。あなたなんかが守護騎士になるのは、大きな問題がある」


 癪に触る言い方である。


 しかし妙である。そんなに俺を守護騎士からやめさせたいのなら、ここで殺せばいい。

 ミリアを人質に取られ、手足を完全に縛られた状態では、抵抗など出来るわけもない。


「なぜ殺さないか不思議? それが我々ギャレク教の教えだからよ。いかなる理由があろうと、人を殺めてはいけない。だから殺せない」


 やはりこいつらはギャレク教の奴らか。

 まあ、分かっていたことではあったがな。


「……それじゃあ、ミリアの首にかけている剣はこけおどしか?」

「そう。まあ、彼女は教えがあろうとなかろうと、殺すことは不可能。痛い目に遭わせるのもやめておきたい」


 虚仮威しだろうと、すでに拘束された時点で、もやは反撃することはできない。


「それで、あなたには彼女と一緒にいる資格がないわ。だからこれを飲んで、守護騎士をやめると言って欲しい」

「誰が聞くかそんなこと。俺の何がミリアに相応しくないというんだ」

「単純に力量、知恵、品格、どれを持ってもあなたは平凡。彼女のような特別な聖女には、特別な人間が守護騎士にならないといけない。あなたごときでは不適格」


 好き放題言いやがって。

 しかし自分が特別な人間でないことは百も承知しているので、言い返すことは出来ない。

 所詮守護騎士の力がなければ、俺などどこにでもいる平凡な冒険者に過ぎないのだ。


「とりあえず三日待つ。その時にポーションを渡すから、その時、飲む気になってなければ、殺せはしないけど拷問をする。守護騎士はそう簡単には死なないから、多少厳しい拷問でも、耐えられる。地獄を見ることになる」


 拷問。

 その言葉に背筋が震える。

 密偵をやっていたわけではない俺は、拷問を食らった経験など当然のごとくない。

 手足を動かせない状態だと、甘んじて受けるしかないだろう。


「さて三日間牢に閉じ込めておく。三日やるからゆっくり考えることだ。どうするのが最善の道かをな」


 ミエの指示にしたがって、黒いローブの者たちが、俺とミリアを牢に運び、閉じ込めた。 



【読書の皆様へのお願い】


下にスクロールすると、ポイント評価を付ける項目があります。

PC、iPad等でお読みの方は、黄色い枠で囲まれたところから、スマホでお読みの方は『ポイント評価』の項目をタップして評価に進めるようになっております。


作品を見て面白いと思われた方、続きが気になると思われた方、大変お手数をおかけしますが、評価をぜひよろしくお願いします。


次回更新は今月二十一日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓ブログ始めました! オリジナル作品を掲載していますので、ぜひ訪れて読んでみて下さい!
WEB小説ニュース!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ