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27話 出発

「隣町で、最近エルシーダ会の手下連中、あの黒い鎧の連中のことね。奴らが、町の女性たちを連れ去っている事件が多発しているらしいわ。これを止めに行く」


 イリーナが仕事の説明を始めた。

 場には俺とミリア、イリーナとリリナ、それからトリシャとロブもいる。


 俺は話を聞いて、妙だと思った。

 多発していると言ったが、バレる可能性が高いだろうにそんな無茶なことするだろうか。


 もう少し慎重に行動するのが普通なのでは?


 よっぽど欲しいものがあるのだろうか。

 もしくは、


「罠か何かの可能性はないか?」


 俺たちをおびき寄せる罠である可能性もある。

 連中は仲間を増やしたがっているのだとすれば、何人かの聖女と守護騎士を大聖堂から出したいはずだ。

 この大聖堂に攻めるのは、相手にとってリスクが高すぎる行動だろうからな。


「罠である可能性は非常に高いわね。手下どもが隣町で活動を開始したのは、数日前。それで大勢の女性が拐われる事件が多発している。よっぽど頻繁にやっているんだわ。私たちをおびき寄せるために、そこまでやっていると考えても何も不自然ではない」

「なら行くのはやめるべきではないのか?」

「それは出来ないわね。万が一連中が聖女球を持っているのなら、みすみす堕落の聖女を一人増やしてしまうことになるからね」


 聖女球ってのは、前に聞いたが聖女を作るための球らしいが、どういうものなのだろうか。


「聖女球は、適合する女性に当てることで聖女の力をその女性に与えるわ。適合しないものにそれをやると、死んでしまう。私たちは適正を事前に測る道具を所持しているので、殺すなんてことはありえないけど、連中にそんなものはないから、片っ端から女性をさらって試しているという可能性もある」

「仮に聖女球とやらを持っていたら、拐われた女性は全て、殺されているということか?」

「適合しなかったらね」


 ひどい話だ。


「まあでも、連中は聖女球なんて持っていないと思うわ。そこら辺に転がっているものじゃないからね。仮に持っているとしても、普通はバレないようにやるものよ。でも百パーセント違うとも言い切れないわ。だから罠の可能性が高いと分かっていても行かざるを得ないの」


 確かに罠でなかったら、行かないのは非常にまずいと言わざるを得ない。新たな敵が誕生するし、何より大勢の女性が殺されるのを見殺しにすることになるわけだからな。


 ただまあ、道中に罠が仕掛けてある可能性が高いというのは、不安ではある。


「罠があった場合は、対処すればいいだけの話だわ。リリナはそういうのが得意なのよ。安心しなさい」


 俺の不安を感じ取ったのか、イリーナがそう言った。


「じゃあ今すぐ準備を始めて、今日中に出発するわよ」


 今日中とは随分と急であるが、緊急事態ではあるので仕方ないか。


 俺たちは準備を終わらせ、隣町へと出発した。


次は来月二日に更新します。

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