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19話 エルシーダ会

 潔白が証明された俺たちだが、すぐに解放されることはなかった。


「俺たちは解放されないのか?」

「ギャレク教に関わっていなかったとはいえ、不自然なところが多いのは変わりません。まあ、ギャレク教と疑い手荒な真似をしてしまったのは、謝りましょう。他宗教にも寛容な我々ですが、ギャレク教は問題行動を起こし続けている要注意である新興宗教なので、その対策を取るため、少々過剰になりすぎていたようです」


 よく分からないが、宗教も色々あって大変だなぁ、と子供みたいな感想を頭に思い浮かべた。


「もう少しあなたの境遇について詳しく話していただけませんか?」

「もっと詳しくと言っても……。師匠からミリアを預かってくれとお願いされて、それで黒い鎧の連中に襲われて殺されそうになったところで、守護騎士に任命されて生き返って。……で、それから、ミリアは幼いから詳しいことは知らないし、俺も宗教的知識はゼロだから、黒い鎧の連中の正体だけでも知っておこうと思って、この大聖堂に来たわけだが……」


 俺は詳しく自身の事情を語った。

 一応真実球は触ったままだ。


「ふむ、その師匠の名は何ですか?」

「メダロス・バルボーダだ」

「聞いたことのない名ですね」


 エメルテアは顎に手を当てて、考え込む。


「何か我々にも分からない事情があるのかもしれませんね」


 そう結論を出した。


「どちらにしろあなたたちをこのまま帰すわけにはいきません。というより帰すと危険です」

「危険?」

「あなたがたは、エルシーダ会の連中に襲われたのでしょう?」

「何だそれは」

「エルシーダという名の女を中心とした、堕落の聖女の組織ですよ。奴らは、聖女の力を持つものを堕落させ、仲間を増やすという目的で動いています。聖女の力を持つものを判別する何らかの方法を持っており、すでに数十名堕落の聖女がおります。組織の規模は、その数十名の堕落の聖女と、魅了の魔法で操った男どもが数千人おり、非常に強大です」


 仲間を増やしたいから、奴らは活動しているのか。


「堕落させるためには、聖女に危害を加えなければいけないんだろ? それで仲間になるのか?」

「普通ならそう思いますよね。しかし、堕落した聖女は精神が狂い、堕落した原因を作った行為を自分を解放してくれた行為と捉え、恨むどころかむしろ感謝するようになるのです」


 ……狂っちまうのか。

 あのメーリスも、そう考えるとかなり可哀想な境遇にあると見ていいかもな。


「それで、そのエルシーダ会から、お前らが俺を守るとでもいうのか?」

「信用できないでしょうが、そうです」

「……」


 はっきり言って信用できないが、この連中から逃げ出すのは非常に困難だ。

 帰す気がないというのなら、俺は何か隙を見つけるまで、ここにいるしかないようだ。


「まだ話は途中なんですが、今日はもう遅いので寝ましょうか。明日になったらイリーナさんから、もう少し詳しい話を聞いてください」

「俺たちもここで寝るのか」

「ええ、ここは大きいので空いてる部屋はいくらでもあります。そこをご利用ください」


 今日は大聖堂に泊まることになった。



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