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16話 受難の日

 俺はメーリスとの戦闘を終えたあと、部屋に戻った。


「リストさん……何かあったんですか? 血が……」


 外の騒ぎのせいで眠っていたミリアが起きてしまったようだ。

 返り血を浴びた俺を見て、不安な表情を浮かべている。


「大丈夫だ。問題ないから心配するな。これも俺の血じゃない」


 なるべく安心させるよう微笑みながら言った。


「そ、そうですか……」


 俺の血ではないと知って、少しは安心したようだが、それでもまだミリアの不安は完全には晴れていないようだ。


 内心安心はできない。


 一旦逃亡していったが、もう一度来るみたいなことを言っていた。

 しかも、次は仲間を連れて来るらしい。

 おそらく別の堕落の聖女だろう。


 二人も来られると、はっきり言って苦しい。

 そう簡単に倒すことは出来ない。


 それにしてもあいつら俺の居場所をどうやって突き止めているんだ。

 偶然か?

 それとも聖女か守護騎士を探知する術でも、持っているのか?


 分からない。

 とりあえず今わかっていることは、連中につけ狙われることになった俺とミリアは、非常に危険な状態であるということだ。


 どうにかしなくてはな。


 今より強くなって、確実に倒せるようになるか、連中からなんとか逃げ切るか。


 強くなると言ってもそう簡単ではない。

 ならば逃げ切るしかないか。

 急いでこの町を出ることにしよう。


「なんだなんだ」

「うわ! 人が死んでる!」


 外がザワザワと騒がしくなってきた。


 騒ぎを聞きつけて、人が集まって来たみたいだ。


 まずいな。そのうち町の警備兵がやってくるかもしれない。


 そうなったら面倒だ。

 早いうちにここから出ないといけない。


 ついでにラーノイスからも出よう。

 あいつらに居場所を掴まれているのでは、同じ場所に長くとどまるのは、下策だ。


「ミリア、今すぐ宿を出なくてはいけなくなったが大丈夫か?」

「え? ね、眠いです」

「我慢できないか?」

「……が、がんばれば……できます」

「そうか出来るか。じゃあ、今すぐ準備するぞ」


 俺は荷物をまとめる。


 そしてミリアと手を繋ぎ、急いで宿を出た。

 金は泊まったとき払っているから、大丈夫だ。

 十日分払ったから、いくらか損をするが仕方がない。

 宿にいた人から、怪しまれ引き止められたが、俺は無視した。


 そして暗い夜道を歩いていると、


「止まりたまえ」


 後ろから男の声が聞こえて来た。

 無視して先に進もうとすると、前にも誰かいる。


 二人の女だ。

 一人は白い重鎧を身につけている、金色ロングヘアの女だ。

 もう一人は長身の黒髪の女で、ミリアと同じくシスターのような格好をしている。


 後ろを確認すると、二人の男女が。

 一人は茶髪の長身の男。こいつも白い重鎧を身につけている。

 もう一人は、眼鏡をかけた小柄な女。髪は、緑のショートヘアだ。格好はシスターのような格好をしている。



「ちょっと同行願えないかしら」


 黒髪のシスターの格好をした女がそう言ってきた。


 何だこいつらは、メーリスの仲間ではないな。

 完全に挟まれてしまった。


「誰だお前ら」

「来てくれるなら、答えてあげるわ」

「行かないと言ったらどうする」

「力尽くで連れて行くわ」


 やれやれ今日は色んなやつらに狙われる日だ。

 受難の日だな。


「断る」


 俺がそう言った直後、相手が戦闘態勢を取ったので、俺もそれに応じて剣を抜いた。




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