「89話」
ブレスが目前まで迫りやばいと思った俺は咄嗟に盾と腕で顔面をガードする。
果たしてあのブレスを俺は耐えられるのだろうか……。
「げぶぉっ!?」
なんて考えてたら腹に凄まじい衝撃がきた。
俺は盛大に吹っ飛ばされ、地面を転がり100mほど行ったところでようやく止まることが出来た。
「ゲッホ! ゲホッ……タ、タマさんありがと……」
少し咳き込み……顔を上げてタマさんに礼を言う。
お腹への衝撃はタマさんが突っ込んできたことによるものだ、あのままだと確実にブレスをくらう……そう判断したタマさんが助けてくれたのである。
お腹めちゃくちゃ痛いけどブレス食らうことに比べたらずっとましと言うものである……でも痛い。
なにせ重さ20キロぐらいの物体が時速うん百キロって速度でお腹に突っ込んできたんだもん、そりゃ痛いわ。
てかよく生きてるな俺!
「何ぼけーっとしてるニャ」
タマさんちょっと怒ってらっしゃる。
……実際ブレス食らいそうになったのは油断もあったしね。 タマさんおらんかったらかなりやばかったと思う。 反省。
「いや、まさか初手からブレスと思わなくて……って、またきた!」
このくそ鉄竜めっ話してるんだから空気読んでよっ!
でもタマさんが俺を抱えたままブレス回避してくれたので、ちょっと幸せに気分になれた。 空気読まなかったのは許してやる!
「そりゃ遠距離攻撃の手段有るのに、わざわざ相手が近付くの待たないニャ」
「ごもっともです……」
呆れた感じで俺にそう話すタマさん……まあそうですよねー。 遠距離攻撃する手段あるなら普通そうするよね。
俺みたいに近距離~中距離の攻撃手段しか無い相手なら一方的に攻撃できる訳だし……近付けば別だけど近付くまでにダメージ与えられるかもだしさ。
うーむ……どうしよ。
タマさんに抱えられて回避し続けてる今も鉄竜はブレスがんがん吐きまくってくる。
このままだといずれ足場が無くなるよなあ……なんか鉄竜のブレスだけどね、火だけじゃなさそうなんだよね。 なんかべちゃあって液体ぽいのも一緒に飛ばしてるんだ。
それがふれた部分は何時までも赤熱してる感じで……ゴリさんよく無事だったなと思ふ。
「うーむ」
いやー、どうしよ。
俺にも遠距離攻撃手段があれば別だけど、そうじゃないとこれきっついよね。
うーんうーん……うーん?
「遠距離……そうか遠距離攻撃!」
「ニャ?」
良いこと思いついたで!
「タマさんこっちも遠距離攻撃すれば良いんだよっ」
そう言って俺はある植物の実?を作り始める。
爆発するように種を飛ばす……俺の記憶の中に薄らとではあるがそんな植物があると残っていたのだ。
それをより強力に、飛ばす方向を指定できる様にすればお手軽に遠距離攻撃出来るってすんぽうである。 ふふふ。
「変わった実だニャー? これが飛んでくのかニャー」
まあ見た目は変わってるよね。
アレンジしてあるから元の形状とは異なってるんだろうけど……うーん、若干カボチャっぽい?
あ、今度カボチャ食べようかな? サツマイモも良いよね。
っと、話がそれた。
まあとにかく遠距離攻撃手段を得たと言うわけです。
なのでー。
「そゆこと……吹っ飛べ!」
死ぬが良い。
腕を構えて鉄竜に向けて種を全部ぶっ放す。
爆発音と凄まじい衝撃が全身を襲う。
種は凄まじい勢いで鉄竜へと向かっていくが、俺も同時に後方へとすっ飛ばされていた。
てか腕がまじで痛い。
さっきのタマさんアタックの比じゃないぐらい痛い!
これ腕もげたんじゃね??ってレベルで痛いぞう!
全部一気にぶっ放したのは失敗だった……まさかここまで衝撃がでかいとは思わなかった……腕折れてそうだな。
腕折れてるというか……。
「っ……う、腕……無いっ!??」
腕もげたっ!??
えっえっえええええぇぇ!?
まじでもげた!? 肩から先が無い!どどどど、どういうことなの!?
「腕とれたニャ」
てかタマさん冷静ね!? 俺のもげた腕ちゃっかりキャッチしてるし! ありがとう!
いや、押し付けたって付かないデショこれ!
「押し付けたって付かな……あ、れ?」
……あれ? なんか痛みが引いたぞ?
まさか本当にくっついた……? あ、違う……これってもしかして。
「タマさんごめん、ちょっと生えるまで守って欲しい」
「ニャ」
腕生えてきました。
断面から肉が……肉じゃないけど何かがモリモリッと盛り上がってきて、だんだんと腕の形になっていく。
先っぽの突起は指になる部分だろうね……凄いな俺の体。
なんか予想外すぎてそんな感想しか出て来ない。
「……っ動いた」
再生が終わったところで恐る恐る指を動かしてみると問題なく動いた。
手首回したり腕曲げたりしても問題はないようで、きっちりもげる前と同じ状態になってるぽい。
いやー……本当人間やめてる感がすごいな。
「で、どうするニャ?」
うむ、タマさんまったく気にしてないな!
植物だし生えるの当然とか思ってそう。
ああ、どうするかデスネ。
その前にとりあえずその辺に居た敵を一匹蔦で絡めて根っこぶっさしてっと。 消耗した分は補給しておかないとね。
「……一応案はあるから何とかなると思う」
鉄竜をじーっと見てそう応える。
種が着弾したことで結構な土煙が上がってたんだけど、今はそれも晴れてしっかり姿を確認することが出来る。
俺が放った種は鉄竜の鱗を貫いて肉に達していた。
この攻撃が通じるのならやりようはある。




