「86話」
ちょっと遅くなりました……(´・ω・`)
「タマさんに任せりゃ全て終わるが、皆そんな気はないだろう?」
ゴリさんの一言にあちこちから「おう!」だの「当然だ!」だの声が上がる。
「皆血の気多いんだからー」
やる気満々の人しかおらんぞ、ここ。
ゴリさんも指導者は別として他のモンスターは狩る気満々ぽいし。
俺はー……戦いたく無い訳では無いのだけど、やっぱ推奨レベル高すぎてちょっと遠くで見ていたい気分です。 ブレス吐いてくる奴とか居るみたいだし、尚更。
「ニャ? ウッドは戦わないのかニャ」
「え、だって推奨レベル75以上なんでしょ……?」
何を言いだすのかこのにゃんこは。
俺みたいなぺーぺーは他の鉄ランクの人らと街で待機しなきゃいかんのです。
やめて、引っ張らないで!
俺はあのやる気満々の中に突っ込む気はなくてよ!
「それ指導者だけニャ。 それ以外はそうでもないニャ」
「あ、そかそか……いや、でも指導者とばったり会ったらその時点でアウトなんじゃ」
一瞬なるほどって思ったけど強いのにあった時点で詰むじゃない。
鉄竜とかでもアウトだし。
ゴリさんはアフロですんだけど、俺だと良い感じで燃え上がるからね? 比喩じゃ無く。
だからタマさんその手を離しておくんなまし……。
肉球何かに俺は負けないんだから!
「中心にいかなければ平気ニャ。 強いのは中心に集まって外周には出てこないニャ」
「へー、そう言うもんなんだ?」
「ニャ」
おんや、そんな性質があるのか……いや、だからといってうっかり中心に行かないとも限らないしー……。
「それに指導者が率いた連中は倒すと見返りも大きいニャ。 強いのを倒せばウッドなら3~5はレベル上がるんじゃないかニャー」
「まじっ!?」
そんだけ上がるってすごいな!
今のハイペースで狩ってても下手しなくても1年以上掛かりそうなのに。
指導者が出るとそんなメリットもあるんだねえ。
「指導者はもっとすごいニャ。 ゴリアテでも2~3上がるんじゃないかニャー」
「うは……ゴリさん出来れば倒したいだろうなあ」
指導者ぱねえ。
ゴリさんがそんだけ上がるって……ゴリさんのレベルになると一つ上げるのに数年単位で掛かるはずだぞ、確か。
だから指導者狩れないの悔しそうにしてたんだね。
他のモンスターでも相当レベル上がりやすいみたいだし、そりゃ皆あんだけやる気満々になるわけだー。
推奨レベル75かー……確かゴリさん65だったよねえ。
んー……悩む。
「あれ使うといいニャ」
「え、でもばれちゃうよね……?」
俺がうーんと悩んでいるとタマさんがあれを使えと提案してきた。
あれってのはあれだ、例の桃のことだね。
実は俺もその桃をゴリさんにーって考えてたんだけど……食わせたら間違いなくばれる訳で。 ゴリさんなら良いかなーと思うけど、回りの人にもばれそうでねえ……。
「ばれるニャ。 でも、もうばれても問題ないっちゃないニャ。 ウッドはあれとタマの補助魔法があれば70レベル相当になるニャー。そんなの相手に何かするアホは居ないニャ」
「おう……なるほど?」
「だから問題ないニャ。 ゴリアテ呼んでくるニャ」
なるほどなるほど?
確かに例の桃の発見してから大分レベル上がっているしー……てか補正込みだけどレベル70ってすごいな!
金ランクの人らと身体能力だけで言えば同レベルってことだし……そりゃそんなのに手を出す奴は居ないか。
やったぜ、桃食べ放題じゃないか。
ゴリさんにもばっちり食わせて指導者倒して貰わないとだ。
ゴリさんには恩がいっぱいだからねえ、恩返しせんと。
「ウッドも鉄竜とやる準備はしとくニャ」
「おー……なんて?」
タマさん今、何と言いまして?
……数時間後、俺はゴリさんらと一緒にモンスターの群れを前に立ち尽くしていた。
「なんでこうなった……」
「何でなんすかねえ」
お互い死んだ目をしながらぽつりぽつりと会話する俺とゴリさん。
「……」
「……」
何かあの後だけどね、話の流れで俺は鉄竜を一匹倒すことになって……タマさんがさ、群れを発見したんだからその権利はあるニャー。ってごり押してたの。
んで、ゴリさんはゴリさんで似たようなもんで、こっちはダンジョン見つけたのはゴリさん達なんだからゴリさん達が倒すべきだと……ゴリさんにゴリ押してたの。 ジョークじゃ無いよ?
なんかさっきからゴリゴリ言いまくってる気がしなくもない。
……まあ、ゴリさんは俺の桃もあるしタマさんの補助魔法もあるし、たぶん問題ないんだけどね。
問題あるとしたら俺だ。
鉄竜が肉弾戦のみに徹してくれれば良いけど、ブレス吐かれたら盛大に燃えちゃう。 まじやばい。 タマさんは気合いでどうにかしろニャーって言ってたけど、どうにかなる気がしない。
「リーダー覚悟決めようぜ……タマさんの事だちゃんと勝ち目があって言ってるんだろう」
うん、ゴリさん達にはそうだと思うヨ?
「そーそー。 タマさんに手伝って貰えるなんて機会そうそう無いよー? 乗らなきゃ損だよー」
たぶん、敵を目の前に連れて来て、ほれ狩れって感じだと思います。
「しばらくレベル上がってなかったですから……すごくありがたいですね」
うん、それは確かに……。
一応皆の表情を見るに、不安もあるけど指導者狩れる喜びとかそっちのが大きそう。
「……お前ら」
ただゴリさん的にはまだ不安のが大きいのかな。
鉄竜にアフロにされてるし、しょーがないと思うけども。
なんて渋い顔しているゴリさんの元に他の金ランクの人らがやってきた。
なんじゃろ、応援に来たのかなー。
「おう、ゴリアテびびってんのかー? 何なら変わってやっても良いんだぞ?」
おう、これはこれは発破掛けに来たのですな。
「うるせえっての。 びびってねえよ……ま、見とけ。 さくっと仕留めてきてやらあ」
そう応えてにぃっと笑みを浮かべるゴリさん。
相手もにぃっと笑みを浮かべると「んじゃ、がんばれよー」と手を振って戻っていった。
うむ、良いですな。
やっぱゴリさん知り合いというか、仲良い人多いんだろうねえ。
こういう時にあんな感じで声かけてくれるとか羨ましい限り。
俺? 誰も来ませんよ。ハハハッ。




