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拝啓、神様。 転生場所間違えたでしょ。  作者: 熊ごろう
森の賢人

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「70話」

タマさんの語尾からニャを取ると、男前になることに気が付いた。

ショック受けてるところ悪いけど、何もスイカだけじゃないんだよなあ。

例えばー……。


「メロンもそうじゃなかったかなー」


「やめろニャ……聞きたくないニャ」


聞きたくないと耳を前足でぺたりと押さえつけ、ぷるぷると顔をふるタマさん。

なんてあざとい……これは誘われているに違いない。



手に孔があきました。


「んー……なんか久しぶりに食べたくなってきたなあ」


「ニャ! 食べるならウッド一人で食うニャ」


野菜のこと考えたら色々食いたくなってきたぞ。

ここの野菜も美味しいんだけど、思い出すとやっぱね、前世で食ってた野菜を食べたくなってきた。


前足クロスして拒否してるタマさんには悪いけど食べちゃおう。


「美味しいのに……んじゃ、ちょっとだけ部屋に戻って出してくるね」


食堂で飯食うたびに果物出してるけど、野菜出したことはないし一応部屋でやっておこう。


部屋に戻った俺は腕をくんで云々と悩みだす。


野菜って結構種類あるんだよね。その中でもこの宿で美味しく食べられそうなものを選ばなくちゃいけない。

ううむ、悩ましい。


「何がいいかなー……アスパラ?」


ぽっと浮かんだのはアスパラである。

和洋中なんでもござれのアスパラなら、ここでも美味しく頂けるだろう。

よしそれじゃさっそく……待てよ。


……アスパラってどうやって生えてくるんだろ?

腕から直接にょきって生えるのかな? ……それをもぐ?


「痛そうだからやめておこう。 ナスでいっか」


絶対痛いよねそれ。

というわけでナスにした。


あれならそんな痛くないだろうし、あれも和洋中なんでもいけるはずである。


「おー、ご立派」


さすが俺産。

特に意識して作った訳じゃないけど大きさ、色艶申し分ない……5個もあればいいかな?


おっしゃ、さっそく持っていこう。

タマさんにも見せてあげようじゃないか。


「ほら、タマさんこれ」


食堂に戻るなり、タマさんに今作ったばかりのナスを見せてみる。


「……それ食べ物かニャ?」


タマさんは前足でちょいちょいと転がし……っちょ床落ちる!

あぶねえ、ギリキャッチできた。


……タマさん? なに「え? どうかしたの?」見たいな顔してるんですか。 まったくもう可愛いんだから!


「食べ物ですぅ。 確かに色はちょっとあれかもだけど、美味しいんだから」


美味しいんだよ?


でもタマさんまったく信じてないらしい。

何か顔芸みたいな顔してらっしゃる。


「んじゃ、宿の人にお願いしてくるー」


「断られろニャー」


タマさんめ、なんてことを言うんですか。


宿のお姉さんとは毎日挨拶する仲だ、きっと作ってくれるに違いない。

……それただの知り合いじゃね? と一瞬思ったけど気のせいだ。


「あらー見たことない野菜ねえ。 ダンジョン産? いいわよ試しにやってみようじゃないの」


「お願いしまーっす」


やったぜ。

お姉さんは俺の話を聞いて、ナスを受け取ると調理を請け負ってくれた。

お客さんも少々まばらになっていたし、あれだ、やっぱお姉さんと呼んでたのが効果あったに違いない。


まあ、とにかくナスを調理して貰うことになった俺はスキップしそうな勢いでタマさんの元へと戻るのであった。


「頼んできたよー」


「まじかニャ」


タマさん、顔芸が進化してますよ。


別に無理やり食わせるつもりはないんだけどねー。

まあ、お勧めはするけど……タマさんもたぶん付き合いで一口ぐらい食べてくれるんでないかな。


……ん。

めっちゃ香ばしい匂いがする。


来たか! と思って厨房を見ると丁度おばちゃ……お姉さんが皿に山盛りなった料理を運んでくるところだった。


「はい、お待ちどうさま」


「おほー!」


どうやら炒め物にしてくれたようだ。

具はざく切りにしたナスとごろっとした鶏肉。

鶏肉は一度揚げてるのかな? 何か衣っぽいのがついているね。

それに細切れになった香味野菜が少々。 ぱっと見は中華系の炒め物っぽい感じだ。


まあ、この料理を一言で表すなら美味そう、である。


ってなわけで頂きます!

俺はさっそくとばかりに山盛りになったナスへ手を伸ばすのであった。



「あっふ、はふっ!……うま! ナスうまっ」


あっつい! けど美味しい!

ナスがほこっとトロっとしてて、そこに鶏肉のうまみと調味料が絡んで抜群に美味しい。

熱々なのがいいね、やっぱこういうのは熱々のうちに食わないと……酒にも合うぞ!


「……」


「やばい、これ毎日用意しようかな……うめえ」


ナスは作った感じどうも消費が少ない様だった。

これだったらがっつり食うだけ量を用意しても負担にならない気がする。


何より美味いから毎日食べたい。これに尽きる。


「ほら、タマさん。 あーん」


「……ニャ」


相変わらず顔芸が進化していくタマさんにナスを進めてみる。

ものすっごいためらいながら料理を口にしてもぐもぐと口を動かし……。


「どう?」


「……野菜にしては美味しいニャ」


顔芸が消えたよ!

普通にいけたらしい。 野菜嫌いが普通にいけるんだもん、やっぱこのナス美味しいってことだ。


「お、よかった。 ならたくさん食べよー」


「そんないらんニャ」


タマさんのお皿に料理盛ろうとしたら止められた。

普通に食えるけど量はいらないらしい。残念。


「あー、お腹いっぱい」


まあ、タマさんが食べなくても俺が食うんですけどね。

他のお客さんがもの欲しそうな顔していたけどあげません!


「果物は別腹ニャー」


「イチゴさっぱりしてて美味しいねえ」


今日の果物はイチゴです。

ナスの炒め物がこってりしてたからさっぱりしたかったのよね。

……イチゴも野菜だっけ? まあ、どっちでもいいか。


美味しければそれでよかろうなのだ。



もう何度思ったか分からないけど、この世界の料理って美味しい。

甘味も俺がいれば食えるし、そのうちお菓子なんかもできるかも知れない。

食生活に関してはかなり充実してると言えるだろう。


ただ、不満がない訳ではない……。


「んー」


「どうかしたかニャ?」


その不満について考えているとタマさんが声をかけてきた。

あー、タマさんなら知ってるかもだし、話してみようかな?


「いやー、宿の料理美味しいんだけどさ、ほら基本はお肉と卵とかじゃない?」


「ニャ」


「そろそろお魚も食べたいなーって」


「魚かニャ?」


うんと頷く俺。


そう、食生活で唯一不満なのがお魚が出ないことだ。

まわりに海とか川とか無さそうな感じだからしょうがないのかもだけど、ここにきてからと言うものお魚を一度も食べてないのである。


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