「56話」
爪研ぎから始まり、猫パンチに、猫キック。
キックは一度耐えたけど、そのあと徐々に威力が増してきている。
次第にズシンとした重い痛みが腕に蓄積していく。
その程度ですんでいるのでちゃんと手加減はしてくれているらしいが……。
「まだ平気……まだ……ま、まだ……痛ぁっ!?」
まだいけると思った瞬間ベキャリと音がして、硬化した部分が割れてしまう。
その瞬間腕に痛みが走る……急にくるとか勘弁しとくれ。
「めちゃくそ痛い……」
あれだ、爪とかと同じなんだと思う。
爪割れたり剥がれたら痛いじゃない?あんな感じだとおもふ。
爪自体へのダメージは痛くないけど、割れた瞬間中身にダメージ入る。
「鉄製より丈夫だニャ。 でもダメージははいるニャ。 保険ぐらいに考えておくと良いと思うニャー」
なんとまあ鉄製より丈夫とな?
すごいね。すごいけど……タマさんそんなのへし折る威力で蹴ってたの……? 恐ろしいニャンコである。
あ、割れたところは5分ぐらいで治ったよ。
回復力も高くて助かるわ。
タマさんからポーション貰ったけど返しておこ。
あと検証するのはーっと。
「おー。 ……これ蔦部分硬くすると身動き取れないね。右半身限定かー」
左半身もいけるかなーと思ったけどダメそう。
硬くはなるんだけどね、自由に動けなくなっちゃう。
ちょっとそこは残念だけど、十分使えるし良いと思います!
とまあそんな感じで他にも硬くできないかなーとか色々試してたんだけど。何かお腹空いてきた。
「バナナ美味しい……この形状を変えて硬化させるとちょっと消耗多いみたいね」
有能な分消耗も激しいと。
でもそれぐらいなら問題ないよね。敵から吸おうと思えば吸えちゃうし。バナナおいしい。
いつかゴリさんに食べさせようとおもふ。
「いやー、今日は収穫色々あったねー。本当タマさんに感謝感謝」
「ニャ。もっと感謝するニャー」
タマさんのアイディア無ければ鎧みたくとか出来なかったしねー。
まじ感謝ですわ。
何かお礼をしたいぐらいだけどー……んー。
「ん……そうだねえ……桃でも食べてみる?」
やっぱタマさん喜ぶって言ったらこれだよね。
桃はまだ出してないし、きっと喜んでくれるだろう。
そうと決まれば早速作りますかー!
「ニャー。 ニャニャー。 まだかニャー」
「オーガが中々居なくて……」
オーガ居ねえ!
来て欲しくないときには来るくせに、来て欲しいときにはこないなんて何て奴だ。
後ろでニャーニャーと煽ってくるタマさんに急かされるように道を進む俺。
……これはこれで良いものです。
「あ、いたいた……そんじゃ失礼しますっと」
良いものです。とか考えてたら出て来たぞ。
何て奴だ……これはタマさんの糧になってもらうしかない。
と言うわけで蔦をシュルシュルっと這わせてっと。
「それじゃー……オーガ1体で2個出来るぐらいに調整してっと」
ぶすっとな。
「それって味とか以外も調整出来るのかニャー」
「たぶんね。 割と大雑把なら何となく出来るかなー?」
あー、個数は2個でいいとして味とかどうしょうかなー?
出来るだけ美味しくしたいけど、それだとオーガ1体じゃ足らなくなりそうだしなー……ほか何かあったっけ?
ある程度思い通りになるなら色々出来そうではあるけども。
「何か色んな効能とか付けられたりして――」
なんて言った瞬間、全身に稲妻がはしる。
俺はやばいことに気が付いてしまったかも知れない。
「――特殊効果のある果物? ポーションの効能も付けられる……?」
思い通りになるのならポーションの効果だって付けられるだろう。
もしかすると存在しないポーションの効果だって付けられるかも知れない。
一時的に身体能力上げたり、病気治したり、触手生やしたり、寿命だって延ばせる可能性だってある。
「資料に残ってたのって、まさかこれのこと……?」
リタさんに見せてもらった資料に書いてたポーションの記述。あれはこの事を示していたのだろうか。
独りでも衝撃を受け立ち尽くし、ブツブツと独り言ちる俺であったが、そこに怪訝に思ったタマさんが肩へとよじ登ってきた。
「何の話ニャー」
「あ、ごめんごめん。えっとね……」
頬に肉球を押し付けられはっと我に返る。
別の意味でトリップしそうだがぐっとこらえる。
タマさんはリタさんに見せてもらった資料の事知らないし説明しておかないとだね。
それに今考えついた特殊効果のついた果物についても意見を聞きたい。
俺はひょいとタマさんを抱えあげ、資料についてと思いついた事について話すのであった。




