「26話」
その後、何匹かのコボルト倒した俺であったが、もう問題ないだろうということで例の妙な岩のある広場へと来ていた。
ちなみにこの妙な岩だけど1階層のと同じ形状をしていたりする。
ゴリさん曰く階層に関わらず形は同じらしい、フロアによっては砂に埋もれていたり、水の中だったりと周りの環境は違うけどとりあえず形だけは同じとのこと。
間違って触れたら大変だからね、このへんはありがたい……なんでそんな親切設計になっているのか?と疑問は湧くけど、そう言う物だとしてゴリさん達は受け入れているようであった。
俺? 俺も違和感はあったんだけど……何かそう言う物なんだと受け入れてしまっていたよ。
たぶん、最初からそういうものだと分かっていたような感じ。
神様から聞いていたのかそれと初期知識としてインプットでもされていたのか……どっちにしろ覚えてなかったけどね。
「んじゃがんばれや」
「死にそうになったら助けてやる」
岩を前にして踏ん切りつかないでいるとゴリさん達からお声が掛かる。はよやれと言うことだろう。
……いや、やるけど。やるんですけど、ちょっぴりあいつら怖すぎるんですよね。下手すると夢に出て来そう……あ、はいやりますやります。だから睨まないでくだしい。
1時間後、地面に仰向けに倒れぜーはーと息を切らす俺の姿があった。
「ゴブリンよりきっつい……」
「そりゃそうだろ」
手数も多いし、こっちの攻撃を避けようとするから当てるのが大変だし、怖いし色々と疲れた。
ゴブリンのときは精神的な疲れがほとんどだったけど、コボルトの場合は肉体的な疲れも多い。それだけゴブリンより強敵だったってことだろう。
「2~3回やればもっと楽になるさ……この感じだとまた3日もすれば次に行けるかもな」
「次ってオークですよね……あのがたいの良いのに囲まれるとさすがにきついと思うんですが……」
コボルト次はオーク。実にテンプレな感じだね……違うところと言えばオークといっても豚面のあれではなく、もっと凶悪な面構えをしてらっしゃるとこだろうか。可愛げなんてこれっぽっちもないよ!
がたいもかなり良いみたいだしね、俺より頭一つ分背が高くて体もぶっとい感じ。
そうそう、オークといえばお肉が取れそうなイメージあるけど、あれを食う気にはなれないね。
カールさんがダンジョンで食料調達するのは大変とかそんな感じのことを言っていたけど、あれって食えるモンスターがほとんど居ないからなんだと思う。
「安心しろ。オークの居る階層にこの罠はない」
「そこからは地道に鍛えて行くしか無いな……それでもあいつら群れる習性があるから、狙って狩れば数はかなりこなせるがな」
そんなわけでオークでこの狩りかたはさすがに死ねる。
そう思っていたろころに罠は存在しないと聞いて一瞬やったとおもったけど、変わりに群れる習性があるらしい。がっでむ。
自分よりタッパ高くてごつい連中に囲まれるとか悪夢なんですが、それは。
「ま、とりあえず魔石とっちまえ。 その後はもう1ラウンドやって草刈りして今日は終了だな」
「はひ」
魔石を手に入れるには解体しないといけない。
そうじゃないとお金も手に入らないし、やらないといけないのは分かってはいるのだけど……やっぱぐろいものはぐろいんですよねー……。
そのうち慣れる……んだろうか?
まあやりますかね、だいぶ息も整ったし……解体したら根っこで吸ってもう1ラウンドやって草刈って帰ろう。
解体と連続戦闘でげっそりしていた俺であったが、帰りに草刈りまくってだいぶ持ち直していた。
無心で草むしってると何か癒されるんだよね。
そんなわけでダンジョン出てギルドにつく頃には俺は鼻歌交じりで袋を振り回すぐらいには元気になっていた。
粗末に扱うなとゴリさんに怒られたけど。
「リタさーん。 買い取りお願いしまっす」
何時ものごとくリタさんの担当するカウンターにいってどさりと袋を置く。
隣のカウンターのおっちゃんがじとーっとこっちを見てくるけど気にしちゃいけない。明らかにあっちが空いているけど、みんなリタさんのほう並んでるんだよね……理由は言うまでもないだろう。
袋の中身だけど魔石は昨日よりは少なめだけど、薬草は種類も数も多い。
帰りがてらに目についた薬草刈りまくったからね、魔石減った分の収入をここである程度埋められるだろう。
んで、いくらになるかなーとうきうきしながらリタさんの査定を待っていた訳だけど、リタさんこっちを見てきょとんとしてらっしゃる。
「……装備を整えたのですね、見違えましたよ」
「うへへ」
装備が変わってて一瞬俺だとわからなかったらしい。
何せ半分破いた服を着てただけだからね今まで。そりゃーそうなるわ。
あれ、よく考えると……よく考えなくてもただの不審者じゃね?って思わなくもない……ま、まあ良い! 今はちゃんと装備着込んでまともな見た目してるしねっ!
「それでは買い取りですね……いきなり2回やったんですね、まったくあの人は……コボルトの魔石と薬草合わせて銀貨125枚ですね」
「ありがとうございますー……なんかすっごい薬草高くないです?」
「ユスリ草がありましたので……よく見つけましたね?」
むちゃくちゃ高い薬草が混じってたぽい。
たしか欠損すら治すポーションの材料のはず……一度採るとしばらく生えてこないし、下層じゃないとほぼ見つからないってことで銀貨20枚とかしてたはず。
やったね、心も癒すし財布も喜ぶ。 草刈りは本当やめられませんなあ。
換金したらいつもの流れでそのままご飯です。
いっぱい仕事したから腹ペコなのですよ。うへへ。
「ごはんうまっ」
「だからちゃんと噛んで食えと……」
ゴリさん貴方はおかんですか……前にもあったねこのやりとり。
ちゃ、ちゃんと噛んでますよ? 最初ちょっとがっついただけで……。
「そうだウッド……ああ食ったままで良い」
もしゃもしゃとご飯を口に運んでいるとふいにゴリさんが話しかけてきた。
食べたままでいいとは言うけど、そうもいかないだろう。
俺は食器をテーブルに置いて口に含んだものを飲み下すとゴリさんに向き合った。
「今後の予定についてなんだがな」
これからの予定についてのお話らしい。
こくりと頷き返す俺。
「あと数日すれば俺達も次の仕事をやらなきゃならん。 しばらくこの街を離れる事になる……一旦そこでお別れだな」
「えええっ!? ……す、すみません。確かにそうですよね。ゴリさん達も仕事しないとですもんね」
思わず叫んでしまった。
これ、ごはん食べながら聞いてたら大惨事だったね。
次の仕事までってのは初めから分かってたことだし、いつまでもゴリさんたちを拘束するわけにはいかない。
正直ここまで面倒見てもらえることになるとは思ってもいなかった。 ゴリさん達には感謝しかない。
「まあ、1年以内には戻ってくるしずっとお別れって訳じゃ無い。 その後はしばらく持ち回りの仕事は無いからダンジョンに専念することになる」
そうなりゃお前とパーティ組むこともあるかもな。そういって笑いながら頭をぽんぽんと叩くゴリさん。
そうだよね、ずっとお別れってわけじゃないんだ、この街で最初に仲良くなった彼らと別れるのはつらいけど……ん? あれ、そういえば俺ってゴリさん達以外の知り合いってリタさんと宿屋のお姉さんしかいなくね?
……ま、まあそっちはそのうち知り合い増やしていけばいいから! きっとすぐ知り合い増えるし! ボッチじゃないし!




