「24話」
パーティーを組むにはもう少しばかり時間が掛かりそうだと分かった翌日。
俺は再びあのかったいお布団の上で目を覚ましていた。
明日からはふかふかのお布団で寝られるのだろうか……そう思いながら痛む体をほぐし、部屋から出る。
まだ日が昇ったばかりだが、今日は……というか今日もやらねばならない事がたくさんある。
まずは装備屋へと向かい、装備を受け取って借金も返す。 んでギルドで稽古したのちコボルトへ突貫する。
今日の予定はこんな感じである。
「それじゃ行ってきますー」
「気を付けて行ってくるんだよお」
宿の……お姉さんに手を振り宿をあとにする。
ちなみに今後部屋をちょっといいところにするのと食事をつけることはまだ話していなかったりする。
だって、予告しといて実はあまり稼げなくてやっぱやめますってなったら格好悪いじゃない……。
とりあえずコボルトを狩ってみてどれだけ稼げるか確認しないとね。
そんなこんなで装備屋さんに到着です。
しっかりゴリさんもついてきてるよ! またギルド前通ったときに捕捉されたらしい。
「うむ。 確かに料金は頂いた……まさか3日で全部返すとはのぉ。 ま、ええわい。 それより早よ着けてみい」
「は、はい!」
やっと手に入ったまともな装備である。
盾と武器だけでやってきた身としては本当にうれしい……てかよく無事だったな、俺。
ま、まあそれはともかくさっそく着てみようじゃないか。
俺は装備を受け取るとすみっこのほうに移動し、いそいそと着替えはじめるのであった。
……さすがにみんなの前で着替えるのはちょっと恥ずかしかったのである。
「ど、どうです? 似合ってます?」
着替え終わったので早速お披露目である。
むっちゃくちゃ恥ずかしいねこれ。 何せ鎧だよ鎧? 感覚的にはコスプレしてそれを皆に見せびらかせてる感じ、その手のに慣れてない身としてはかなりきついものがある。
とはいっても見せる相手はおっさんが二人だし、あまり気にしたものでも無いのかも知れないが……。
「悪くないな」
「右半身の布は伸縮性のある生地で出来てるでな、多少大きさ変わってもやぶれることはないじゃろて」
「おおー! ありがとうございます!」
割と似合ってるらしい?
それよりも伸縮性のある布ってのはありがたい。
なにせ根っこでちゅーちゅー吸うと腕が元の3倍ぐらいになってしまうから……てかよくそんな伸びて切れないなっ!? 一体どんな素材で出来てるのこれ……異世界こえぇぇ。
「ほれ、鏡でじっくり見るとええ」
「おー…………」
鏡あったんだね……でも宿の窓はガラス張りじゃなかった気がする。 高いからかな?
鎧はぱっと見かなり格好良かった。
左半身が若干鋭角気味な鎧で、右半身はゆったりとした服って感じ。 所々モコモコしてるのは少しでも防御力を持たせようとしてくれたのだろうか。
そうだね……なんて言ったらいいのかな。
ゲームで弓使いがしてそうな装備?って感じだ。
てか、それよりも……。
「どうした? 黙り込んで」
「あ、いや。 自分こんな顔だったんだなあと」
自分の顔を見るの初めてだった。
違和感は一応ある。 何せ明らかに日本人の顔じゃ無いからね。
ただ元々の顔を覚えていないこともあって喪失感とかそういうのはない。
「ああ、顔も忘れてたのか……ま、そのうち記憶は戻るさ」
「ありがとうございます」
いや、わりとイケメンだったんで落ち込んではいないんですけどね。
神様め意外と良い仕事しおる。
会ったら毟るのは髭だけで許してあげようじゃないか。
生えてなかったら髪だけどなっ!
んで舞台はギルドの裏庭に移る。
装備揃ったし、コボルト狩る前に稽古しなきゃだからね。
稽古のお相手はゴリさんに加え、予告通りベルトラムさんもいる。
なかなかハードそうだなあ。
稽古はなかなか……いや、滅茶苦茶激しかった。
もう何度死ぬかと、死のうかと思ったことか……時刻はそろそろ昼時、料理の匂いが漂う裏庭でぼろ雑巾のようになって横たわってるのが俺です。血反吐でそう。
デジャブっぽいけど、あれよりもっときつい。
ゴブリンしこたま狩って、新人としては実力がずば抜けている、と。 そうちょっと慢心しかけていたのかもしれない。
もう、そんな鼻っ柱はぼっきぼきに折れましたとも。
ベルトラムさん、まじでスパルタすぎる。
ゴリさんは実は優しかったと認識するほどである……。
ゴリさんはぎりっぎり防げる攻撃をしてくるのだけど、ベルトラムさんはぎりぎり防げない攻撃をしてくる。
急に速度上げたりとかそんな理不尽な攻撃じゃないんだけどね、俺がゴリさんの攻撃をいなし損ねたり、バランス崩したりするとそこを狙って攻撃してくるのだ。
ただでさえ1対2できついと言うのに……あ、1対2なのは一応理由があってね。コボルトって武器で攻撃してくることも爪や牙で攻撃してくることも有るそうでゴブリンよりも手数が多いのだ。
なんでそれを再現するために1対2でやってると言うわけです。
あと、コボルトってゴブリンと違って多少頭を使って戦ってくるそうなのね。 だからひたすら盾を殴り続けるなんてことはしてこない、防具に覆われていない部分や、武器を持っている手を狙ってきたりするんだって。やっぱゴブリンとは違うね。
んで、そのへんも二人はきっちり再現してくれているわけで……防具で覆われていない部分が痣だらけですわ。ハハハ。
「ま、こんなもんか」
「よし飯にするぞ」
「……ハイ」
やっと終わった……もう吐きそう過ぎてご飯食えないんじゃなかろうか?




