「99話」
若干お野菜多めの料理をぱくつき、メインのお肉料理を食べたところで大分お腹が落ち着いてきた。
お腹の具合からいってもう2~3品追加してもよさそうだけど、タマさんはどんなもんかなー?
と、タマさんの様子を見るのに顔を上げたところ、こっちを見つめる視線がいくつもあることに気が付いた。
ナンパはお断りですぞ?
……まあ冗談です。
なんかこっち見てるの野郎だけだし、て言うか武器とか携帯してるし……んー。
「……同業者さんぽいのがちらほら?」
なんとなーくダンジョンシーカーぽい気がする。
雰囲気が似てる気がしたのよね。
「この街も近くにダンジョンあるからニャ。 規模はあまり大きくないけどニャー」
「あ、そうなんだ?」
あー、なるほどなるほど。
この街にもダンジョンあるんだね。 それでちょっと大きめの街なのか。
世界樹は……町の外れにある森?がそうかな。
あんまでかい木がドーンとある感じではなかったけど、たぶんあそこだろう。
「せいぜい中層から下層の弱い敵ぐらいまでしか出ないニャ。 どちらかと言うと新人さん向けだニャ」
「ダンジョンによって色々違うんだねえ」
「ニャ」
ちょっとダンジョンの規模小さいのかな?
世界樹の大きさってダンジョンの規模に比例するんだろうかね。
てか、新人さん向けか。
通りで若い子が多いと思った。 おっさんも居るけど少なめである。
タマさん有名ぽいし、門番はともかくダンジョンシーカーは気が付いたのかな。
それで皆こっちを見ていたと……。
ふふふ、俺もちょっと有名になった気分である。
有名なのタマさんだけだけどな!
「食べ過ぎたー」
「ニャ」
ちょっと食べ過ぎちった。
なんだかんだでご飯美味しかったし、店員さん可愛かったしでついついお代わりしまくってしまった。
ご飯食べたあとは予定通りさくっと街を出たよ。
あとはひたすらタマさんの故郷に向けて走るだけである。
やっぱさすがに一日で行くのは無理があるようだ。
誰だ、一日で着くとかいったの。
タマさんとだべりながら走っているとすぐに夕方になり、どんどん暗くなってきた。
だいぶ暗くなったところでタマさんが足を止め、荷物を下ろし始める。
「暗いし今日はこのへんで休むニャ」
「おー。 んじゃ野宿の準備でもしますかね」
いやー。すっかり真っ暗になっちゃってもう。
タマさんはまだ見えるのかも知れないけど、俺とか輪郭ぐらいしか見えてないからね。
あ、ちなみに今いる場所だけど、街道からは外れて森の中だったりします。
どうもタマさんの故郷って隠れ里みたいになっているらしく普通に街道進んでちゃたどり着けないそうな。
色々荷物引っ張り出して何とか座るところは確保した。
あとは火を起こすんだけどー。
実はちょっと用意してきたものがあるのだ。
用意つっても走ってる途中で見かけたいい感じの切り株引っこ抜いてきただけなんだけどね。
こいつを薪代わりにしてしまおうと言う算段なのです。
ただちょっとしけってるぽいのでこのままだと使えない……。
「タマさんこの切り株乾かせる?」
「ニャ」
「ありがっとー」
困ったときのタマさん!
ダメ元で言ってみたけどあっさり乾かしてくれましたぞ。
「切り株に切り込み入れて火をつけてっと」
あとは切り株に4等分ぐらいな感じで縦に切れ込みをいれてー……切り込みは蔦を高速で擦り付けたらいけた。 んで、あとは切りくずを着火剤代わりにして着火……おしついた!
「面白いニャ」
「でしょ。 長持ちするし良いよこれ」
2~3時間は持つんだったかな?
あとこいつの便利なところとして、上に鍋とかおけちゃうんだよね。
そのまま置くとちょっと火力強すぎるけど。
調理に使ってもいいし、食べ終わったらお湯沸かしてお茶とか飲んでもいい。
やー、便利ですなあ。
あとで2~3個追加で用意しておくかなあ?
夕飯はタマさん特製シチューでした。
美味しかったです!
今は食後のお茶をしばいているところ。
明日の予定とかちょっとお話しないとだね。
「あー……御茶が美味しい」
「寒いからニャー」
「このペースだと明日の何時頃に着くかなあ」
途中で街に寄りはしたけどかなりの距離走ったはず。
もうだいぶ近づいてるんじゃないかと思うのですよ。
「昼には着くニャ」
あ、やっぱ結構近くまで来てたね。
となると……。
「そっかそっか……着く前に体絞っておかないとねえ」
「ニャ?」
「いや、この体だと驚かしちゃうかなーって。 絞っておけば多少ましにはなりそうだし」
いやですよ。
タマさんの故郷に行ったのは良いけど、みんなに逃げられるとか。
まじで泣いちゃう。
だから体ちょっと絞って普通の体格にするんだ……。
「そんなの気にするのは居ないニャ。 それよりも果物だすニャ」
「ん? まだ食べるの……お腹壊しても知らないよー?」
おう……気にするのはいないとな。
……皆タマさんみたいな感じなのかね?
てか果物ってタマさん、ご飯食べたばっかりですぞ。
お腹壊しても知らないぞう。
「違うニャ。 タマの故郷で買い物するのなら物々交換が基本ニャ。 日保ちするのが喜ばれるからドライフルーツにするニャ」
「おぉ、なるほど! そう言うことならガンガンだすよー」
違った!
それよりお金使えないってまじかいな。
果物でいいならいくらでも出せちゃうけどそれで良いんかしらね。
元手タダだけど……まあ、甘味が貴重な世界だし、いっか!
せっかくだし、美味しいの作ってタマさんの故郷の皆に喜んでもらおう。そうしよう。
「タマさんの魔法ってなんか器用と言うか何というか……ん、サクサクしてる。美味しいねこれ、ミルクかけて食べても良いかも」
「ミルクは無いニャー。 着いたら向こうで貰うニャ」
「いいねそれ」
タマさんがさくっと切った果物を乾燥してくれたんだけど、なんか歯ごたえがサクッとしてて美味しい。
普通、ドライフルーツってもっとこうガチッて歯ごたえだった気がしたんだけど……あれだ、朝食とかに牛乳かけて食ったら美味しい感じ。
これならタマさんの故郷の皆も喜んでくれることだろう。
そして翌朝というかもうすぐ昼になりそうな頃。
俺とタマさんは絶賛森の中を爆走中なのだけど。
「いやー……タマさんの故郷楽しみだなあ。 もうそろそろ着くんだよね?」
「もう着いてるニャ」
「へ?」
俺の言葉を聞いてか、それとも最初からそのつもりだったのか、タマさんが走る速度を落としてもう着いたと言ってくる。
俺もそれを聞いてあたりを見渡すが、そこは先ほどまで走ってきたのと変わらぬ森があるだけであった……いや、違う。
よくよく観察すると、木々の間から、葉の隙間から、藪の奥から無数の瞳が俺たちを……俺を見つめていたのだ。
「こ、これって……!?」
間違いない、囲まれている。
俺は無数のにゃんこに包囲されていたのだ。
ここが……天国か。




