表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

5話

 僕は家に帰って一人でコンビニ弁当を食べていた。その時、ガールズバーの経営者からまた電話がかかってきた。


「やっぱりレイナをうちにくれよ」


 彼はなんでもなさそうに言った。


「キャバクラだったらあいつも了承するかもしれない」


「キャバクラねー」


 経営者はそう言って何か不満そうにしていた。


「何か理由でもあるの?」


「キャバクラは面倒なんだよ。いろいろと裏の世界とつながりがあるからさ。俺の経営してる店は客と女が適当に遊んでいるからさ。それでも儲けがでるんだよ」


「それって楽しいの?」


「別に。普通に仕事してるだけだよ。でも売り上げが落ちるのは困る。そこらへんはちゃんとやらないといけない」


 彼とウイスキーを飲みながら数十分通話した。それで彼の店のウェブサイトを見たらコスチュームを着た女性が客に接客する店だとわかった。


 僕はどうでもいいやと思いながら、レイナにその話をしようか迷っていた。レイナはもう二十台後半だ。子供だって産めるけれど、もちろん彼女はそれを望んでいない。


 僕だって別に子供が欲しいわけでもなかった。コンドームが発明されたんだから子供なんか作らなくったっていいなんて考えていた。


 頭の中の思考回路を様々なことが支配していく。僕だって吸血鬼ではないけれど、一応人間なのだ。人ばかり殺しているレイナになぜか無性に嫉妬してしまうときだってある。僕にだってプライドはある。それがなんだかはわからないけれど。


 鍵の開く音がした。レイナが帰ってきた。


「ただいま」


 やけに優しい声だった。


「どうしたの?」


「さっき取引先のイケメンと飲んできた帰りなの」


 レイナはやけに嬉しそうだった。僕は内心ばかばかしいと思っていた。僕だってレイナを突き放して浮気することだってできる。でも僕の心の中にはどうしても彼女がいた。それだけが悲しいことだった。だから彼女が望まなくとも僕らはこうやって二人で暮らしている。


「そのイケメンはどんなやつだったのさ?」


「すごいスポーツマン。俳優みたいにさわやかだった。とってもトークがうまかった」


 彼女は明らかに酔っていた。それでそんな話を僕にしていた。僕は興味なさげに嫉妬しながら彼女の話を聞いていたのだ。


 夜の部屋の中はやけに静まり返っていて、僕はその静けさが何か嫌でテレビをつけた。ニュースがやっていて、中東で紛争がおきて戦車が町中を走っている映像が映し出された。


「宗教に関してはどうなのさ?」


 僕は彼女に暗に聞いた。


「そりゃあもちろん」


 彼女は言いたくなさそうに、そして興味なさげに僕に言い放った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ