1話
けだるげな雨が夜に降っていた。僕は布団の中でただくつろいでいた。レイナはいない。彼女は死体とか殺人とかに行っているはずだ。
僕はただテーブルの上に置かれた一枚の紙を眺めていた。僕の知り合いで社長をやっている奴がいたのだ。そいつはガールズバーみたいなものを経営していた。
電話がかかってくる。僕は電話に出る。
「よう」
そいつがいう。
「どうした。こんな時間に?」
「お前の彼女にレイナっていたよな」
「いるけど」
「そいつうちの店でバイトさせてくれないかな?」
数秒の沈黙。
「なんで?」
「女が足りない。厳密にいうとちゃんと働いてくれる女がいないんだ。客が冷めてるんだよ。この間一番人気のかわいい十九歳の女の子がやめちゃったから」
「レイナはもう二十後半だし、会社員だぜ」
僕は言った。
「そういうやつがいいんだよ」
彼はそう言った。
「まぁ今出かけてるから帰ってきたら聞いてみるよ」
「こんな時間に?」
「散歩みたいなものに出かけてる」
その辺で電話は切れた。
僕は冷蔵庫からウイスキーを取り出して飲んだ。ケンタッキー州のやつをロックで飲んだ。とてもおいしい。それでレイナが今何しているのかなとか思ったりした。
あいつは男を狙うとき、口説いてから殺すことだってある。僕は相変わらず嫉妬ばかりしている。
吸血鬼独特の魅力というものを備えているのだ。そしてそれがなんだか僕には悲しく思えた。
時間は過ぎていく。僕はシャワーを浴びる。水が滴る。僕は正常と異常の範囲について、常識について考察する。
レイナはめちゃくちゃなことをしでかしている。僕だってたまに職場で喧嘩をすることはあるけれど、さすがに殺したりはしない。
レイナだって別に人殺しが好きなわけではない。ただそうしなければ生きていけないだけだ。
とても悲しいことに思えた。なんであんな美しい女にそんな運命が背負わされているのだろうか。
僕はシャワーを浴びた後に、湯舟につかった。とても温かかった。それでいろいろな気持ちを考えたりしたのだ。
将来についてだって考えた。IT企業での自分の存在意義についてだとか。僕は今ソフトの誤作動の修正を行っているのだけれど。原因を分析して、プログラミングしていくそれなりにやりがいのある仕事だった。
レイナはあの美貌でそれなりに保険会社で営業成績を上げていた。彼女にとっては本当にどうでもいいことらしい。人間離れした体力で今夜も誰かの血を吸いに行った。僕はそんな彼女のことを待っていた。




