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12話

 家に帰ってもレイナはいなかった。静かな部屋の中だった。そしてその日警察から電話があった。


 内容はレイナがビルから飛び降り自殺をしたことだった。僕は電話の中で僕はそれに関わっていないことだけ伝えた。後日警察が事情を聴きにくると言っていた。


 レイナは吸血鬼として生まれた。そしてまるで当然のように死んでしまった。それはとても悲しいことだった。しかし同時に神話的な魅力を持った彼女の運命にすら思えたのだ。


 僕はその日部屋の中で泣いた。


 ベッドの上には綺麗な花柄の封筒があった。そこには僕の名前があった。中には一枚の薄い紙が入っていた。その手紙にはこう書いてあった。




 私は吸血鬼として生まれたわ。もうすべて満たされたの。あなたの幸せを願っている。時には人間のことを馬鹿にしながら笑いながらも同時に愛していた。その点では私も同じ人間だった。そして君のことが好きだった。私は君のことが好きだったのよ?

 理由なんかわからない。どうして私が死ななきゃならないのか。でもそうするしかないのよ。

 不安が止まらないの。それで世界が壊れていくの。もう耐えきれないからさ。君がそばにいて抱きしめてくれもずっと孤独なのよ。

 笑うよね? 私は何百人も殺してきたのよ。彼らのことを何一つ覚えていないわけではないわ。もちろん好きな人だっていたの。

 でもね。すごくあっけないのよ。この世界の何もかもが、それですごく悲しいの。

 君には最後まで伝えきれなかったな。こうやって言葉にしても、それはあなたのための手紙でしかないのよ。

 もう私には私自身がいったい何だかわからないの。それで一人の女に過ぎないのよ。

 矛盾しているよね。私は吸血鬼にプライドを持ちながら同時に苦悩してそしてこの世界では最悪の存在に過ぎなかった。

 もし君がこれを読んでいてくれたら、私のことをずっと覚えていてね。私にはすべてを手にする力があった。本当はそうしてもよかった。でも君と静かに暮らすことを選んだ。君のことを見下しながら。

 ああ、本当に悲しいね。ねえ、私が死んだら思い切り、泣いてね。それでひどく傷ついて。あなただけは殺したくなかった。だってあなたはどうやらそれを望んでいないように見えたから。

 永遠の別れね。もう二度と会うことはない。私は火に燃やされ灰になる。そしてあなたの記憶となって消え去る。知ってる? 記憶って徐々に消えていくのよ。

 さようなら。変な言葉ね。本当は君の恋人になって幸せな家庭を作りたかったよ。なんてね。


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