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オタクの僕に恋愛させようとするのが間違いである。  作者: 3ri
最終章 あなた達を知る…決める為に。
13/13

必ず終わりはある。人が作ったものには、ね


 僕は選択肢をふたつに絞った。

 でも、もうそれからも、1ヶ月と少しが経つ。

 3月12日。

 そう、この日は………

 卒業式である。

 あれから結局一度も学校に行かなかった僕だが、卒業式だけは行くと決めていた。

 この日しか、ない。

 僕はある子に告白をする。

 どういうように告白するかは決めていない。

 でも、ここしかチャンスはないと思っている。

 上手くいく自信はある。

 前々から好意むき出しにしてくれていたもの。

 ………さて、学校、行きますか…………










 皆、緊張していた。

 しかし、僕はその気持ちは全くわからなかった。

 ……学校に来ていなかったもの、当然か。

 先生には


「とりあえず周りに馴染んでくれればいい」


 とだけ言われた。

 僕は先生の言う通りに、ひたすら周りに合わせようとした。

 廊下での整列、入場、着席……

 何もかも、他の人と同じようにやっていた。


 そして、卒業式が始まった。

 何も知らない僕は、ただただ座っていた。

 練習などに参加していない僕は、卒業証書授与があることくらいしか、知らなかった。

 それだけは、本番前に少しだけ練習させられた。

 ……何も、思い出ないなぁ。

 そうとだけしか、感情が湧き出てこない。

 不思議な気持ちにとらわれつつも、校長、来賓などの「ありがたい言葉」を延々と聞いていた。

 ……つまらねえな…

 そういうもんか、卒業式なんて。

 短い時間が長く感じていた。

 10秒.20秒。それぞれが3倍ほどあるように感じている。

 ただただ座っているだけで事が進行するこの行事。

 遂に卒業証書授与が行われ始めた。

 1組の人間から、次々に授与されていく。

 僕は4組なので、最後から2番目のクラスであった。

 そうして長い時間は過ぎてゆく。


「保科 悠理」


 担任の口から、僕の名前が呼ばれた。


「はいっ!!!」


 返事を返す。

 少し周りがガヤついていたが、僕は全くそんなことは気にしなかった。

 僕は堂々と、卒業証書を貰った。

 ひとつひとつの動作を丁寧に。

 何も考えず、教わったことだけをやる。

 そうして僕はまた席に戻っていった。


 授与式も終わり、式も終盤。

 ここの学校は校歌で卒業式を締めくくる。


「校歌、斉唱」


 生徒達はバッと一気に立ち上がる。

 僕は一瞬たじろいながらも、遅れて立ち上がった。


 綺麗なピアノの音が鳴り響き、生徒達は歌い出す。

 …僕はこの学校の校歌など知らない。

 いや、知りたくもないだけ。

 学校自体、嫌なのだから。

 思い出とか、欲しかったなぁ……

 普通の人々は、学校生活で思い出作りして、学校終わったら友達と遊んで、休みの日もたまに集まって遊んだりして……

 ここにきて、初めて羨ましいと感じてきていた。

 そう考えていた時に、愛衣菜や葵の笑顔がフラッシュバックしていたからである。

 あんな笑顔が……見れていたのか…

 ちょっとだけ、自分の行いに後悔を感じていた。


 校歌も歌い終わり、卒業生が体育館を退場する。

 僕はとにかく前の人の追う形で体育館から退いていった。




 生徒達はおのおののクラスに戻っていった。

 僕も4組に集まっていた。

 しばらくすると担任がやってきて、少し涙ぐみながら話し始めた。


「卒業おめでとう、みんな。俺はこの日でここまで感動するとは思っていなかった。なぜ感動したかって言うと、君たちが俺に思い出を作ってくれたからだよ。本当にありがとう。またいつか、関わりを持てる事があることを、心から望んでいます…」


 僕にはその言葉が全く心に伝わってこなかった。

 でも、生徒の中には少しだけ泣きそうになっている人もいた。

 笑顔の人も、もちろんいる。


「悠理君、卒業おめでとう〜」

「あ、愛衣菜……」

「高校も一緒だから、また毎日よろしくね!」

「あ、ああ…よろしくな」


 そうだった。

 僕は葵と愛衣菜が行く高校の試験を受けて、無事合格していたんだった。

 この2人とは、いずれ縁が切りたくなっても切れないのか……いや、切れるわけがないか。


「悠理くん、卒業おめでとう」

「葵……」

「って言ってもまた同じところにいるから、なんだか不思議な気持ちだねっ」

「全く、その通りだ……まあ僕はまた引きこもるかもしれないけどな!」

「そんなこと言わないで……、次は…一緒に学園生活を送りたい……」

「僕も、出来る限り頑張ってみるよ」

「頑張ってね!応援してるよ!」


 葵は満面の笑みで僕を見つめていた。

 ……笑顔、か。


「あっ!告白大会始まるよ!!」

「な、なんじゃそりゃあ!?」

「この学校の卒業生恒例イベントよ!学年規模で行われるからもう一度体育館いくよ!!」

「お、おい、まってくれよ!」


 僕は走る葵を追いかけて、体育館へと向かっていった。






「レディース、エーン、ジェントルメーン、毎年恒例卒業生イベント、告白大会エェ〜、ようこそォ。司会は私ィ、前生徒会長がお送りしまぁすっ!!」


 ヒューーー!!という歓声と共に盛り上げられていくこのイベント。

 なんなんだこの熱気は……


「さァ、この大会は飛び入り制!来たいやつからどんどんコォイ!!!」


 ワーーーッと並ぶ男達。

 そうして彼らの女の子に対する告白が始まる。


「俺はお前が好きだーーー!!!」

「エミ、俺と付き合ってくれーーー!!!」

「お前は俺を愛する!!俺もお前を愛する!!!」


 絶叫系ばかりじゃねえか。

 そして、カップルは未だに成立数がゼロ。

 まあこんな男臭い告白じゃ気持ちなんて伝わらねえよな……



 絶好の機会じゃないか?

 でも、誰?という凄まじい視線を浴びないか…?

 しかし、ここを逃したらもう2度と言えないんじゃないか?

 じゃあ、今すべきことは何だ?

 ここに上がることじゃないのか?

 上がって、全てをさらけ出すことじゃないのか…?


 僕はスタスタと告白会場である体育館のステージへと登る。

 周りでモジモジしていたり、イライラしていた人達をスッと抜き去り………


 マイクを左手に持った。


「僕が誰だかご存知でない方が多数だと思います。僕は保科悠理と言います。3年のうちは、ずっと引きこもっていました」


 ガヤガヤと会場が湧く。


「はい静かにぃっ!!保科君、頑張れ!!」


 前生徒会長が両手をグーにし、胸元にかかげ、励ましてくれる。


「僕は学校が嫌でした。クラスの空気ともなりうる存在であり、雰囲気に馴染めず、遂には逃げ出してしまいました。同時に、同級生というものに嫌気を感じました。ですが、そんな偏見を持ってしまった僕を、救ってくれた人がいました。」


 一度息を置き、少し間を置いてまた僕はマイクに話しかける。


「彼女達はチィッターで僕と会話してくれました。でも、僕は同級生と知ってしまった途端、冷たくあしらってしまいました。しかし、彼女達の心は折れることなく、僕にまた、接してくれました。心を動かされていたんです。そこから、日常的にも遊ぶようになり、年越しを皆で送りました。」


 再び息を置く。


「彼女達は僕の目にとても眩しく映っていました。こんな人と、付き合えたらいいなと……毎日思っていました。しかし、付き合えるのは1人だけ。2人とも、僕は好きでした。いずれどっちかを選ばなければならない、それはわかっていました。ですがチキンな僕はずっと言えないままで、遂には今に至りました。」


「僕の心に迷いはもうありません。その、1人だけに伝えるチャンスがあると今知り、尚更その思いは強くなりました。」


 数秒の間を置く。


「では、僕はマイクを置きます。そして、僕自身最大の声で、気持ちを伝えます」


 僕はマイクを置き、2回ほど深呼吸をし、3回目で思いっきり息を吸った。


 そして、全てを解き放った。




「す、、き、、だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!!!!!!!!!!!!!!」





 もう一度息を吸い、今度は名前を叫ぶ。






「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッ!!!!!!!!」




 僕はこれ以上ないという声量を振り絞って名前を解き放っていた。

 息はゼーハーゼーハー言っている。マラソンを走りきったランナーのように。





「僕はお前の…………人を動かす心に惚れたッ!!!!付き合ってくれ!!!あおいいいッ!!!」



 僕は全てを出し切った。

 これで………いいんだ……


「さ、さぁ葵さーん?いますかー?いれば返事をしてあげてくださぁい?」


 と言ったその時である。




 葵の声も、これ以上ない大きさで、体育館に響き出した。






「あたしもゆうりが好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」





 そして消え入るかのような涙声で、葵は言う。




「あたしを選んでくれてありがとう……末長く、よろしくお願い……じまずっ!!」


 彼女は泣いていた。

 あれは嬉し涙だ。

 ニブチンな僕でもわかるくらい、わかりやすい嬉し涙だった。



「ここでカップルせいりぃっつ!!盛大な拍手をお願いしまぁすっ!!!」



 物凄く暖かい、大きな拍手が僕らを包み込んでくれていた。

 ありがとう、みんな。

 僕はまた一つ、成長出来ました………









 時は夜12時。

 僕は日が回った頃に、彼女である葵におやすみ、とメールを告げて就寝した。


 おやすみなさい………皆さん……











「ちょっとぉ〜、いつまで寝てるの!!早く起きなさい!!!!」


 寝起きにツンデレ感満載の葵の声が聴けるなんてここは天国なんですかね?

 ちょっとだけ遊んでやりますか……!


「あ、あと5分だけぇ……」

「いつもそうやって30分くらい寝るんだから!!はやくしないと、朝ごはん冷めちゃうよ!!」


 あ、朝御飯?

 確か、葵は料理などしないはずだが……?


「うぐぅ」

「……むーーーーっ、は、や、く……おきろぉぉぉぉぉぉおっ!!!」


 僕は布団を剥ぎ取られてしまった。

 仕方なく目を開けると、裸エプロン姿の葵がいた。


「お、おまっ………なんてカッコしてるんだよ……!!」

「あんたがいつも裸エプロンしろ裸エプロンしろって言うから……やってあげてるんじゃないっ……!」


 ……へ?

 僕そんなこと言う人でしたっけ?


「朝ごはん食べて、とっとと仕事行きなさい!!この、バカ!!!」


 仕事?え????


「し、仕事……?僕は昨日中学の卒業式を終えたばかりで」

「なぁに寝ぼけたこと言ってんの!!!あんたが仕事行かないとかの家滅びちゃうでしょ!!!

「う、あぁ……あぁ……」


 赤ちゃんの泣き声?


「あ……よしよし悠羽(ゆうは)ちゃん泣かない泣かない〜」


 赤ちゃんの泣き声で全てを思い出した。

 僕はあまりにも長すぎる夢を見ていた。

 それも、全て過去にあったことを。


「夢…か。しかし、葵は何も変わらないんだな…」

「ん?なんか言った?」

「いやぁ、なんでもないなんでもない。僕は朝飯を食べるよ……」


 今はこの言葉を葵に言いたい。


「葵」

「なに?」

「いつも、ありがとう。これからもよろしく。愛してるよ、葵……」

「いきなりどうしたのよ!!!バカになったんじゃないの!?!?………もう、バカか……」


 顔を真っ赤にして赤ん坊をあやす葵。

 僕達は結婚していた。

 お互い20の時に結婚し、結婚して1年半後に悠羽が産まれた。

 そして、今日は………

 2周年記念日だ。


「今日は2周年記念日だからな。いつもよりも、特別かな」

「………ありがとうっ、ゆーり……」




 葵の笑顔は、僕にとって眩しく輝く太陽となっていた。

完結!!!

ありがとうございました!!!!


ifストーリーも書きたくなったのでいずれか書こうと思います!

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