冬のHANABI
先程、見事にバッドコミュニケーションをしでかしてしまった保科悠理さん。
バッドは1つならまだなんとかなる。さあ頑張れ、悠理……!!
時は1時を回っていた。
皆少し顔に元気がない。さっきの影響か。それとも空腹か。
僕はとても腹が減ってきた。
「みんな………腹減ってこない?」
「へってきた」
「ぺこぺこ…」
「おなかすいたよー…」
それぞれ同じ回答だが違う反応を見せる葵、愛衣菜、りんちゃん。
「何食べたい?」
「唐揚げー」
「チキンカレー…」
「グリルチキンがいいなぁ」
もしかして…もしかしなくても煽ってます?
僕のことチキンだと煽ってます????
「もしかして、みんな煽ってる…?」
「当たり前じゃん(です)(よ)」
皆それぞれ語尾が違うが、思考は同じだったらしい。
僕は悲しいよ……
「僕、また引きこもろうかな……」
「チキンだ」
「チキンです」
「チキンね」
もうストレートにチキンと言われちゃったよ。
僕は暗い暗い雰囲気を出しながらショッピングモールを歩き出した。
飯を食べてからは、服や靴など、ファッションに関わる買い物をしていた。
愛衣菜と葵はこういうのに長けており、値は張るものの僕とりんちゃんの服装が見違えるほど変化した。
「悠理くんってやっぱスタイルいいよね…」
「悠理君なんでも着こなしちゃうね…」
「そ、そうかな……?服が良くても素がクソだったらなんも意味ないけどな……ハハッ」
「身長わけろ!!!」
「たまるか!!1センチでも分けたら170センチ台になっちまうわ!!!」
「愛衣菜ちゃん、凛ちゃん、おっぱいくれ!!!」
狙いの矛先が変わっていた。
葵、お前は欲しがり屋さんか。
「葵ちゃん、心も身体も子供なんだね……好きなだけ、すっ」
「待てりんちゃん!!!ここで脱ぐのはやめなさい!!!!!」
りんちゃんってこういうぶっ飛んだ性格の持ち主だったのか……
てか葵の表情が怒りにまみれている。オォアンデッドハート……
「みんなあたしのことバカにする……身体でバカにされてる……ううっ」
「お前はお前でいいとこあるじゃねえか……」
「な、なによ……」
僕はひょいと葵を持ち上げる。
「ほら、かるいかるーい」
「うぎゃーーー!!はーなーせー!!!」
ジタバタする葵。可愛いですね。
「葵、体重何キロなんだ……?こんだけ軽けりゃ言えるだろ……」
「さ、さんじゅう………」
「さんじゅういくつだ?」
「さんじゅう……よ」
「「「は!?!?」」」
驚いたのは僕だけじゃない。愛衣菜とりんちゃんも驚愕していた。
「お前この前31って言ってなかったか?」
「1キロ落ちた…」
「私、葵ちゃんにバカにされた気がする…」
「りんちゃんは身長があるから、ね!?ってかさー」
「どうした?葵」
「悠理くんこそ、何キロなのよ!!女の子に聞いて自分だけ答えないなんてことはしないでしょうね!!」
「ろ、ろくじゅう……」
こう言った瞬間りんちゃんの目から光が失われていった。
「ろくじゅう…?」
「よん………」
「あんたこそガリガリよ!!!もっと太りなさい!!!」
「食っても太らねえんだよ………運動したら痩せすぎるんだよ……」
「うーらーやーまーしーい……悠理君、そういうのは女の子が持つものだと思う…」
「愛衣菜はいくつなんだ?」
「15歳!!」
「年齢じゃなくて、体重な」
「女の子に聞いちゃ、だめ………」
と言いつつ、愛衣菜は両手をパーにして僕にその手のひらを見せつけた。
こいつ、なんだかんだ言って教えてくれるんだな……
「普通じゃね?な?葵」
「理想じゃない、最もモテるタイプね」
「ちょっとでぶじゃない……?」
今やもうりんちゃんが死にそうである。
「り、りんちゃん………?」
「」
「おーーい??」
返事がない。ただの放心のようだ。
「りんちゃーーーーん、もどってこーーーーい」
返事がない。まるでしかばねのようだ。
すると愛衣菜が僕に近寄り、耳元でごにょごにょとささやいてきた。
僕はりんちゃんを今までの76倍好きになった。
「りんちゃん、僕は君を愛してる」
「ふぇっ!?」
目に彩りがもどったりんちゃん。
僕は素直にこの言葉しか言えなかった。
「僕は普通が1番苦手なんだ。ロリッロリな葵のような体型も好きだが……1番好きなのはりんちゃんのような、ぽっちゃり体型なんだ」
「………お兄ちゃん…?」
「嘘だと思うなら僕の家を案内しよう、さあ行こうりんちゃん……」
「ちょっとまてーーーい!!!!」
葵カッター炸裂。場に静寂が戻る。
「ここは公共の場所!!!そんなとこで愛の告白しない!!!」
「すいませんでした……」
僕はやはりエンジンがかかると止まらないようだ…
新しい服も手に入れ、外に出ると陽が沈みかけていた。
秋も後半。もう陽が沈むのも早い。
夕方5時で外はもうほぼ夜のようだった。
「みんな、楽しかったか?」
「うん!」
「おかげさまで、ね?」
「楽しかった!!」
色々あったけども最後は結果楽しんでくれていたのか……僕としては凄く嬉しい。
「結局、悠理くんは誰が好きなの?」
「まだまだ、考えさせてくれよ……、僕は恋愛下手だろうから、決めるのには時間がかかるよ」
「はやくしないと、あたしたちに彼氏ができちゃうかもよ〜?」
「それはなんか嫌だ……」
「あはは、冗談冗談!!あたしは悠理くんにしか目がないよっ!!」
「気持ちだけは凄く嬉しいよ、受け止めておく」
「悠理君……わたしは…?」
「もちろん好きだ」
「お兄ちゃん………」
「りんちゃんは大好きだよんんんんんんんっ!!」
りんちゃんにだけ対応が露骨に違う。
葵と愛衣菜に気づかれないはずがない。
「でぶせん……」
「違う!!!それはりんちゃんに失礼だ!!!」
「あっ……!」
「どうした…あい………あっ」
雪だ。
今年の初雪。
北の国と言えど、初雪だけは注目が集まり、更に神秘的な空気を匂わせる。
パラパラと降るその雪は、まるで冬の花火という言葉がふさわしいだろう。
「きれい……だね…」
愛衣菜が喜ぶ姿を見て、僕も心が落ち着く。
「ああ……外で見ると……美しいんだな……」
「お兄ちゃん……みてみて!!」
りんちゃんが手を差し伸べてくる。
そこには、ハートの形をした結晶が乗っかっていた。
「……お兄ちゃんっ♪」
「とても美しいな………」
りんちゃんは僕の右腕にしがみついてくる。
すると、葵も左腕にしがみついてきた。
「あたしだって……諦めないから!!」
「お兄ちゃんは私の!!」
「ちがう……わたしの……」
そう言い、愛衣菜は後ろからぎゅっと抱きついてきた。
「あはは……歩きづらいなー…ははっ」
「愛の重さだよ…たぶん…」
「随分と重い!!」
「まあ、頑張りなさい!!そろそろ、学校にもきなさいよ!!」
皆それぞれ、違う暖かさがあった。
空気は冷たいはずなのに、心も体も暖かい……
もう、僕は後戻り出来ない。
3つの選択肢を……選ばないと…
ショッピングモール編終了〜
そろそろ完結も近いかなぁ




