新川好の休日
今日は久々の休日。
私は駅前のスターバックスで親友の美咲と待ち合わせをしていた。
美咲は高校時代からの親友で、裏表がなくなんでも正直に言ってくれるところが私は好きだった。
「おっす〜。久しぶりジャーン、好ー」と、相変わらずのキャラ。
なんだか懐かしい気分になる。
「美咲もおひさ!とりあえず、カフェで近況報告しよー」
「あいあいさー」
そうして、カフェに入って席に着いた。
適当に注文を済ませてから、美咲の方から近況報告をした。
昔は結構、男を漁りまくっていたがどうやらいい人を見つけたらしく、その人としばらく付き合っていたが…。
「そんでその彼氏が最近浮気してるっぽくてさー。別れるかーもしくはその事実を突きつけて二択を迫るか悩んでるんだよねー。うちと別れないってことはあくまで浮気ではあると思うんだけど。一回の火遊びなら許してやらんこともないけどさー」
「…それは…難しいねー」
「好ならどうする?」
「うーん…別れる?」
「ま、そだよねー。んで、そっちは?」
そう聞かれて…私は意を決して全部話した。
会社の上司である前原さんのこと、そして奥さんの不倫、亮さんが「俺も浮気する」と宣言したこと、そして私がその浮気相手になったこと、更に奥さんの妊娠の話まで全部…。
すると、美咲の目が点になった。
「はぁ!?!? 何それ!? 相手は既婚者で、奥さんが不倫したから自分も不倫して、その相手が好ってこと!?」
店内に響く大声。
周りのお客さんが一斉に振り返った。
「しーっ! 美咲! 声デカいって!!」
「いやいやいや、意味がわからん!! なにそのクソ男!! ここに連れてきて!! 今すぐぶっ殺すから!!」
「ちょっと待って!! マジでやめて!!」
美咲は興奮のあまり立ち上がりかけ、テーブルをバンッと叩いた。
「お前、バカなの!? 奥さんが浮気したからって、自分も浮気して!?しかも、その奥さんは妊娠してて、誰の子かも分からなくて!?そんであんたとの関係はダラダラ続けてるってこと!?ゴミ男すぎて笑えるわ!!」
「落ち着いて、落ち着いて!!」
「あの…お客様…」
美咲はさらに10分近くたって、ようやく落ち着いた。
店員さんに2回注意された頃には、少し疲れた顔をしており、美咲はアイスラテを一気に飲んだ。
「……で? 本気なの?」
「…本気だよ。亮さんはめちゃくちゃ優しくて、真面目で、仕事もできるし…。そりゃ、本命にはなりたいけど、奥さんのことも…子供ってなったらすぐバイバイはやっぱ無理じゃん?向こうはおろす気もないどころか、まだ復縁しようとしてるし…」
美咲は深いため息をついた。
「好…絶対に辛い目にあうよ。妊娠してる子がそいつの子だったらどうするの? 奥さんが産むって言ってるんでしょ?もし離婚したら奥さんが育てるの?てか、向こうの浮気相手は?」
「ダブル不倫らしくてね…。会社の上司らしいんだけど、亮さんは会ったことないし、その人とは会社以外ではもう関わりないとか」
「…そいつもとんだクソ野郎だね。んで?もし、その不倫女とわかれて、子供を引き取るとなったら、あんたが面倒見るってこと?」
「…その覚悟はある」
美咲は呆れた顔で私を見てこう言った。
「…まぁ、ウチらももう大人だし?最終的にはあんたの判断に任せるけどさ。でも、もし泣きついてきたら絶対に慰めてやるから。そこは安心しな」と、カッコよくそう言った。
私は小さく笑った。
「ありがと」
カフェを出た後、私は亮さんにLINEを送った。
『今度の休みなんですけど、会えませんか?お話がしたいです。奥さんも交えて3人で』
私はもう、後戻りできないところまで来ていた。
◇
新川さんからのLINEで思わず、俺はコーヒーカップを持つ手を止めた。
そりゃそうだよな。
俺も近々会ってもらおうと思っていた。
けど、凛は当然会いたがらないだろうな。
それを拒否したら…まぁ、またその時に考えるか。
『分かった。一応、向こうの休みも含めて調整するからちょっとかかるかも』と、返信すると、すぐに返ってきた。
『分かりました。それと…今日の夜、会いたいです』
…その瞬間、きっと凛はこうして不倫を続けていたんだろうなとかそんなことを思った。
仕事が終わり、一度家に帰った。
ほぼ定時で上がっていたが、その日も凛が先に家に帰っていた。
「…おかえり」
「…最近早いんだな」
「うん…」
「今度、うちに新川…後輩の女の子呼ぶから。今後のこと、3人で話そう」
「…うん」
「…じゃ、今日は夜出掛けるから」
「…そっか」
「そっちも好きにしていいから」
「…」
それから、用意してもらっていた夜ごはんを食べて「ごちそうさま…。美味かった」と言って、それから家を出た。
そうして、駅前で30分ほど待っていると、新川さんが走ってやってきた。
「す、すみません!!色々準備してたら…ッ、遅くなって…ッ!!」と、汗をかきながらやってきた。
「いや、大丈夫。そんなに待ってないよ」
「す、すみません…本当…ッ。こんな時間に呼び出しておいて、遅刻なんて…!」
そんな彼女にコンビニで買ったカフェラテを渡す。
「とりあえず、これ飲んで落ち着いて?」
「す、すみません…何から何まで…」
「いやいや、大丈夫。それで今日はどうしよっか?今が20時30分だから…あっ、てか夜ご飯は食べた?食べてないなら…ここら辺にいい店あったかなー」
カフェラテを少し飲んでようやく落ち着く新川さん。
「…はぁ…。すみません…。えっと…あそこにおすすめの居酒屋があるので、行きましょう」と、指さしたのは初見お断り感のある古くからあるかんじの個人の居酒屋だった。
「…中々渋めの店だね」
「友達に紹介してもらったんですけどめちゃくちゃ良くて!是非、一緒に行きたいなって思ってて…!それと…ここも…ちょっと行ってみたくて…//」と、スマホの画面を見せてくる。
それはつい最近できたばかりで、結構話題になっていた…ラブホだった。
「す、すみません!//時間がなければ全然別日でもいいんですけど…!//」
「いや…俺は明日休みだからいいけど…」
「本当ですか!?//」と、目をキラキラとさせる。
ラブホの行く行かないでそこまで純粋な目をできる子はきっとこの子だけだろう。
それからというもの、居酒屋に行き、仕事の話で盛り上がり、ほどよくお酒で酔ったところで、そのままラブホに行き…そして、お互いに貪るように…交わった。
前回の少し気を使った行為とは異なり、お互いにお互いの欲をぶつけ合うような、そんな激しい一夜を過ごすのであった。




