サバイバル・ファミリーゲーム
夕方のリビングは、いつものように熱気を帯びていた。
炬燵には姉ちゃんと僕が横並びで座り、互いに目を光らせていた。
「今日は絶対、K-POPアイドルの番組をリアタイで見るからね!」
姉ちゃんはリモコンをぎゅっと握りしめ、眉間に皺を寄せる。声のトーンは真剣そのものだ。
「えー、でも僕はお笑い番組が見たいんだ!姉ちゃんは録画してるじゃんかー!!」
僕も負けじと手を伸ばす。リモコンを奪うタイミングを狙って、じっと姉ちゃんを見つめる。
その戦いは、まるでサバイバルゲームのようだった。
お互いの手が触れそうになると、譲りたくない気持ちが強くなる。
姉ちゃんがリモコンを少し動かすと、僕はさりげなく位置をずらす。互いの呼吸がなぜかぴったり合っていた。
両親はというと、二人だけの世界にいるかのように、夫婦喧嘩に夢中だ。
「あんたたち、大人しくしなさい」とだけ言われて放置された。
だから、あとは自由そのものだ。僕たちだけがこのリビングでチャンネルをかけた争いに参加する。
結局、双方譲らず番組は半分ずつ分け合うことになった。
リモコンをバトンのように渡して、前半は姉ちゃんのK-POPタイム、後半は僕のお笑いタイム。戦略と譲歩の絶妙なバランスで、かろうじて平和を取り戻す。テレビから聞こえる歌や笑い声に合わせて、僕たちはリアクションをして、なんとなく仲直りした気分になる。
サバイバルのあとに残るのは、勝利の喜びではなく、同じ部屋で一緒に笑える時間の心地よさだった。窓から微かに差し込む夕日が僕たちの戦いを優しく包む。
姉ちゃんの髪に西日が当たり茶髪に見えた。
僕の隣でテレビを見つめる姿を見ながら、僕はささやかな幸せを噛み締めた。
家庭内の些末な揉め事も、こうして終わってみると何だか少しほっこりするのだ。




