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第3章 ずっと一緒だよ

「あれぇ?私のえんぴつがないよぉ?机の上に置いておいたのにぃ」

 

 菜穂花がわざとらしい声を出す。紬はつまらない目でソレを眺めていた。どうせどっかにあるくせに。

 大袈裟な……。するとすぐに菜穂花の周りに他の女子達が集まって来る。

 

 「え?誰かが盗んだんじゃない?」

 

 川岸さんが薄笑いで菜穂花に話しかける

 

 「たぶんそうだと思う。だって机の上にちゃんと置いておいたんだもん」

 「誰が盗むんだろう。」

 「さぁ、でも可能性があるといえば……」

 

 土方さんが紬の方を見る。どうしてこっちを見たの⁉

 

 「紬じゃなぁい?」

 

 どうして?なんで?紬は目を見開いた。

 

 「確かに」

 「あやしいなぁ」

 

 今度は紬の周りに女子達が集まって来た。

 

 「ねぇ紬、菜穂花のえんぴつ知らない?」

 「え?なんで?」

 

 紬の感が絶対に何か企んでいると告げる。

 

 「筆箱の中みてい~い?」

 「別にいいけど?」

 

 紬は平然と答えた。川岸さんの手がチャックに触れる。なぜか心臓の鼓動がものすごく早くなった。

 

 「あれぇ?これウチのえんぴつだよぉ?紬ちゃん……まさか盗んだの⁉」

 

 なんでそうなる‼そもそもなんで私の筆箱に入ってるの?まさか、さっき先生と話していたすきに……

 紬の頬を冷汗がつたう

 

 「へぇ、紬ちゃんって泥棒だったんだぁ」

 「ちっ、違う‼それは……」

 「じゃあどうして筆箱に入ってるわけ⁉」

 「先生に言わなくっちゃね。あ!ちょうどいる‼早井せんせ~い‼」

 

 菜穂花が軽いノリで先生に話しかける。

 

 「ん?どうした菜穂花。」

 「先生聞いて~?紬がね、私のえんぴつ盗んだのぉ」

 

 なんで……。もうこの人たちは止められない。紬は絶望感に包まれた。夢來……助けて

 あ、夢來は今係の仕事でいないんだった……ああもうだれかぁ

 

 「本当か?紬」

 

 うそでしょ⁉本気で疑われてる‼

 

 「……」

 「何も言えないという事は事実ってことか?」

 「ち、違います!私の筆箱になぜか入っていたんです‼それで……」

 「そんなはずないよ」

 

 宮川春が紬の言葉を遮った。

 

 「私見たんです、先生。紬ちゃんがこっそり菜穂花ちゃんのえんぴつを取っているのを。でも私

 びっくりしちゃって、声がかけられなかったんです。」

 

 先生はうなずくと紬の方に向き直った。

 

 「紬……本当なんだな。お前がそんなことをするとは思っていなかった」

 

 どうしよう‼このままじゃ本当に私が盗んだことになっちゃう‼

 

 「違います」

 「じゃあ宮川と菜穂花2人とも嘘をついているっていうのか⁉」

 

 先生が目を吊り上げる

 

 「もういい。お前にはがっかりだ。嘘をつくと信頼をなくすんだよ?まったく……」

 

 紬は手に力を込めた。

 

 「とにかく、菜穂花にあやまりなさい」

 

 何で私が誤らなきゃいけないの⁉あやまる必要はない。あやまりたくない。そう思ったけれど

 先生と菜穂花達の視線が刀のように突き刺さる。

 

 「……ごめん……なさい」

 

 なんで私あやまっちゃったんだろう。悔しい。自分の中で何かが切れたのを感じた。

 

 「よし。菜穂花も怒っているとは思うが紬の事、許せるか?」

 「うん。別にもう怒ってないよ。謝ってくれたことだし。」

 「そうか、菜穂花は寛大だな。もう帰れ」

 

 紬の心の中は暗闇に包まれたみたいな感じだった。

 …………………………………………………………………………………………………………………………………

 ふぅ~。英語係っていうのも楽じゃないな。紬と話したかったのに。これじゃ休み時間潰れるよ……

 ガラッと変な音をたてる扉を思いっきり開ける。

 

 「あ!紬~」

 「あ……夢來」

 

 ん?どうしたんだろう。紬、何か暗い。

 

 「紬、どうしたの?なんか暗いけど……」

 「ううん、何でもない」

 

 私にはすぐにわかった。これは作り笑顔だ。紬、何かあったのかな……

 その日の帰り

 

 「ねぇ夢來、今日は1人で帰ってもいいかな」

 

 私はちょっと口をとがらせる

 

 「別にいいけど……どうして?」

 「なんとなく」

 

 気まずき雰囲気が続く。

 

 「じゃ!」

 

 紬はランドセルを背負うと先生と目を合わせないようにしながら教室を出た。

 変なの。私のこと、嫌いになっちゃったのかな……まさかね。

 今までは1人で買えるのが当たり前だったけど、紬と帰るようになってから1人が寂しくなった。

 

 「朔ちゃん、一緒に帰ろ?」

 

 私は幼馴染の桐生朔夜に声をかける。昨夜は仏頂面をしたまま頷いた。

 教室を出た瞬間、朔夜が口を開く。

 

 「夢來、最近お経読んでないだろ?神力低すぎ」

 

 神力というのはお経を読んだりという事をすればするほど身についていき、神力が強いと

 様々な能力を持つことができると言われているのだ。

 

 「口を開いたらそれ?学校のキャラと外のキャラ違いすぎ‼」

 

 朔夜の父は寺音院神宮の宮司。私は巫女見習いだけど、朔夜は寺音院神宮の宮司跡取り。

 だからお互いの能力を知っている。朔夜は私の過去視能力、私は朔夜の神妖気察知能力を。

 生まれつき朔夜の神力の方が私の神力より少し多いから私は朔夜の過去を見ることができない。

 

 「朔ちゃんは全部厳しいんだよ。」

 「お前のために言ってるだけだ。あと、朔ちゃんって呼ぶのやめろ」

 

 私はからかうような目で、朔夜を見つめた。

 

 「それから……」

 

 朔夜が急に真剣な表情になる。

 

 「菜穂花達とは関わるな。気にするな。」

 「え?」

 

 そう言い残すと朔夜は姿を消した。最後の、どういう意味だったんだろう。私と菜穂花のこと見てた

 のかな。っていうか、朔夜瞬間移動できるようになったの⁉う~、羨ましぃ。

 もうちょっと神力をあげて、絶対に私も瞬間移動できるようになってやるんだから‼

 …………………………………………………………………………………………………………………………………

 菜穂花は部屋のベッドに寝っ転がると、ポケットからスマホを取り出した。そのままLINEを開き、

 グループラインに移る。メンバーは8人。菜穂花はふぅっとため息をつくと、TUMUGI♡と書かれた

 名前を長押しする。ブロックする、報告する。菜穂花はブロックするというボタンを即座に押した。

 TUMUGI♡さんがグループLINEからブロックされました。と1つの通知が来たが、菜穂花はスライドして

 消した。高速で打ち込むとすぐにグループラインに送る。

 『みんな‼紬、グループLINEから消してやった(笑)』

 そう送ると、続々と返信が送られてくる。

 『ナイスです!』

 『紬って目障りだよねぇ(;´・ω・)』

 『それなww』

 『わかるぅ、はっきり言ってうざいよね』

 菜穂花は笑みを浮かべた。み~んな私とおんなじことを言ってる操り人形みたいなもん。全員私の見方  

 『夢來もうっとおしいけど、紬がずば抜けでうっとおしいわ』

 返信を待つ。

 『ねぇ、もし紬が先生に言いつけたら、ちょっと懲らしめようね。』

 『サンセー』

 菜穂花は思考回路を高速で巡らせる。でも、その作戦が先生にばれたら、もう終わり。

 『明日の帰り道に泥を付けるとか?』

 『でもそれ家帰って紬のお母さん経由で即バレするやつじゃん』

 裏でこんなことを話されているなんて、紬には知る由もなかった。 

菜穂花の裏の顔が完全に見えてきました....

今の時代、グループラインはそういう裏もあるんですね

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