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ラジオの声

作者: 万年寝太郎

高校3年生の夏に部活を引退し、私もみんなも本格的に受験勉強を始めた。とはいえ私の志望大学は模試でB判定だった地元の大学なので、少し余裕があるなと息を抜いていると秋にはC判定に下がっていた。


模試の成績が下がっていたことが母にバレて「もー!あんたはスマホ禁止!」と夜はスマホを没収されてしまった。

周りも勉強したから相対的に下がっただけだと言い訳をしたが、まあ気を抜いていたのも事実であり結果として判定が下がってしまっている以上母の意思は変わらなかった。


私と仲のいい子たちは受験シーズンに入ってからメッセの送り合いは控えるようになったし、家でスマホを没収されてることを伝えているので連絡に不便はなかった。

困ったのは勉強をする時だ。

私は静かな環境で勉強をするよりは音楽や動画を流しながら勉強をするタイプだったので、スマホがないのは大いに困った。

母に伝えても「スマホを返すと余計なこともしちゃうでしょ」と、とりつく島もなかったことを休日に帰省した姉に愚痴ると「ラジオはどう?」と勧められた。

「中学生の時に父さんから譲ってもらって一時期ハマってたけど、スマホ買ってもらってからは全然使ってないや」「父さんも新しいの買ったから要らないって言ってたから部屋に置きっぱだよ」

ありがたく姉が使ってた部屋からラジオを拝借したが、ラジオなんて今まで使ったこともなく最初は使い方がわからなかった。日中にスマホでラジオの流し方を調べ、母に見つかると何を言われるかわからなかったのでイヤホンを繋いで毎日こっそりと聞いていた。

勉強時の作業用BGM代わりのため、番組とかには拘っておらず適当に周波数を合わせて聞いていたが、ある時からは一つの番組を聞くようになった。聞き流すには内容が可もなく不可もなく、時々面白いコーナーがあったため勉強に飽きた時に聞き入るのにも丁度よかった。

ただ、ラジオのパーソナリティの話し方はお世辞にも上手とはいえず、司会を勤めるには滑舌も発音も少しだけ変だった。まあ耳馴染みはよかったため、そのまま番組のリスナーを続けていた。


『きょっうもお便りたくさんありがとぉ〜!』と司会者の声がイヤホンから響く。リスナーからのはがきやメールの投稿を読み上げるコーナーだ。投書のうちのいくつかがピックアップされて読まれるが、中には自分と同じ境遇の人がいたりと親近感を抱いた。しかし毎日お便りのコーナーを聞いていると投書のエピソードがあまりにもそっくりであることが続き、徐々になんとも言えない気持ち悪さを覚え始めた。最初はすごい偶然もあるものだと思っていたが、放送の何回かに一回の偶然が毎日になり、毎日一通だったものが全ての投書の内容が自分に当てはまるようになると恐怖に変わった。けれどもこのラジオ番組を聞くのをやめようという考えには不思議と至らず、惰性で流し続けた。


2ヶ月ぶりに姉が帰省した際にふとラジオの話になったため、聞いているラジオのリスナーの投稿が全部自分に当てはまることを話すと「すごい偶然だね〜」と軽く流された。昼間はそこで話が終わったが、夜になると「私も久しぶりにラジオ聞きたいし、ちょっとそのお便りのコーナーも気になるから今日一緒に聞こう!」と姉が私の部屋に来た。

姉が部屋に入るところだけを見た母が「勉強の邪魔しちゃ駄目よ」と声をかけたが、「大丈夫だって〜。勉強教えてあげるだけだから」と適当なことを言って丸め込んだ。

部屋の外に音が漏れないよう、姉とイヤホンを分け合ってラジオをつけると、いつもの番組が流れていた。

『でっでは〜!こーーこからは、まいど恒例のお便りのコーナァ〜!!』

『ラジオネームにゃろうさんからの投稿でぇす!わっわたしにはお姉ちゃんがいて、とても仲良しです!きょっうの放送はいっしょに聞く予定です!』『あっありがとねぇ〜!!』


一緒にラジオを聞いていた姉が「この人あんたの声にそっくりだね」と言った。

「わっわたしの声ぇ?」

ラジオからは『わっわたしの最近のぉ〜』と声が響いている。

「うん、声もだけど喋り方の癖とかも似てるね」

声が似ているかはわからないが、たしかに私は喋る時に吃りやすく声も上擦ることが多い。姉に指摘されるまでパーソナリティの喋り方が自分と一緒だと気付けなかった。

不快感や恐怖を感じながらも何故か今まで流していたラジオが急に聞くに耐えられなくなった。急いでイヤホンを外し、動揺したのか勢いで腕がラジオに当たった。床に落ちた拍子にラジオが壊れてしまい、音は流れなくなった。

「わっ、びっくりした!」「壊れちゃったけど、だいぶ古かったしね。捨てちゃおっか」

大きな音に何事かと様子を見にきた母に、姉は「ラジオって不燃ゴミ?」となんともないように話している。うるさくしたのを母に怒られ、部屋に1人になった。静かすぎるくらいであったが、あのラジオを聞き続けるよりかはよほど勉強に集中できた。


翌日姉にラジオの話をすると「声?どんな声だっけ、そもそもなんの番組聞いてたか覚えてないや」とあっけからんとしていた。「二日酔いかな?」と姉は零していたが、スマホで番組を調べてみるとそんな番組自体なく、ラジオが流れていた周波数で放送している番組もなかった。

私は一体何を聞いていたのだろうか。それ以来、勉強をするときは何も聞かなくなった。

夏だからホラーを書きたくなりました。ちゃんと小説を完成させたのは十数年ぶり人生2作目です。読みにくさはご容赦ください。

録音した自分の声って自分が聞こえてる声と違うし滑舌も悪いしで気持ち悪いなと思って書きました。

作中での主人公やラジオの喋り方は、吃音症の方などを揶揄する意図はありません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 気が付かずに聴いていたラジオが実は自分の声(><) ヒェ~ってなりました! [一言] 確かに自分の声って録音されたものを聞くと全然違いますよね。
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