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短編とかその他

生きているけど死んでいる

作者: リィズ・ブランディシュカ



 たくさんの目がある。


 たくさんの目があるのに。


 その目は僕を見ているのに。


 誰もの目が僕を見ているのに。


 僕がその皆に視線を向けると、その目はおどろくほどそっぽを向くんだ。


 決して目を、あわせてはくれない。






「もう大丈夫よ」


 間に合ってなんていないよ。


 大丈夫だったものなんて、ないよ。


 この体に心なんてないよ。


 ずっと一つの場所に閉じ込められていた時に、心をすりきらして、なくしてしまったから。


 それはとっくの昔に終わった出来事だから。


 心に思い浮かぶのは、薄暗い部屋。


 そこから見える窓。


 その向こうに青空が見えたはずだけど、もう思い出せないよ。


「もう大丈夫よ」


 何も見えていないんだね。


 体しか見えていないんだね。


 傷がなおって、栄養がかよって、ふくよかになっていく体しか見えていないんだね。


 今さら救い出してくれるなら、どうしてあの青空が見えていた頃に助けてくれなかったのさ。


 どうして、間に合ってくれなかったのさ。


 もう忘れてしまったよ、心なんて。


 体を治されても、治らないよ。心なんて。


 ベッドの上で目覚めても空っぽだよ。


 カーテンの向こうに朝日がのぼってきても、そんなもの存在しないよ。


「もう大丈夫よ」


 だから何が?


 って、何度でも言うよ。


 生きているけどもう、死んでいるんだから。



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