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きっと今日は幸せな日


見上げれば鮮やかな青い空、流れる白い雲、眩しい太陽はまるで俺の輝かしい一日を祝福してくれているかのようだ。


あぁ…暖かい…なんて優しい光なんだろう…

こんな柔らかな日差しに包まれた俺はきっと、一日を穏便に平和に過ごせるはずだ。


空へと向けた顔を下ろして周囲に意識を向ければ、鬼のような面に俺の2倍はあるであろう巨体を携えたオークの団体、ぬらぬらしたピンクとも紫ともつかない色の触手の塊、スペード型の尻尾の先から怪しい液体を垂らしながら歩く学生服のサキュバス、声を張り上げて往来で媚薬を売る薬屋、紐を括りつけた五円玉?(に似た銅板)を手からぶら下げ歩く人間族、あちこちから響く嬌声、嬌声、嬌声、きょ



「あぁあぁぁぁぁもぉ?!なんだってスプラッシュ広場周辺はいっつもこんな地獄のエロ同人寄せ集め蠱毒みたいな状況なんだよ?!」



平和崩壊。

俺の心は今日も絶頂しています。

優しい日差しもクソもない。

太陽に当てられた淫魔は「熱くなってきちゃったからシャワー浴びたいなぁ…♡」と身を擦り寄せホテルへワープするだろう。

光合成により急成長した知的植物は山菜取りに来たいたいけな少女を絡めとりぬるぬるぐちょぐちょの苗床とするだろう。

この世界で太陽に安らぎを感じる生命体は極わずかであり、つまり俺はイレギュラーなのだ。



「なっ、なぁにアオイ。いきなり叫んだりして」


「スミレ…悪ぃ、いやな、その…相変わらず賑やかだなって………」


「そう?…ううん、そんな事ないけど。だってもうすぐ新年でしょう。やっぱり普段よりは人が少ないと思う」


「そっか…」



この世界におけるイレギュラー。

つまり地球で言うところの『貞操観念のしっかりしている人』は、俺が転生してきて早くも20年。俺と、俺が近くに居たせいで影響をモロに受けたのであろう幼馴染のスミレぐらいしか見たことがない。



「…ってかさ、俺が誘ったとはいえ迷惑じゃなかったか。その…俺の墓参りなのにスミレも着れてくなんて」


「んーん、平気。今日はお仕事も休みでやること無いし、アオイが迷子になるかもしれないから心配」


「さすがに迷子ネタもずっと擦られるとメンタル的に辛いんだが」


「ふふっ…♪仕方ない。アオイはいつまで経っても子供っぽいもの」


「…まだ目的地までそこそこ距離あるし、出会った頃からの昔話でもしながら歩こうか。…やっと墓参りができるようになったんだ。しっかり報告しないといけないし、思い出しとかないとな」


「はいはい、お付き合いしますよ〜」



今でもはっきりと思い起こせる。

俺がこの世界で生きた新しい人生の事を。

すごい頑張って生きてるんだ。

生きる意味にしてもいいって思えたものがあるんだ。


父さん、母さん

異世界で好きな人ができました

その子のことを紹介します

別に付き合ってる訳でもないのにキモがられるかもしれないけど

伝え終わったらきちんと告白します

だから

ちょっと長話に付き合って、な?

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