七月二十二日
その日は腹を潰されたような痛みで目が覚めた。
ボヤけた視線を時計に向けると時間は朝のニ時頃だった。
そのときの私は何故かとても喉が渇いていたので起き上がって水を飲みに行こうと思ったのだが、疲れからか身体がピクリとも動かなかった。
動け、動け、と必死になって指示をしても私の身体は不思議なくらい言うことを聞かない。
諦めて一度目を瞑り、もう一度目を見開くとまつ毛にゴミでも乗っていたのか視界に人のような影が映り込んだ。
ゴミを払おうにも身体が動かないので仕方なく私は目をパチパチとやったが影は消えなかった。
喉の渇きを諦めたからか、意識が再び腹痛に向き、何故今まで忘れていたのかが不思議なほどの圧死でもするのではないかという痛みが腹に襲いかかる。
痛い痛い痛い痛い痛い。
あまりの痛みに私は目を瞑り、歯を強く噛み締め、涙を流した。
腹痛が治ると目を開けると涙でゴミも流れて落ちたのか視界は安定しており、痛みが和らいだからか身体も普段のように動いた。
あれほど強烈だった喉の渇きも全くと言っていいほど感じなかったが、私は起き上がって一杯の水を口にした。
その日の状況はよく考えてみればよく言う金縛りというやつだったので後日オカルト好きな友人にその体験を面白おかしく話してやった。
するとその友人には珍しく、
「お前、つかれてるもん。」と心配そうな顔をして私を指さした。
「そうかもしれないな。」と私は笑った。