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小鳥に説教をするアッシジの聖フランチェスコ

作者: アリマシヲウ

ちなみにこのタイトルはジョット・ディ・ボンドーネ作の絵画である。作者は他に『オニサンティの聖母』などの有名な絵を描いている。



突然だが読んでくれているあなたにはこのタイトルに込めた意味はわかるだろうか。




元にしたものは歴史的な絵画のタイトルであるのだが、別に私はその絵について記述するわけではない。じゃあどういう意味か。これはスピーチの時間に発表したものであるということを前提において欲しい。当時は高校3年生であった。大学受験の直前期である。たかがクラスメイトのスピーチなんて真剣に聞きたくないという人も少なからずいると思う。私はこのスピーチをまるで小鳥に語りかけるかのように話すから、あなたたちはたまたまそれが聞こえている、そんな気持ちでスピーチを聞いて欲しい。こうした意味を込めてこのタイトルをつけた。




誰かこの意味を読み取れた人がいたであろうか。そんなんわかるわけあるか。そう思ったと思う。それは当然だ。しかしこの私のタイトルは言葉というもののメカニズムに反しているわけではないと私は考える。ただ、このタイトルがこうした意味を持つという「共通理解」がなかっただけだ。ということは私たちが日頃から使っている言葉は相手側がこう受け取ってくれるだろうという共通理解の前提で成り立っているのだ。




では私たちの使う言葉は常に100%正しく受けての頭で翻訳されているだろうか。そうではない。誰しもがそうした経験があると思う。指示を出したはずなのにうまく仕事をしてくれなかったり、思ってもいない言葉で誰かを傷つけてしまったり。自分の頭で考えた思いを共通のツールである言葉に翻訳し相手側に伝え、相手は受け取った言葉を脳内で思いに翻訳し発話者の思いを理解する。この工程には幾分かの意味の消失があると考えていいだろう。




加えて、これからの私たちの社会はグローバル社会である。頻繁に異なる母語を持つ人とコミュニケーションを取る必要があるだろう。こうした関わりには言語間での翻訳が起こる。この翻訳も必ずしも100%同じ意味を持つ言葉に翻訳できるわけではない。同じ言語でもロスが起こるのに、これからのグローバルな関わりに言葉というものは耐えられるのであろうか。



私は言語に変わる新たなコミュニケーションツールが発明されるのではないかと考えている。意思と意思を直接繋げることができる。コミュニケーションの手段だ。おそらくテレパシーのようなものになるだろう。その実現に関しては多分もう誰かが頑張っていると思うし、そこら辺は頭の良い人に頑張ってもらいたい。




ここまでがスピーチの内容である。このスピーチの感想として私の言いたいことが伝わっていないような感想があったためここで補足していきたい。言葉は思いを100%伝えられないというスピーチが、100%伝わらないというのも面白いことだね。




では一体どんな感想かというと「言葉がなくなってしまうのは悲しい」というものだ。なしてなくなるの。確かに言語よりも高次元のコミュニケーションツールが出てくるかもしれないという話はしたが、それは効率と利便性を追求した結果であって、言葉の良さというのはその意味の消失にあると私は考える。




言葉を使った文化的な作品は数多くある。また過去の出来事も文字、言葉によって伝えられてきた。例えば日本の誇る俳句だ。この文化は決められた文字数で情緒や詫びを表現するものだが、実際作者の意思を100%受け取るのにこんな不便なものはない。しかし私たちはこの作品から想いを読み取り、美しさや趣を感じている。それは言葉を脳内で翻訳する工程に面白さがあるのだ。人それぞれに解釈があって、多種多様な受け取り方がありそれを共有することが楽しいのだ。




言葉はその不便さから文化的に発達し、私たちにとっても不可欠なものとなった。私が伝えたいことは言葉の不便さ、美しさである。この文章を読んで私が何を伝えたかったのかは、読んだあなたの解釈にお任せしようと思う。









小説って面白いよね

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