表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僧院育ちの少年は『神槍紋』『転生賢者紋』を得てぐぅ聖オバケになりました。  作者:
魔境と人境の間

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/147

朝食を取りました。

( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます)

「リィフ様、朝食の支度ができました」


 テントの外から、ハウザーの声がそう告げた。

 ルルスファルドとアルシード、バッカニアと一緒にテントを出ると、コボルトたちが大きな鍋で粥を作っていた。

 ここしばらくの間、子犬のようにじゃれついてきていたセルトの姿は見当たらない。


「……セルトは?」


「夜に少し粗相をしまして、朝餉抜きの罰を与えております」


 強張った口調でそう答えたハウザーは、リィフに粥の入った椀を出した。

 僧院育ちのリィフに気を遣ったのだろうか、肉類が入っていない簡素な粥だ。

 気にしないでワイバーンの肉でも骨でも使ってもらって構わないのだが、この場で言うのはやめておくことにした。


「ありがとうございます」


 受け取った粥を口に運ぶ。

 口の中に、かすかな痛みが走った。

 舌を出し、違和感の正体を確かめる。


「……なにか?」


 ハウザーの問いに、リィフは草の棘のようなものをつまんで見せた。


「サボテンの棘みたいです……毒が入っていなかったので、油断をしていました」


 ルルスファルドが<大丈夫じゃ>と言ったので安心して口に運んだのだが、変な伏兵が潜んでいた。

 リィフが口に出した『毒』という単語に、ハウザーたちは表情を引きつらせた。

 その表情を確認し、リィフは言った。


「セルトの縄をほどいてあげてください。大体の事情は見当がついていますし、皆さんを恨むつもりもありません。むしろ、私を狙った策謀に、皆さんを巻き込んでしまったのだと思います。申し訳ありません」


 粥の入った椀をアルシードに預け、リィフは両手を合わせた。


「……やはり、お見通しでいらしたのですね」


 ハウザーは観念したように言った。


「セルトは声が大きいですからね」


 と、いうことにしたが、実際はルルスファルドがハウザーの記憶を読むことで、もっと前から把握していた。

 リィフに懐いてくれているセルトをハウザーが縛り上げたことで、仕掛けてくるだろうと思ったのだが、結局、粥に変なものは入っていなかった。

 本当に毒を盛られてしまったらそれなりに強硬な態度を取らざるを得ないところだったが、セルトの説得が功を奏してくれたのだろう。


「やらなかったのか? ハウザー」


 コボルトの一人がそう問いかけた。


「見通されている気がしてな」


 ハウザーの独断で中止をしたようだが、他のコボルトたちも似たような印象を持っていたのだろう。特に苦情を申し立てるような気配はなかった。


「事情を聞かせていただけますか?」


 だいたいのところは、ハウザーの記憶を読んだルルスファルド経由で把握していたが、本人達の口からきちんと聞かせてもらうべきだろう。


「はい」


 ハウザーは居住まいを正す。


「……そのまえに、セルトをほどいてあげてください」


 このままだと忘れられてしまうことになりそうだった。


「はい、少々失礼を」


 一度中座したハウザーが、セルトを連れて戻って来る。


「うわぁ、リィフ様リィフ様リィフ様っ! 良かった! 良かった……うわあぁぁん!」


「ありがとう。大丈夫?」


 リィフに飛びついて尻尾を振ってギャン泣きするという器用な挙動をしたセルトをあやして座らせる。


<この犬ころ、距離感がおかしくないかや?>


 何故かルルスファルドが不穏な目をしていた。

( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)


次回更新は明日朝7時を予定しております。

 

「面白かった」「もう少し読んでもいい」と感じて頂けましたら

 下の☆☆☆☆☆の評価部分や『ブックマーク』のところをテケテケポンと叩いて応援を頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2025/02/28からリメイク版はじめました
パンと弾丸とダンジョンと・Rebake

― 新着の感想 ―
[一言] テケテケ(また姪御が独占欲的な警戒心を発露してる)
[一言] テケテケ(いずれにしても、毒や刃物如きで現人神が斃せるとは思えぬ)
[一言] これ、子供が本命なパターンかな? 油断してるとこにぐさりは王道
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ