力ずくで行きました。
( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます)
(不用意に隙を見せるから余計に血を流す羽目になる)
クリオネの頭に戻ったリィフに、ルルスファルドが釘を刺す。
「ごめん、すみません、ありがとう」
側に居たルルスファルドとアプサラスに詫び、テケテケにお礼を言った。
何かしてくるとは思っていたが、いきなり食べに来るとは思っていなかった。
何かあっても対応できる自信はあったが、ルルスファルドたちを心配させ、余計な血を流す羽目になったのは間違いない。
やはり硬直していたバッカニアとアルシードに「大丈夫です」を声をかけ、竜王族たちに視線を戻す。
「道を開けていただけますか?」
テケ。
テケテケが偽一文字をちゃきんと鳴らす。
「……り、陸人風情が! スライム風情がっ!」
陸人ごとき、スライムごときに気圧される。
その事実にプライドが耐えられなかったようだ。
二匹の竜王族が動き、赤い火球を放った。
テケ!
偽一文字が抜き打たれる。
三日月型の斬撃波が二つの火の玉をまとめて断ち切り、消し去った。
そして次の瞬間には、二匹の竜王族は頭に強烈な打撃を受けて失神、海へと落ちていった
アルシードを空中に残し、稲妻を思わせる速度で動いた海賊竜バッカニアの仕業だった。
アルシードは例のグリーングリフォンの衣装の力で空中に浮いている。
「き、貴様らぁっ!」
「ただで済むと思うなっ!」
残った八匹の竜王族も牙を剥き、戦闘態勢に入る。
<さて>
ルルスファルドはくふふ、と笑った。
<どう収拾をつける? 叔父御殿>
「……力ずく、かな」
変に言葉で説得しないほうがいい相手のようだ。
言葉でどうこうしようとすればするほど、プライドを逆撫でし、興奮させてしまう。
力ずくで排除したほうが、ここは話がすっきりしそうだ。
印を組み、呪を唱える。
ヴァルナに来て貰うことも考えたが、竜王族が激昂状態でヴァルナが出てくると、事態がさらに混乱しそうだ。
風神ヴァーユの呪、風天呪を使うことにした。
namaḥ samanta-buddhānāṃ vāyave svāhā
(ナマハ サマンタブッダーナーン ヴァーヤヴェー スヴァーハー)
風が渦巻き、暴風となる。
「ぐ、な、なんだこれはっ!」
「何者だ、貴様っ!」
「う、ぐわぁーっ!」
大小の竜巻が大蛇の群のように襲いかかり、八匹の竜達を彼方へ吹き飛ばしていった。
――こんなところ、かな。
死にはしないだろうが、当分帰ってくることもあるまい。
あとは、墜落させた三匹の竜王族だ。
顎をばらばらにされた最初の一匹以外は大けがはしていないが、気を失って水面に浮いている。
スキュラたちが群がって行くのが見えた。
敢えて餌食にすることもないだろう。
「【解放・トリシューラスライム】」
十匹のトリシューラスライムを解放、空中から水面へと降下させた
テケー!
十本の三叉銛を携えた十匹のスライムは、どぼんどぼんと海中に沈み、そこから回遊魚のように動いてスキュラたちを迎撃する。
水神ヴァルナから与えられた三叉銛の威力は絶大であり、一度繰り出されるごとに輝く渦を巻き起こす。渦に巻かれたスキュラたちは次々と浄化され、姿を消していった。
「【解放・トロピカルブルースライム】」
続けて六十二匹のトロピカルブルースライムを出し、竜王族達を近くの小島へと搬送してもらった。
「生かしておいても、逆恨みをされるだけでは?」
アプサラスがクリオネのバッカルコーンを動かした。
始末してしまったほうがいいというのだろう。
「殺してしまったら、後戻りできなくなります」
リィフは首を横に振る。
「それに、殺してまで恐れなくちゃいけないような闘争心はなさそうですし」
嫌な言い方だが、こちらが強者であれば、恨みはしてもなにもできない手合いだろう。
人と竜を同列に考えるのはまずいかも知れないが、領都カマルやマイス僧院で見てきた人間達と、精神的には大差ないように見えた。
どちらかというと、海人族などを生け贄に取って生きるという習俗のほうが問題だろう。
肉食の生き物が、生きるために人を喰うのとはわけが違う。
とはいえ、還俗僧侶、もしくは領地入り前の小領主リィフの手には余る話でもある。
水神であるヴァルナとも話をしてみたが、はっきりした答えは結局出せなかった。
とりあえず、テケテケに顔面を寸断された最初の竜王族の様子を見に行くことにした。
島の上には搬送したが、治療しなければそのまま死んでしまうだろう。
アプサラスのクリオネで島に降りようとすると、一足先にバッカニアが地上に降りているのが見えた。
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回更新は夜の予定です。
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