スライム二号(1)
( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます)
ルルスファルドの指示を受けた一〇八匹のグールスライム、改めトロピカルブルースライムたちは海上を滑るように、あるいは海中を飛ぶように散らばって、海人族の国を探した。
星空の下をテケテケと突き進んだり、鮫の腹の下にコバンザメのように張り付いたりしつつ探索行を進めていたスライム二号は島のようなものを見つけた。
テケ。
水鳥のように水面に浮かび、島を見上げる。
おかしな島だった。
ヘドロの塊のような、異臭を放つ泥の山。
けれど、綺麗な歌が聞こえる。
たぶん、海人族の歌だろう。リィフやルルスファルドの言葉とは違う響きがあった。
テケテケ。
あまり近づきたくない匂いだが、二号は海人族を探さなければならない。
ぬるぬるしたヘドロの山に飛びついて、テケテケとはい上る。
ヘドロの山は六角形に近い構造をしており、真ん中の部分が盛り上がっている。
その上に、一隻のボロ船が乗っていた。
もとは帆船だったようだが、マストがない。船体のあちこちが腐り、崩れていた。
歌声の主は、そのボロ船の上にいた。
緑色の羽毛と毛皮でできた、ぼろぼろの衣装を身につけた、薄い金色の髪に赤茶色の目の少女だった。
年の頃は一〇歳くらいだろうか。
薄汚れ、かすれているが、綺麗な声だった。
テケ。
この島の生き物は、この少女だけのようだ。
テケテケ。
今度は船に飛びつき、甲板まで這い上がる。
甲板の上にぽんと降りると、腐った材木がぎしりと音を立てた。
はっとしたように歌をやめ、少女は二号に向き直る。
テケ!
小さくぽんぽん跳ね、二号は挨拶をする。
厳しい表情をみせた少女だが、二号の挨拶が通じたのか、怪訝そうな顔になる。
その次の瞬間。
ヘドロの山が、大きく震えた。
地響き、ではなく、何か、大きな生き物の声。
ヘドロの山が形を変える。
六角形の山体から、四本の足と尻尾、長い尻尾と首が伸びる。
ヘドロの山の正体は、亀に似た胴体を持った、巨大な竜だった。
長い首が動き、甲羅の上の少女とテケテケの姿を見下ろす。
隻眼なのだろうか、左目はヘドロの中に埋まっていた。
グォォォォォォッ。
唸るような声が響いたが、これも海人語のようである。
少女が高い声で応じると、ヘドロの竜はテケテケに呼びかけるように、またグォォと吼えた。
テケテケに海人語はわからないが、かなり乱暴で、威圧的な響きである。
だが、二号は細かいことは気にしない。
慌てず騒がず、テケテケと応じた。
だが、二号の言葉もヘドロの竜には通じない。
なんだこいつは、というように唸ったヘドロの竜は、竜は甲羅の上に尻尾を伸ばして来た。
つまみ出すつもりのようだ。
テケ! テケ!
二号は、素早く左右に跳ねて逃れる。
なんなんだ、いいかげんにしろ、というように、ヘドロ竜はうなり声を上げる。
そこに、声が聞こえた。
亡霊たちがささやき、すすり泣くような、冷たく、不気味な声。
何の声かは、二号にもわかった。
テケ。
鋭く鳴いて、周囲を見渡す。
海面に無数の波紋が浮いて、スキュラの群が現れた。
とりついた海人族の口を動かし、不気味な声をあげながら。
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回更新は昼の予定です。
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