試しにやってみました。
( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます。タイトルの調整を行いました)
リィフがズミノ一味を治癒、悔悛させた少し後、カマルの衛士と商人の男達がやってきた。
リィフが感じとっていた気配は、ズミノ一味のほかもう一グループあったが、その正体はアーシュの仲間の商人達だった。
アーシュが吹いた獣人笛の合図を受け、カマルの衛士を呼んだのだが、テケテケの乱入、リィフの出現によって加勢に出るタイミングを失っていたらしい。
地元である湖都マングラルならともかく、マールゥト侯爵領で許可無く捕り物をやるわけにはいかない。カマルの当局には事前に話を通してあったそうだ。
そうしてリィフは目撃者としてカマルの領都庁へ同行することになった。
領都カマルの支配者は侯爵ジュノー。
カマルの行政、司法の実務を行うのが領都庁である。仰々しい名前の通り仰々しい建物を持った場所だが、機能的には町役場と衛士の詰め所を合わせた程度のもので、そこまで変わったことをしているわけではない。
領都庁の最高責任者はジュノーの最初の妻であるリーアの弟ザッフル。
能吏としてカマルを良く治めていたのだが、リーアの死、そして現侯爵夫人シータの登場によって現在は冷遇気味である。
ジュノーとしては、変えられるものなら変えたいが、代わりが務められる人間がいない。そんな関係らしい。
リィフとは、良くも悪くも疎遠な関係で、利害関係も特にない。
事件の証人としてジュノーの弟、リトルバード地方の領主リィフがやってきたと聞いて衛士詰め所に顔を見せはしたが、簡単な世間話をしただけで終わった。
「侯爵様のお加減がよろしくないそうだ」
という話を聞かされた時には少し焦ったが、結局それだけだった。
捕縛されたズミノ一味も、素直にすべての罪を認めた。
鋼を奪うためアーシュを縛り上げようとしたところに謎のスライムが現れて大けがをさせられ、そこに天の使いのような僧侶様が現れて、癒やしてくださった。
尊きお方を目にしたことで、自分の罪深さに気付くことができた。
あのてぇてぇおひとのお慈悲に報いるためにも、今度こそ改心しなくてはならねぇ。
そんなことを言っているそうだ。
地天呪がおかしな方向に作用しているらしい。
<悪事を働くのは脳の癖や機能不全によるものがある。そのあたりが上手く整った結果じゃろう。殊勝なままいられるかどうかは、今後の生活と環境次第となろうが>
ルルスファルドがそう説明してくれた。
――侯爵様に地天呪を使ったら?
悔い改めてくれるのだろうか。
<ある程度罪の意識があれば効くじゃろうが、自分が正しいと思っておる相手には効き目は薄かろう。売僧僧院の連中にやってもさして変わらんはずじゃ、あれで正しいと思い込んでおるからな。自分が悪人だと自覚しておる輩のほうが、かえって救いやすい。じゃが、一度試してみても面白いかもしれんな。悔い改めてくれるならそれでよし、なにも変わらぬようなら、ひねり潰すのに遠慮が要らぬ>
無駄だと思っている顔だった。
――やってみて、いいかな?
ジュノーに贖罪の意識が生まれる可能性があるなら、試す価値はあるように思えた。
<叔父御殿の好きにするがいい>
その後、一通りの証言と手続きを終えて領都庁を出たリィフはマールゥト侯爵邸に立ち寄った。
正面から訪ねて行っても仕方がない、裏手から侯爵邸に向けて印を組み、地天呪を唱えた。
namaḥ samanta-buddhānāṃ pṛthiviye svāhā(ナマハ サマンタブッダーナーン プリティヴィイェー スヴァーハー)
神聖、清浄な空気が静かに、大きく渦を巻きマールゥト侯爵邸、その周辺を取り巻いて浄化していく。
腕の皮をはがされたショックで熱にあえぐ侯爵ジュノーの呼吸が安定し、化膿をはじめた腕が癒えていく。
ついでにマールゥト侯爵邸の執事の腰痛も快癒、さらには近隣の住人達の病などもまとめて癒えていった。
<さて、どうなることか、楽しみじゃな>
ルルスファルドは皮肉っぽく微笑んだ。
――悪い顔。
見た目は童女なのに、妖女のような風情だ。
<失敬じゃぞ>
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回は明日朝更新の予定です。
初動の一週目が終わりましたので、超長文タイトルを長文タイトル程度に調整させていただきました。
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