投げました。
( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます)
木槍の代わりに、拳を作って魔力を通す。
両腕が、白く輝く。
「妖精腕か、人間に扱えるものとは知らなかったが、面白い」
にやりと笑ったドドムが再び、動く。
短距離転移は使わず、真っ向から。
岩どころか山でも砕きかねないようなエネルギーを乗せたドドムの豪拳を、リィフは輝く手刀を当てて外し、ドドムの内懐に入り込む。
妖精手。
この時点のリィフは知らなかったが、『エルフの手刀』『エルフの貫手』などと呼ばれて恐れられるエルフ特有の戦闘術を、直感的に使っている。
魔力を乗せた手を硬質、鋭利な凶器とし、手刀で首をはねたり貫手で心臓をえぐり取ったりする物騒な技術である。
手刀や貫手を直接撃ち込んだら大抵の生き物は即死する。
なんとなく「それはまずい」と感じ取ったリィフは貫手ではなく、拳でドドムの腹を打つ。
貫通力、切断力はないものの、その一撃は、リィフの体躯からおよそ想像しがたい重さを持っていた。
一瞬白目を剥いたドドムは、だがにやりとして拳を振り下ろす。
リィフはそれをかわして、二撃目を叩き込む。
しかし、ドドムは倒れない。
三撃、四撃、五撃、六撃。
「……頑丈、ですね」
手を止めて、呟いた。
こちらはたぶん、一発当たったら終わりだろう。
一方的に入れてはいるが、余裕はまるでなかった。
「……聖者かと思ったが、印象が変わったな。まるで戦闘種だ」
ドドムは笑う。
「ドドム様も」
エルフには見えないが、闘う生き物なのだろう。
「続けるか」
「はい」
リィフとドドムは動き出す。
ドドムは例の転移術を使わなかった。
転移術には弱点というか、転移による視界の変化に対応するための、半瞬ほどの停滞がある。
そこが付け目になると思ったのだが、狙っているのがバレているのだろう。
倒れるまで殴り続けられるか、倒れる前に一発入れられるか、という、野蛮極まりない勝負となった。
足を止めての撃ち合い。
それは三十二撃目で終わった。
顎を撃ち抜かれ、大きくよろめいたドドムは、そこから強引に体勢を立て直して手を伸ばし、リィフの襟首を捕まえる。
ウオオオオオォッ!
そこから大きく体をひねり、ドドムはリィフを放り投げようとする。
リィフは一歩前に踏み込み、逆にドドムの手を捕まえた。
そのままドドムを背負うようにして、投げた。
数は多くないが、僧院槍術にもいくつかある組み討ちの技のひとつ。
ドドムの巨体が綺麗にひっくり返る、固唾を呑んで見守っていたゴブリン達がギィギィと声をあげた。
ドドムの背中が地面にたたきつけられる。
それで、決着がついた。
ドドムに余力がないわけではなかったが、ドドムは空を見上げると「参った」と言い、そのままふっと力を抜いた。
「……読まれたか」
「私の前に、一人、投げ飛ばされていましたから」
殴る蹴るより、投げるのが得意なタイプなのだろう。
そうでなければ、カイトをあんなに盛大に投げ飛ばしたりはしなかったはずだ。
決めに来るときは、投げに来るのは予想がついた。
それを返せれば、終わりになると言うことも。
「どうにもエルフじみている」
苦笑するように息をつき、ドドムはそう呟いた。
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回更新はお昼の12時を予定しております。
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