仇花無情
咲くは掃き溜め 強かに
埃に塗れ 薄汚れ
影され 干され
人踏に 躙られ 風に割かれども
尚も 天に 日に 向かい
小さな花を 咲かせるか
鮮なる花を 咲かせども
敏い童の目に留まる
憐れ 童の無垢な手で
手折られ 弄され はらはらと
憐れ 散華の時来り
不実に散るを 嘆けるか
名も無き草躯 萎れ 朽ち
塵に芥に身を堕とす
為せど 成らぬを 嘆けるか
輪廻の外の 草の身よ
果てて終えて 其の先に
逝く浄土無くば 如何せん
情けも容赦も ありはせぬ
無情 無常の 世の定め
この世このまま 事も無し