[001] Load Game
ゲームブック風(?)です。
実験作。
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Language: Japanese
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[001]はい
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Calendar:崩壊歴767年ハールの下の月21日
Place:シェルタ王国(ヴグロ大迷宮地下3F)
Name:
Sex:男
Age:22
Achievements:元王族
銀死病
貴種流離譚
剣聖の弟子
ヴド流斬法皆伝
御前試合優勝者
竜殺し new!
Statas:戦闘評価■■■■■
探索評価■
名声評価■■
Welcome to the World of Lost Gods!
§――――――――§
[Tips]
試練。それは神に命じられた使命の事を指す。
神官長からギルドを通じて発令されるのが通常であり、過去の事例としては飢餓蟲の大量駆除や疫病を治療する薬の材料の捜索などが有る。
だがあなたに与えられた〝竜の討伐〟は個人に限定された試練と言う極めて異例の物である。
果たして、本当にこの試練が神から発せられた物なのかは分からない。
§――――――――§
……あなたは再び目を開いた。
此処は迷宮の中。死闘の末に竜を倒し、気絶に近い形で身体を休めていたと言う事を思い出す。
ぼんやりとしていた思考が纏まり、あなたは立ち上がって深呼吸をした。
乱れていた呼吸は休息により整い、暴れていた心臓も落ち着きを取り戻している。多少の痛みが節々に残ってはいるが、動きに支障が出る物は無い。
[000]調べる
周囲に敵性生物の気配は無い。ウーズの作った空洞を風が通り抜ける音が微かに聞こえるが、単眼犬の爪が地面を擦る音やディスクゴーレムが立てるキュルキュルと言う音はしなかった。
恐らく、それは此処がドラゴンのねぐらだからだろう。
単眼犬は竜の臭いを恐れ、鬱陶しく這い回る暴力的清掃人形は踏み潰された、そう考えるのが自然である。
[000]調べる
高さ十メートル、床面積は千平方メートルを超える大部屋だ。天井や壁に空いたウーズの通り道がそのまま通風孔となっているらしく、時折恐ろしい怪物が遠くで唸るような音が響く。
ウーズとは金属光沢の有る黒い粘性の生物だ。迷宮を綺麗にしたり、破損を修復したり、新たな通路や壁を構築する。
個体毎で役割が違ったり、どうやって増えているかや迷宮外に居ないのは何故か分からなかったり、そもそも生き物ではなくゴーレムの一種なのではと言われていたり、謎の多い存在である。
[000]調べる
ハールの下の月とは言え、深い迷宮の中では常に肌寒い気温となる。
だがこの部屋では壁面の皹割れから染み出た温かな地下水が湯気を立てて流れており、大部屋全体が暖かく、野営をするには打って付けの場所と言える。
中央に鎮座する竜の死骸を無視すれば、の話だが。
[000]調べる
蒼い鱗を身に纏い倒れ伏す竜の体長は十メートルを超す。四足で自立した際には最大で高さ三メートルにもなった。
凡そ常人が敵う存在ではなかったが、幸いあなたは常人ではなかった為にこうして地を踏み締めて立っている。
……その代償として、あなたの得物である二本の長剣は無残な姿になってしまった。
もう一本も俯せの竜の喉元深くに突き立っている為、すぐには回収出来ない。
一旦、自分の所持品を確認してこれからどうするかを考えよう……。
[011]所持品
[001]折れた剣 E
[002]折れた剣 E
[003]略装礼衣 E
[004]シェルタ王国周辺地図
[005]ナップザック
[001] 折れた剣
途中で折れてしまっている剣。きちんと鍛冶師に見せなかったか、或いは耐久力を超える強い力が加わったか。
理由はどうであれ、こうまで壊れてしまっていては鍛ち直さなくては使えな……、え? 装備する?
……この剣は元の剣の半分の攻撃力と耐久力を有する。
攻撃+5 耐久5
[003]略装礼衣
臙脂色の戦闘装束。ゆったりとした裾は手や足の動きを隠す。一見するとその赤さは目立つが、暗い場所では不思議な程に影へ溶け込む。布製ではあるが金属繊維が縫いこんであり、多少の防御力を備えている。
防御+3 隠密+2
[004]シェルタ王国周辺地図
シェルタ王国を中心に半径十キロ程の地形が描かれた地図。
無数の迷宮が点在し、河川や瓦礫鉱山に囲まれている事が見て取れる。ヴグロ大迷宮の入り口の地図と、あなたが手描きした地下三階までの簡易的な地図が付いている。
[005]ナップザック
水、食料、毛布、サバイバルキット、砥石、晒、油が入っている。
容量10
[010]進む
あなたは悩んだ末に迷宮の奥へと進む事にした。
まともな武器が無いのは少々心許ないが、あなたの五体はそこらの鈍ら刀に負ける物ではない。
地上へ戻る前に、このヴグロ大迷宮の探索を終えてしまうべきだろう。
野営をするにしても未踏破区域は無くしておく方が安心でもある。
§――――――――§
[Tips]
迷宮。それは何百年も前の時代の遺跡であり、今もその構造を変化させ続ける巨大な地下空間である。
その中でも大迷宮と呼ばれる物は特に広く、場所によっては都市を内包している事もある程。但し、多くの場合は人間に対して敵対的な行動を取る機械が徘徊しているので住居に適した環境ではない。
ヴグロ大迷宮はスィンジー大迷宮に匹敵する広大で複雑な迷宮だ。その深層には年を経た蒼い竜が住まう事でも知られていた。
また一説によると、大迷宮の名は先史文明時代に有った迷宮に由来が有ると言われている。当時の迷宮はそれぞれが繋がっており、一瞬で行き来する事が出来たと言う。
§――――――――§
ヴグロ大迷宮地下3F 第四区画→第零区画
黴臭い空気があなたの肌を撫でる。
どうやら長い間、竜の居た大部屋から此方にはウーズ以外に訪れるものが居なかったらしい。無秩序的な構造改革が行われた通路には生き物の気配らしき物が感じられない。
シェルタ王国では数十年に一度大地震が起き、大迷宮といえどもその被害からは免れない。更には経年による劣化も有り、それを補修しているのがウーズ達な訳だが、彼らの〝管理者〟が壊れてしまっている為にちぐはぐな修繕が為されて迷宮は複雑化している。
[010]進む
ウーズによってぐにゃぐにゃに作り替えられた通路を進んでいたあなたは道の先が崩落した瓦礫によって塞がれている事を視認し、溜息を吐いた。
一部が壁と一体化している瓦礫には人間では通り抜けられないような細い穴が空いており、どうやらウーズ達は此処を通れるように直す気は無いらしい。
だが良く見れば突き当り手前の左側に部屋が有る事にあなたは気付いた。
金属扉付きの部屋と言う事は保存状況が良い可能性も高い。迷宮と言えば遺物探索が付き物であり、迷宮から持ち帰った遺物で財を成すと言うのは良くある話だ。
もしかすると先史時代の武器が出て来る可能性も有る。
[000]調べる
扉を調べたあなたはどうやら罠は無いが鍵が掛かっていると言う事が分かった。しかも鍵穴は無く、カードを翳すタイプのロックのようだ。
勿論あなたはこの扉を開けられそうなカードなど持っていない。
だが、まぁ開けられない事は無いな、とあなたは考える。
[000]開ける
筋力7>筋力6 Clear!
あなたは呼吸を整えて両の掌を厚い扉に突くと、丹田に力を籠めた。
バギリ、と言う致命的な音と共に耐荷限界を超えた蝶番が砕けて落ち、掌の跡が残った扉がゆっくりと倒れる。
地響きを立てて扉はその役目を終えた。
[010]進む
あなたは部屋の中へと入る事にした。
不思議な事に通路と違って黴臭さも埃臭さも無く、清浄な空気が流れている。どうやら幾度もの大地震による亀裂はこの部屋を襲わなかったらしい。
そして矢張り何百年もの間、外とは隔絶されていたと言う事になる。
貴重な物が手に入るのではないかと言う期待があなたの中で膨らんだ。
[000]調べる
部屋を埋め尽くす金属の棚に並べられた無数の箱が低い唸りを上げて稼働する間を通り抜け、あなたは部屋の奥へと進んだ。
机の上には何が表示されているか分からない巨大な画面とその操作盤が乗っていたが、それだけだった。
この部屋の品々は先史時代の高度な技術によって作られた物なのだろうが、あなたには全く理解出来る代物ではない。
持ち出して換金する、と言うのもやめておいた方が良いだろう。
恐らく、此処は迷宮の心臓部と呼ばれる場所である。もしもヴグロ大迷宮が暴走したりなどすればどうなるか……。
珍しい物を見る事は出来たが何の収穫を得られなかったあなたは溜息を吐き、巨大なガラス容器にもたれかかった。
幾本もの太いコードが繋がった容器には光を通さない黒い液体が詰まっており、傍に有る画面は透明なフレームだけ表示している。
ふとコードの一本が壁の穴から抜けかかっているのにあなたは気付いた。
[000]挿し直す
部屋の照明が一瞬暗くなり、そして……何も起こらない。
あなたは肩を竦めてもう一度部屋を見回すと、諦めて竜の死骸が待つ大部屋へ戻る事にした。
その背後で、黒い液体の詰まったガラス容器の内側に白い手がべったりと張り付いている事には気付かず……。
§――――――――§
[Tips]
竜。先史時代で愛玩動物として設計された人工生物。大型爬虫類的外見をしているが、恒温動物であり単為生殖を可能とする新しい生命体。
金属分解バクテリアを胃の中に飼っており、鉱石を食べて鱗を形成している。銅鉱石が多い場合、一般的な赤い表皮になり、老年の場合緑青色の体色となる。
ヴグロ大迷宮の主である竜の蒼い鱗は高温還元された酸化チタンによる物で、非常に硬い。この鱗を剥ぐだけで一財産となるだろう。
§――――――――§
ヴグロ大迷宮地下3F 第零区画→第四区画
あなたは床に腰を下ろすと、ナップザックの中から成型糧食と水筒を取り出した。
ブロック状に固められた糧食をバリバリと噛み砕き、水を飲む。
圧縮された肉と野菜とパンと土の味が喉を通り過ぎ、胃の中で水分を吸ってゆっくりと膨らむのを感じた。
栄養補給を済ませたあなたは折れた二本の剣を抜いてじっくりと眺める。
名剣と呼べる代物ではないにせよ、それなりに長い付き合いの剣だった。南蛮鬼衆の戦士や東夷綺人の暗殺者との戦いでも頼りにしたのがこの双剣である。
あなたの「世にヴド流の名を知らしめる」と言う目標も、この竜退治で得られる名声で更なる躍進を遂げるだろう。
その礎となった双剣へ、あなたは感謝の祈りを捧げた。
さて、残りのもう一本は……、と考えた所であなたは小さな物音に気付く。
ヒタリ、ヒタリ、と何者かが素足で歩くような音だ。
――――ぞわ、と全身が総毛立つ。
この大部屋と入り口の通路は竜に踏み締められて砂利交じりの地面になっている。そんな足音がするコンクリートの床は奥側の細い通路しかない。
だがあなたは自分の目で何も居なかったのを確認した筈である。
だとすればこの歩いて来ているモノは何か?
「……ァ■」
折れた双剣を握って身構えるあなたの視界に、白く細い女の脚が入る。
そして強烈な殺気が叩き付けられた。
……ッ!
咄嗟にあなたは身を転げさせて自分が立っていた場所から離れる。
次の瞬間、巨大な不可視の斧が今まで居た場所に振り下ろされた。
ガァンと言う激しい音を立てて地面に亀裂が走り、弾かれた砂粒があなたの頬に当たる。
あなたは視線を動かして女の姿を探す。居ない。
迷宮の奥へと戻ったか。否。この気配はもう部屋の中に居る……!
自分の勘を信じたあなたは即座に走り出し、手近な遮蔽物である竜の死骸に背を付けた。
周囲を見回す。奇襲を警戒し、物音に耳を凝らす。跳ね回る心臓の音と自分の呼吸音が煩わしい。
「ァAA■」
皹割れたノイズ混じりの声が聞こえた。
背後。上。竜の背中の上。回避までの時間。不足。死――
――おおおおおッッ!!
あなたは腹の底から咆え、両手に握っていた折れた双剣を頭上へと振るう。
重い金属音が響き、襲い掛かって来た無色透明な力は剣を伝い、腕を伝い、胴を伝い、脚を伝い、そして地面にあなたの靴跡がズンと刻み込まれた。
中量級鉄馬一騎の突進に匹敵する衝撃は一秒にも満たぬ内に霧散する。
あなたは獣の如く跳躍した。軽々と身の丈以上の高さまで跳び上がり、女の姿をした〝それ〟へと反撃を試みる。
「……ァ■■」
だが剣が届く前にその姿は消え失せ、あなたの攻撃は宙を斬った。
実体無き怪物か。まさか死人の霊とでも言うのか。
あなたのその懸念は怪物の姿が十数メートル先に再び現れた事で解消される。
「ゥ、ゥ、■UU……」
ボロボロの黒い服、顔を隠す程に長い黒髪、蝋の様に白い肌。震えながら立つその様は不気味だが、確かに実体が有る。
髪や服の端から滴る黒い液体を見れば、彼女が何処に隠れていたかなど一目瞭然だろう。
何も無い場所から現れたのではなく、幽霊などでもない。
シィィィ……。
あなたは細く息を吐き出した。
先程の一撃は竜のそれと比べればまだ軽い物だった。見えない事は確かに厄介だが、そんな物は殺気を読めばタイミング程度なら楽に察知出来る。
ならば、斬れる。
「ゥ■U……!」
唸る謎の怪物を前にして、あなたはニィと頬を歪めた。
銀髪銀眼の剣鬼は半ばで折れた双剣を中段で構え、恐ろしい気配の黒い女は髪の間から赤い歯車状の瞳を輝かせる。
あなたは 狂った女神と 出会った!
Now operating the battle process...
§――――――――§
[Tips]
女神。それは先史時代から存在する不老の存在である。
人よりも強く、人よりも賢く、人よりも美しい。しかし時を経る毎に女神の個体数は減っており、現在では遭遇する事も稀だろう。
今となっては放浪している者、コロニーの指導者となっている者、『機械大樹』と呼ばれる者、そして保存ポッドの中で眠りに就いている者を僅かに残すのみとなっている。
§――――――――§