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第3話 私と皇子様

今回いきなり少し少なめですね


 さて、今日は私と皇子様の婚約発表パーティーだ。たかが、婚約でここまでのことしなくていいと思っているが、お父様も王様も嬉しそうだから仕方ない。

 いつか、婚約破棄されるのかもしれないのにとか思うのだが、公爵令嬢が王様の申し込みを断れるわけでもないし、そうなると、皇子様に好かれるしかないってなるのが、普通だと私は思うのよね。


 果たしてその成果はどうかというとですね。


『どうかしましたか?ヒール?』

『いいえ、ギル様大丈夫です。御配慮いただきありがとうございますわ。』


 そう言って、三度目のダンスを終えた、私たちはギル様に手を引かれ、ダンスフロアを離れました。少し疲れの色を見せ始めた私に、恥をかかせる前に退場させ、使用人からジュースを受け取ってくれる。

 まだ、10歳なので子供っぽさもちょうどいい。


『オレンジジュースで良かったかな?』

『はい。ありがとうございます。このオレンジジュースはスッキリしているので、飲みやすいです。』

『そうか、なら良かった。』


 仲睦まじく、微笑み合う2人。皇子様とお近づきになりたい、遠くから見ているませた少女達でも、近づく事を躊躇している。

 ここには、2人の空間が存在した。


 さぁ、今ので分かりましたね。私たちの現在の関係が。

 愛称で呼び合い、皇子様は私を気遣いながら、エスコートをしてくれて、周りは近づく事も、躊躇うこの世界観。そうです。その通りです。皇子様は私を、他の令嬢への盾に使っているのです。私と婚約してしまった、皇子様ですが、私に何があるとも分かりません。令嬢達は、それなりの教育を受けているので、下手な事はしませんが、虎視眈々とその座を狙ってはいるのです。思春期の女の子が、親同士が勝手に決めあったからと、了承出来る事でもありません。

 なので、皇子様は良く分かってます。私と離れたら、令嬢が寄り付いてくると。

 その為の、演技だと。



 全然メロメロにならないんだけど、どーなってんの?と私は思う。

 王宮には、それなりの頻度で伺うし、一緒に勉強をしたりもする。その時に、皇子様を立てることも忘れてなんていない。

 ボディータッチも効果的と聞いたので、心がけているが、未発達な部分も多いので、あんま効果を感じない。いや、今も握られている手は、女性と比べると線がしっかりしていて、力強く頼もしくも思える。女性との違いを感じるのだから、向こうも感じてはいるよーな………あ、そうか。私がいなければ令嬢が彼には近づくのだ。慣れてるのかもしれない。

 そうなってくると、なんだ。他と差別化を図らないといけないのだろうか?うーむ、どうしたものか。







 僕の名前はギルダント・フェルナンド。ここ、フェルナンド王国の第1皇子だ。

 隣にいるのが、透き通り輝きを放つ、水色の長髪に、大きく垂れ下がりこれまた綺麗な水色の瞳に、落とされた泣き黒子。彼女の悩む姿は、憂いに満ちて儚げで、消え去ってしまいそう。しかし、笑ってみると全てを包むような包容力に満ち溢れる。

 お父様も宰相も、他の王宮に勤める誰しもが、気品溢れる彼女を褒め囃す。容姿に家柄、そして頭脳。全てを兼ね備える彼女を王妃として、立派な女性になると信じて疑わないのだ。

 けれど、僕はその下に別の仮面を被っているようにしか見えない。

 一緒に勉強を始めたとき、彼女が王妃に呼ばれると、弟のマブルと勉強をする事もある。彼は宰相が跡取りにと迎えただけあって、優秀だ。私の方が良い環境でずっと学んできたというのに、実力は同じくらい。その分、運動はそれほど得意ではないみたいだが。そんな彼は、彼曰くその頭脳は姉であるヒールに劣るらしい。姉と勉強するようになり、効率が飛躍的に高まったと言わしめるほどに。


 そんな彼女だが、僕と勉強するときは、僕を立てるのだ。教師に授業の質問を僕たちにするときに、彼女はわからない振りをする。その時に、僕も答えられないでいると、彼女は悩みながら、「あの考え方を上手く使えば出来そうなんだけど、どーするんでしたっけ?」のように、使えそうな考え方を分かってない振りをしながら伝えてくる。そして、それを聞いて思った事を教師に伝え、私が教師に褒められると、彼女も「私には思いつきませんでしたわ。流石、ギル様です。確かに、あのように考えれば、あれだったり、これだったり……」と、いや、そこまで考えてなかったよ、ごめんね。って思わされることが多々あるのだ。

 なんなんだあいつは?僕の神経を逆撫でしてるのか?それとも、本気で媚を売っているのだろうか?見え透いた、皇子であるだけで、よく理解もせず慕ってくる令嬢は嫌となるほどみたが。ここまで媚を売りつつ、僕の心をバキバキに折り続けるのは、令嬢に限らず彼女1人だけだ。

 彼女の真意はわからない。僕を傀儡のように扱えるようにして、王国を牛耳りたいのか。はたまた、ただただ性格が悪く裏で嘲笑っているだけなのかは、わからないが、気をつけよう。彼女は優秀だ。大人の誰もが認める秀才だ。しかし、まだ子供。僕に媚を売る段階で悟らせたのだ。僕は今のことを忘れはしない。君がいくら、演技が上手くなろうと騙されることはないだろう。





 こうして、私の皇子様メロメロ計画は、知らぬ間に頓挫していたらしい。私はそんなことには気づかずに今日もギル様に媚びを売る。


 そして、僕の心は彼女から遠のくのだ。


文書が安定しない

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