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神様のモニタリング 第一章 ~人類滅亡回避のススメ~  作者: 片津間 友雅
学生 初等部編

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第62話 ■「新顔(ニューフェイス)1」

 腕に覚えがある連中からの対外試合については全て断り続けた結果、大分、平和な日常に戻った。


 ごく一部を除いて……


「お願いします! シュタリア先輩!

 僕達と一度だけ! 一度だけでいいので試合をお願いします」

「お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします」


 ……これである。


 前者の勝気そうな物言いの子が、レディアンド・バークス。

 後者の礼儀正しい物言いの子が、ブルスティア・レイガント。


 なんでそんなにやる気なの?と依然聞いたところ


「シュタリア様に仕えたいから。自分たちの実力を見てもらいたい!」


 とド直球な売り込みを受けてしまった。

 それ以降、事あるごとに僕の所に来てこうして懇願してくる。


 面倒臭いという思いもあるものの、彼らには嫌味な部分がない。

 非常に好青年と言う印象を僕は受けている。


 こうも慕ってくれるのであれば、まぁいいかなぁ。

 って少し(ほだ)されそうな僕が確かにいる。


「僕も忙しいから、本当に一度だけだよ?」

「「ありがとうございます!」」


 僕の答えに二人は声を合わせる。

 僕は大きくため息を吐き、場所について考える。


 学校で対戦したら、だったら私も……が再度噴出するのは目に見えている。

 ということは帰宅後の訓練場か……あそこならいいかもな。


 もし彼らに実力があるんだったらそのままスカウト……本人たちは

 既にその気だけどね……すればよし、実力が無ければ口止めしておけばよし。


「場所は学校とは別の場所でやろうと思うから、放課後ついてきて。

 あと、この事は他言無用でお願いするよ。

 また、前みたいに我も我もと来られたら困るから」

「はい、もちろんです。

 それで僕たちに実力があれば雇ってもらえますか?」

「うーん、それは君たち次第という事で。

 むしろ、君たちの方が僕の実力のなさにがっかりするかもよ?」

「ははは、シュタリア先輩もご冗談が上手いですね」


 いやいや、冗談じゃないよ。

 僕は結局、あれからも剣術についてはアインツに一度も勝ててない。

 ユスティについては何とか勝率五割といった所だ。


 剣術については頑張っているけれど飛びぬけた才能は無いようだ。

 ギフトを自分への強化に使っていないんだしそうなるのかもしれない。

 ホント、才能がうらやましい。


 ならば投げ出すのか?と聞かれれば答えはNOだ。

 確かに才能は無いのかもしれない。けれど昨日より今日、今日より明日ほんの少しだけれど自分が強くなっている実感がある。

 それが無くならないうちは止めるという考えは無い。


 あの日――僕が死んだ日――

 タイムリミットが決まっているこの世界に来ると決めた時。

 自分が出来る事があるうちは諦めないと密かに決めていた。


 思えば、前世は思い出しても何もない人生だったのかもしれない。

 もちろん両親には感謝している。


 けれど良い学校に行き、良い会社に就職して結局何があったのか?

 今の僕にも分からない。


 これから成功してお金持ちになって素敵な家庭を築いて……

 となる前に死んでしまったからかもしれない。

 そんな未来が来たのかもわからないけどね。


 だから生まれ変わることが出来るのであれば精いっぱい生きよう。

 自分が死ぬとき後悔しない人生にしよう。そう心に決めたんだ。


 ……いやいや、ちょっと自分語りをして恥ずかしくなっちゃったな。


 もちろん、ラスティ兄妹と戦う際、魔法と剣術両方でとなれば僕の方が分がある。


 両方使ってこそ僕の戦闘スタイルが生かされるからだ。


 ここ最近は、二人も僕から魔法を習っているとはいえ一日の長で僕の方が魔法については圧倒できる。


 ……ま、だから剣術で負けこんでいるときには両方でっていう試合方式にして()さを……ゲフンゲフン。


 ――放課後――


 十二月とはいえ小春日和という、前の記憶でまだまだ違和感を感じる季節。


 僕達いつものメンバーは、校門で待っていた二人の後輩と合流する。

 上級生六人に囲まれて当初は緊張していた二人も、会話をするうちに徐々に緊張感が薄れていく。


 特に、アインツとは武術の流派で話が盛り上がっている。


 ○○派は、打ち込み数は多いけど剣が軽いとか。

 △△派は、右わき腹あたりが弱点とか。


 ……正直、僕にはついて行けない。

 ねぇねぇ、北辰一刀流とか天然理心流とか柳生新陰流とかの話をしようよぉ。


 ……名前しか知らないけどさぁ。


 とはいえ、こっちの世界でも流派ってあるんだなぁと感心する。

 バインズ先生に聞いた話では、貴族が習うのは剣舞に重きを置いている。

 という事だったので、そこまで複雑なものは無いのかと思っていた。


 そうして歩いているうちに、訓練場が見えてくる。


「レディアンド、ブルスティア、見えてきたあそこが僕たちの訓練場だよ」

「「おぉ、すごい、大きい」」


 訓練場を見てその大きさに驚く二人。

 手狭になったとはいえ元々が騎士団の訓練場だったからそりゃ驚くか。


 そうして僕たちは訓練場に到着した。

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