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神様のモニタリング 第一章 ~人類滅亡回避のススメ~  作者: 片津間 友雅
学生 初等部編

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第44話 ■「入学1ヵ月」

 入学から一ヵ月経ち、学園生活にも大分慣れてきた。


 それは皆も同じようで、入学したての色めき立っていた雰囲気は落ち着きそれぞれに近しい関係者でグループ形成されている。

 多くの場合が(くだん)の後継者争いを元にした派閥でのグループである。


 後継者レースでほぼ不参加扱いの僕の所は、その派閥から漏れた人が集まっている。


 僕とベル・リスティのいつものメンバーに新たに三名加わった。


 まずは、アインツ・ヒリス・ラスティとユスティ・ヒリス・ラスティ。

 二人は名前からもわかるように双子の兄妹で新興の男爵家だそうだ。


 アインツがお兄ちゃんでユスティが妹。

 二卵性双生児で、一卵性に比べるとそっくりではないもののやはり雰囲気は似ている。


 父親が騎士団として功績を立てたことにより三年前に貴族になったそうで貴族としては新参(ベルは半年もたってないけど)になる。


 もう一人は、メイリア・アクス・ベルクフォード。

 逆に長年男爵家だそうだが、近年は両親の浪費癖が響いて財産が乏しくいわゆる貧乏貴族という奴らしい。


 貴族社会、特に男爵家にとって無派閥というのは、戦場に裸で立つようなものだ。


 なので何処かの派閥の庇護下に入らざるをえない。

 そして、入ったとしても底辺としてパシリとして扱われることが非常に多い。


 それに比べて僕のグループは伯爵公子の僕を除いては男爵公女のみ。

 全員横並びになる分、楽だと思われたのだろう…まぁ、実際そうだけどね。

 それにしても男二人、女四人…ちょっと女子率高すぎませんかねぇ。


 ――――


 そして、授業についてだけれど……うーん、感覚的には三十歳過ぎのおっさんが小学校の授業を受けているようなものだ。

 これはまぁ、僕自身の都合だからしょうがない。


 現にベルやリスティは教師という両親以外の大人に何かを習うという経験が初めてだからとても楽しそうである。

 前世で十六年経験をしているから新鮮味がないだけだ。


 それに、早いうち(ぶっちゃけ一歳)から自主勉強をした事で理解していることを再度聞く羽目になっている。


 特に魔法学は、四歳の頃にほぼマスターしたことを再度聞いている感じだ。

 分かっていることを聞かされる……これは睡魔の誘惑を避けられない。


 かといって僕の席は先生のど真ん前。寝るわけにはいかない。

 とてつもない地獄だ。


 出発前に母さんに言われた『エルにとってはもしかしたら学ぶことは少ないかもしれない。』ってのはこの事だったんだなと改めて痛感する。


 ただ、とある日の魔法学で気になる事があった。


 ――――


「魔力量は、生まれた量をベースに年齢毎に頭打ちになる傾向がある。

 簡単に言うと生まれた際の量が五十、年齢毎に五ずつとした場合、君たち八歳の時点では五十+八×五の九十で頭打ちになるという事だ。


 だが、例えば百歳になった際に五十+百×五の五百五十になるか? というとそうではない。

 ある年齢、一説には四十歳で最大量は頭打ちになると言われている。


 魔法量に限界がある事を認識し、であればいかに効率良く魔法を使うかを習得するように」


 その先生の話にあれ? と思う。

 練習しても頭打ちになる? そんな馬鹿な。と感じたのだ。


 昔、ファンナさんには魔法量は無理して使うより毎日継続して練習する方が上がると聞いた。


 その際に限界があるなんて聞いていない。

 四歳から毎日魔法の練習をしているけれど魔法量が頭打ちになった事が無い。


 練習すればするだけ、回復した際には少しだけ増えている感覚があった。


 僕が転生者だから特別なのか?とも思ったけれどクリスにしろベルにしろ差はあったものの順調に魔法量は増えていっていた。


 うーん、どういう事なんだろう?


 ――――


「ルーディアス先生、少しよろしいでしょうか?」


 授業が終了後、僕は先生に声を掛ける。


 ルーディアス・ベルツ教師

 年齢は四十代後半だろうか。

 開いているのかいないのか分からないくらいの細目と護身用だろう深紅の柄のナイフを腰に下げているのが特徴だ。


 ルーディアス先生は僕に振り返ると


「あぁ、たしか……シュタリア君でしたかね?

 なにか質問ですか?」


 と微笑む(元々目が細いので微笑んだかどうかも微妙だけど)。

 学校では爵位は極力無しで呼ばれる。

 先生の大部分は爵位を持っていない手前、貴族として扱うことを避けるためだ。


「はい、授業で魔法量は頭打ちになるとのことでしたが。

 本当なのでしょうか?」

「ほぅ。どうして疑問に思ったんですか?」


 ルーディアス先生の問い返しは、特段変わったことのないものである。

 だけど、なぜか僕の中で警鐘が鳴り響く、何かが(まず)い……と

 だから実体験をもとに聞こうとしていた内容を止め、別の質問にする……

 八歳らしい質問を……


「僕は、両親からいっぱい勉強をしたらその分偉くなると聞いていました。

 でも、限界があるのであればいっぱい魔法の勉強をするのは意味がないのでしょうか?」

「あぁなるほど、確かに魔法量が決まっていると言われると勉強をするという意味がなさそうに聞こえますね。

 けどそうではないですよ。魔法というのは詠唱が必要です。

 それは知っていますね?」

「はい、知っています」

「詠唱というのは、まず全部を覚える必要があります。

 しかも使う際に今のように落ち着いているとは限りません。

 シュタリア君も慌てていると普段出来ることが上手くできない。

 といった経験はありませんか?

 魔法も勉強をすればするほど慌てていても問題なく詠唱が出来るようになるのですよ」

「なるほど、分かりました。ありがとうございます。ルーディアス先生」


 僕はそうお礼をすると、ルーディアス先生の所から離れていく。

 本能が早くこの人の傍から離れたいと告げていたからだ。


 僕が去った後の廊下に「気のせいか……」という呟きが零れたが聞いたものは誰もいなかった。


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