最終回「四次元」
「カガクコーザ!」
「中田翔子!」
「最後まで慣れなかったな……」
「トコロデー、ネタ残ってるの?」
「ああ。最終回になってやっと重大なミスに気づいたんだ」
「重大なミス?」
「そうだ。私ともあろうものが、四次元についての解説を忘れていた」
「ソーイエバ……」
「というわけで、最終回は四次元についてだ。解説は翔子君、君がやるといい」
「エ!? ショーコガ!?」
「響子にたっぷり仕込まれたからね。それに私が一番四次元に近い存在だし」
「そうなんだ……」
「発音が戻ってるぞ」
「まず、一次元とは線の世界。X座標のみが存在しています。二次元は面の世界で、XとY座標が存在します。そして我々の三次元。これは奥行きのある……つまり立体の世界で、X、Y、Z座標が存在します」
「プログラムで配列の概念を学ぶとわかりやすくなるぞ」
「そして、四次元。これはX、Y、Zの他にWという座標が存在します。座標が一軸増えるため、三次元の物体を平行に配置することができ、同じ空間でもそのキャパシティに大きな差が出ることになります」
「ワカラナイ役が居ないとタンチョーダネー」
「トランセンデンターの肉体はこれを利用し、三次元の肉体を四次元的に配置することで、常人とは桁違いの身体能力を得ています。例えば、W座標を八だけ確保すると、四次元配列された筋肉は単純に通常の筋肉の八倍となり発揮される筋力は相乗効果を含め十倍……。また、肺胞や腸絨毛の表面積も増えるため酸素や栄養の吸収効率が格段に増し、少ない食事や酸素からも莫大なエネルギーを確保することができるのです」
「ショーコがショーショクのリユウもソレなのね」
「そうみたいだね」
「脳容量も増すから、四次元的な空間認識や第六感の処理を行うキャパシティもある」
「でも、それだけじゃないよ。エネルギーを貯蔵するための脂肪も四次元で存在するから莫大なエネルギーを保存できるの。酸素も同じ仕組で保存できて、このおかげで首が切断されてもしばらく生きてられるんだよ」
「四次元サマサマダネ」
「四次元の利点は容量の増加に留まらないぞ。三次元空間をW座標で捻じ曲げることができる。これは様々な媒体でワープなどの技術として用いられているな」
「三次元的に言うと、紙を折り曲げる感じだね。この例えも使い古されてる感じ」
「他に、覚醒したトランセンデンターには次元掘削能力もある。紙を破るように、対象の物体が存在しているW座標上の三次元空間を削り取ることで、相手を空間事消滅させる能力だ。相手は死ぬ……というか、消える」
「でも、トランセンデンターはW座標をズラしてありとあらゆる攻撃を回避することができるの。確実に当てるには、相手の不意をつくかW座標全域を削り取るしか無いけど……W座標は他の座標と同じように果てしなく続いているからなかなかできることじゃないよ。私は無理」
「ゴジゲンのソンザイならカノーだね」
「V座標が必要だな。まあ、我々は未だその境地へ辿りつけていないんだが」
「トランセンデンターなら、できないこともないかもしれないけどね……」
「えっ」
「エッ」
「それでは皆さん、さようなら~」
「おい、トランセンデンターならできるってどういう……」
「元気でね~」