第四回「フォトンブレード」
「カガクコーザ!」
「な、中田、翔……子……。やっぱり恥ずかしい……」
「空を飛ぶとか音合せでポジティブな "翔" と一から了までとかで堅実な "子" の組み合わせだ。何も恥じるようなことはない、いい名前じゃないか」
「そういう問題じゃなくて……」
「さて、この講座も第四回なんだが、そろそろ解説するネタがなくなってきた」
「えぇ!? ほら、私が完全武装した時の武器とかあるでしょ!?」
「あれはほとんどパクリみたいなものだ。ここで解説するような代物ではない」
「知りたくなかった……」
「キョーコ、フォトンブレードは?」
「ああ、あったなそんなの……」
「あのキラキラ光る剣だっけ?」
「ソウソウ、ソレソレ」
「まあ別にアレも大したことはしてないがな。フォトン――つまり光子を磁界に沿って動かしているだけだ」
「よくわからないけど……じゃあなんでキラキラ光るの?」
「動かすと周囲の光子と干渉して可視光線が発生するんだ。規則性はなくデタラメに干渉するから、光は色とりどりになる」
「へ、へえ……」
「理解できない話では無いはずだ。周波数によって光の色が変わるのは中学校……いや小学校だったか? ともかく、義務教育期間中に習っただろう?」
「まあ、一応は……」
「何だその顔は。理科の時間は寝ていたとでも言いたげだな」
「あ、あう……」
「ズボシナノネー……」
「だ、だって……頭がこんがらがって……」
「あんなに興味をそそる科目はないだろうに。小中で理科を疎かにして一体他に何を学ぶと言うんだ……」
「オームの法則の辺りから難しくて……」
「そこまでか……。まあ、そうだな、義務教育程度の知識も持ち合わせていないようでは、この先が思いやられる。私が手取り足取りみっちり教えるから、覚悟するんだな」
「そんなあ!」
「ソレデハミナサンオゲンキデー」
「やだやだやだ! 電圧なんて測りたくない!」
「まだまだ序の口だ……! 今日は時間があるから電気基礎まで発展するぞ!」
「直列と並列の組み換えなんてめんどくさいことやりたくなーいー!!」
「バイバーイ」