第三回「セパレートネルフ」
「科学講座!」
「中田翔子!」
「君は確か、翔子君の妹の……」
「はーい、菅山清香でーす」
「ショーコはドーシタノ?」
「バイトで欠席です」
「ザンネンだったねキョーコ」
「べ、別に、会うのを楽しみにしていたわけでは……!」
「翔子姉にいいお友達ができて私は嬉しいです」
「妹公認か……!」
「ソーイウイミジャナイトオモウヨ」
「よーし、第三回はヴィディスの神経系、セパレートネルフについて解説しよう!」
「コンカイはキョーコがカイセツスルンダ?」
「ああ。張り切って行くぞ」
「わー楽しみです」
「とは言っても。これはヴィディスに使われている技術の中では一番簡単なものだがね」
「タダノデンキツーシンだしネー」
「でんき……つうしん……?」
「ヴィディスの神経系は、素材こそ違うがその構造自体は人間のそれと似せて作ってある。頭脳たるメインコンピューターからそれぞれのアクチュエーターに電気信号を送り、指定の動作をさせるんだ。まあ、脊髄は無いから同じというわけでもないんだが。で、その経路として使われているのが、セパレートネルフ」
「わからないデス」
「ソウ?」
「セパレートネルフというのは別に素材名でもなんでもなく、単にメタルケーブルと光ファイバケーブルの両方を用いているだけだ。大部分は、伝送速度と耐ノイズ性の面で勝る光ファイバだが、関節部には曲げ半径の問題でメタルを用いている。信号の変換はフォトダイオードやらなんやらだ」
「う、うーん、じゃあ、関節部分は命令のでんたつ? が遅くなるんですか?」
「遅くはなるが、この長さだとそこまで差は出ないな。光ファイバを選んだ理由は耐ノイズ性と省スペース化だ。信号の変換がなければもっとスペースが空くんだがなあ」
「光ファイバのカダイダネ」
「因みに、拳の部分は関節と関節との距離があまりにも短いので全部メタルケーブルが使われているぞ」
「変換器がカサバルからネー」
「ところで先程から清香君の様子がおかしいんだが……」
「ノイズ……ファイバー……マンマミーヤ……」
「ショーコと違ってウンチク聞き慣れてナイカラジャナイ?」
「なるほど」
「メタル……サイクロン……セパレート……スクール水着……」
「それでは諸君、また会おう」
「バイバーイ」