第二回「バイナリードライブ」
「カガクコーザ!」
「中田翔子!」
「ドモー、キャサリン・アルフォンス・イングラムデース」
「阿久津響子でーす」
「やっぱり恥ずかしいなこれ……」
「まあそう言うな」
「タノシイデスヨー」
「自分は関係ないからって……ぐぬぬ」
「マーマー、ホンペンでもタイトルになってるし。キニシナイキニシナイ」
「むう……」
「さて、第二回はヴィディスについてだ」
「今回はわかりやすそー」
「まあ特殊性量子力学の原理は使ってないからな。難しい技術と言えば、いいとこV-ER流体の繊維加工ぐらいだ」
「商業大卒にもわかるように説明して……」
「ショーギョーカがナニしてるかシリマセーン」
「私にもよくわからん」
「えー……」
「仕方がない。簡単な部分だけ説明するか。キャシー、バイナリードライブについて説明してくれ」
「ハーイ。バイナリードライブは、ヴィディスの関節部に用いられている駆動のための仕組みです」
「やっぱりこの発音は慣れないな……。キャサリンはカタコトじゃないと」
「カタコトは疲れるそうだ」
「ぶっちゃけた!?」
「そもそもヴィディスには二種類の人工筋肉が使用されていて、一つは電圧の変化で伸縮するもので、こちらは非常に力がありますが、動作が緩慢です。仕組み的には人体の筋肉と同じ構造ですね。もう一つは電流を通すとマイナス極側に屈曲するものです。こちらは動作が速い代わりに非力なものとなっています」
「どっちも一長一短なんだね」
「世の中そんなもんだ」
「世知辛いねー」
「因みにV-ER流体を用いた屈曲タイプは、舐めると辛い」
「へえ」
「バイナリードライブは、関節部にこの二種類の人工筋肉を組み込むことによって、機敏な動作と力の強さを両立するものです。ただし、どちらの人工筋肉も莫大な電力を消費するので、ヴィディスに使用できるサイズのバッテリーを用いた駆動だと五秒間の歩行で動けなくなります」
「だからタキオンリア、リアクター? を使うんだね」
「そうだな」
「ジンコーキンニクは、ジゲンカンショーでタキオンリアクターを四次元に隔離する前はツカエナカッタンダヨー」
「だから最初は油圧式駆動だったんだが、図体がなあ」
「あのゴツいパワードスーツにはそんな背景があったんだね」
「ああ。技術は日々進歩しているからな」
「ソレジャーマタ」
「ばいばーい」