第一回「タキオンリアクター」
「科学講座!」
「ナカダショーコ!」
「どうもー、阿久津響子でーす」
「ドモー、キャサリン・アルフォンス・イングラムデース(苗字初公開)」
「ちょ、ちょっと、私の名前勝手に使わないでよ!」
「なんだ翔子君、居たのか」
「呼ばれた気がしたの」
「三人目は後からくるものなのだが……まあ、ねらうトップもないしいいか。キャシー!」
「ダイイッカイはー、タキオンリアクターについてデース」
「唐突!」
「さて翔子君、タキオンリアクターの原理を知っているかい?」
「知らないよそんなの!」
「まあそうだろうな。キャシー、説明するんだ」
「ハーイ。その存在だけは提唱されていたタキオンですが、二十一世紀に入ってようやくK・ガーミン博士によって発見されました。超光速で運動する粒子として様々な利用法が検討されていまして、タキオンリアクターもその内の一つになります」
「カタコトじゃない!」
「キャシーのカタコトはエセカタコトだからな」
「知りたくなかった!」
「タキオンリアクター内では常にタキオンが円運動を続けています。タキオンはエネルギーを失えば失うほど加速するので、特殊相対性理論よりウラシマ効果が発生してどんどん時間に取り残されてしまうのです。そのため円運動で同一のポイントを通過する際に、一周前のタキオンと同一時間に存在することになります」
「カタコトじゃないけど日本語とは思えない……」
「受け入れるんだ」
「その仮定を補正するために、実に大型火力発電所一つと同等の莫大なエネルギーが発生します。しかし実際には同じ時間に同じ物体が存在することはなく、莫大なエネルギーのみが宙ぶらりんになります。これを取り出すのが、タキオンリアクターです」
「それって万能じゃない?」
「まあ何事にもデメリットはある。だな、キャシー?」
「ハーイ。タキオンを曲げるために電磁波を使うので、磁場の変化により波長十ピコメートル以下の電磁波を周囲にばらまいてしまいます」
「つまり放射線をばら撒くんだ」
「そう言えば、前にそんなこと言ってたかも……」
「放射線は特定の主義主張を持つ集団にとってはアレルゲンだし、四次元に隔離でもしないと使えない」
「ところで、弥月ちゃんがリミッター外した時に時間制限がついてたのはなんで?」
「ああ、それは人工筋肉が耐え切らないのと、出力上げ過ぎるとタキオンが減っていくからだ。過剰発生したエネルギーに対する埋め合わせだな」
「う、埋め合わせ……?」
「スジをトース、ニンキョーデスネー」
「違う気がする……」
「チナミニー、タキオンは仮面ラ」
「あまり他の作品名を出さない方がいい」
「それでは皆さんさようなら~」
「ゲンキデネー」