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初等教育修了

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また誤字脱字など有りましたらご指摘の程、お願い致します。

 ボクが彼女たちにモノを教え始めて3ヶ月が経った。

 長所を伸ばすのはとりあえず先にして基礎を一から教えることにしたのだが、彼女たちの吸収力は半端じゃなかった。


 確かにアカシック・レコードの知識をフル活用して、歴代最高の魔術師よりもわかりやすく効果的な魔法の授業をした。魔法の効果を引き上げるために科学技術の説明も軽くブチ込んだ。そこら辺の子供を拾ってきても3年あれば大魔導師になれると断言できる。


 確かにアカシック・レコードの知識をフル活用して、この世界に存在する剣術だけじゃなくて、前の世界に存在する剣術も踏め組めたもののいいところだけをわかりやすく解説して、応用できる余地を残した授業をした。やはりそこら辺の子供を拾ってきたら3年そこらで大剣豪だ。


 他にも前の世界の進んだ戦術論とかもまぁざっくりと教えこんだ。後片手間に心理学とかその他もろもろ。正直文化レベルが数百年単位でぶっとんでしまっている。ある意味当たり前なのだが、その結果がとてつもないことになった。


「先生、いや師匠! アタシ、とうとう無刀取りまで来たぜ!」


「……そろそろ自分で魔法かんがえたい」


「見てみてっ、分身の術! すごいっしょ!」


「ふふ、こうやってお話してるだけでも色々と分かるんですね」


「驚きました。わずか3ヶ月で私達をここまで育て上げるとは」


 驚いたのはこっちですけどね。竜人マジ半端ない。1人は龍神だけどそれは気にしない。

 知識の上だけなら彼女ら五人全員が帝都直属の近衛騎士団で隊長以上を任せられるくらいになってしまった。どうしよう完全に予想外だ。

 そもそも剣術や魔法の極みだってあくまでこんなのもあるんだよ、いつかは使えるように頑張ってね! てな感じの発奮材料になればいいなー程度のモノだったのに全員が得意分野に限ってはちゃっかり習得しててお話にならない。

 しかも個人個人の得意分野に関してはもはや新しいカタチにすらなってるし。こいつぁヤベェ。予想を超えすぎてて参考資料を考え直さきゃいけないレベルだ。


「あ、あー。ボクが思っていたよりも皆ずっと、いやほんとずっと早く基礎を修めてくれた。今日からはお待ちかねの、個人授業に移りたいと思う。まずはグループ分けするね。授業はもちろんひとりひとり別の内容だけど、似通ったところもあると思うから詰まったら相談してみてほしい。わかった?」


 はーい、と間延びた声。お前ら自分がどんだけすごいか分かってんのかと思ったけど、比較対象がいないのでそりゃわからないか。具体的な例はさっき考えたとおりだ、自重しろ。

 しかしこれは困った。次のことを教えようにも教科書となるものがないのだから教えようがない。ここまできて得意分野以外を伸ばすというのも面白くない。

 全部が突き抜けてるタイプより1つが突き抜けてるタイプが好きなのだボクは。なーんかいい方法ないかなーとアカシック・レコードで検索かけまくってたらナイスアイディアが閃いてしまった。

 ぱん、と手を叩いて注目を集める。


「皆、思った以上のスピードで成長してくれたね。正直教えることもほとんどなくなってしまったよ」


 しかし、と言葉を続ける。3ヶ月の授業程度で彼女たちとの仲は深まったけど信頼度が全く足りないのだ。部下にするって言うならもうちょっと信頼してほしい。ボクからの信頼度は既にMAXだ。これだけ成長してくれれば言うことなし。


「ここまで技術を磨いた人物っていうのは正直な所この世界を見渡しても君たちぐらいしかいないってレベルになってると思う。ボクもここまで成長してくれるとは思ってなかったからね。ただ君たちには技術に応じた経験が全く足りていない。これは非常によろしくない」


 また一拍置く。ボクは元来長いことしゃべることが苦手だし好きじゃないのだ。許してほしい。


「君たちには実戦経験を積んでもらおうとおもう」




 3ヶ月。一年のうち四分の一という決して短くない時間を授業にだけ使っていたというわけではもちろんない。なにせこの世界でのボクは後ろ盾も一切持たない得体のしれない人間であり、おまけに人間から見れば下等生物である魔族とつるんで何かしらやっているという出来れば関わりあいには有りたくないであろう人物なのだ。

 そんな訳でこの3ヶ月、ボクは地元の方々と仲良くするように務めたのだ。魔族とつるんでるといってもボクは見た目人間であるからして、最初の警戒さえ解いてしまえば仲良くなるのはそれほど難しくなかった。初対面の人とでも気さくに話せるように育ててくれた両親には感謝せざるを得ない。


――話が逸れてしまった。

 とにかくこのゼノウ島の島民の方々とボクはそこそこ仲良くなることが出来た。少なくとも頼み事を頼まれるくらいには。

 そう、経験を積ませる場をボクは既に用意していた。彼女たちの能力からすれば赤子の手を捻るレベルのものではあるけれど実際に技術を使うことで見えてくるものもあるのだ。

それに竜人という魔族でありながら人助けをする彼女たちの姿は島民に悪くない印象を与えるだろう。これがこの後のことを考えるとかなり重要事項になってくるけど今はとりあえずおまけ程度で。


そんなこんなで、彼女らのお手伝い大作戦(命名ボク)は幕を上げたのだった……。

5/26 改訂

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