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魔王様はこの世の全てをご存知です  作者: いせえび
西部魔族解放戦線
29/30

情報が届いたよ。

相変わらずの鈍足更新で申し訳ありません……。

「で、デカイ口叩いた割にはこの一週間お前は俺ン家でタダ飯喰らいしてたわけだが。申し開きがあるなら聞くぜ?」


「いやいや、これは本当にどうしようもなかったっていうかさ! 大丈夫だよ今日から動くし!」


 『西の反乱』に加入してから一週間、ボクは特にすることもなく悠々自適の居候生活を楽しみ……もとい、強いられていた。ボク個人は『西の反乱』の中ではちょっとクレイジーな新入りに過ぎないし、戦闘能力を始めそういった能力も一般人並みかそれ以下なのでそもそも動きようがないのである。

 ただ、一週間くらいすれば向こう側から連絡が来るだろうと踏んでのあの宣言だったのだ。オースはそこら辺ちゃんと聞いていたんだろうか。


「ん? なんだよその顔は。人の家に一週間も世話になってんのにその家主をどうしてそんな哀れむような顔で見てんだよ!?」


「ん、なんでもないよ」


「なんでもないって顔じゃなへぶっ!」


 大きな声をあげようとしたオースは頭上から降ってきた何かが直撃し、目を回していた。というか人を踏んじゃダメでしょうが。ボクはそんな教育をした覚えはありません。


「着地せーこー。せんせー久しぶりっ!」


「いやいや成功してないから。早くどいてあげなさいって」


 この細い裏路地の上から降ってきたのはご存知ボクの生徒、諜報担当のリーズである。足元のオースを見て、しまった! という顔をして、いそいそと横に移動した。オースはまだ目を回している。


「改めて久しぶり。そっちはどうだった?」


「んー、とりあえずお城の詳細な地図とか、警備の状況とか、あとあと各地に派遣してる内偵のこととかめぼしいことは調べ終わってるよー。ほらほらほめてほめてー」


 さすがのリーズである。彼女に任せておけばたいていの情報は手元に入ってくるし、なんだかんだ彼女が一番生徒の中で動いてもらっているな。ここは素直に褒めておこう。


「んー、よしよし。情報は後で詳細を伝えてね。お城での暮らしはどう?」


「いやー過ごしにくいったらないよ! ご飯はまずいし、ベッドも硬いし、夜な夜なあの太った人がニヤニヤ幻影を連れてどっか行くし。もちろん幻影ってことはバレてないんだけど! 連れてった後何してるか気になったけど誰も教えてくれないし見に行こうとしても全力で止められちゃうし。退屈で仕方ないよー。はやく作戦開始しようよー。はいこれ情報!」


 大公子サマはなんともお盛んなようである。そりゃまだ子供のリーズに何が起きてるかの説明なんてできるわけもない。おそらくメリアがうまいことごまかそうとしたに違いない。お疲れ様ですと言ったところだ。

 それにしてもよほど退屈だったのだろう。後で、と言ったのに既に情報を念話で頭の中に送り込まれた。幸い僕は物覚えがものすごくいい方――それこそ星一つの記憶全部を把握できるくらいには――なのでて早く頭の中で整理する。さーてどうしたものだろうかな……。


「おいエイシャ! これは一体全体どうしたことだよ! あのクソに連れてかれたんじゃないのかお前の旅仲間の娘たちはよう。なんか会話の端々から不穏な空気漂ってんぞ!?」


 オースが再起動したようだ。いろいろと混乱しているようで口早にまくし立ててくる。うるさいし鋭い牙がボクの顔スレスレまで迫ってきて怖い。


「ねーせんせー、このおっちゃん何者?」


「初対面の娘っ子にまでおっちゃん呼ばわりかよ!?」


 あ、ショックのあまりかオースの動きが止まった。リーズ、よくやった!


「んー、彼はオース。この街で活動してるレジスタンス『西の反乱』のメンバーだね。リーダーと面識もあるし、個人としての戦闘能力もなかなか高いみたいだよ。なんせ隊長格らしいから」


「へー、先生もただ一週間遊んでたわけじゃないんだね」


 だからどうしてボクの印象はそんなんばっかりなんだ。ショックのあまりボクも固まってしまい、首をかしげたリーズと、固まった若干二名が薄暗い路地裏に立ち尽くしていた。


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