行動開始?
「仮にも反政府組織のリーダーと喋ってるってのに変わらずへらへらしっぱなしとは、なんだかんだお前本当に大物なのかもな?」
「褒めてくれて嬉しいけどそもそも大物も大物で魔王様なんだってボクは。おっちゃんもわからない人だなー」
「わかったわかった。というかエイシャよぅ、お前そのおっちゃんっつーのやめろよな、俺はまだそんな歳じゃねぇぞ?」
「じゃあなんて呼べばいいかな?」
「お前なぁ」
おっちゃんは呆れたように頭をかいて、ため息。
「本当に話聞いとけよ。俺はオースってんだ。あんだけ歩きながら話してたのにこれじゃ流石に凹むぜ」
「あはは、ごめんねオース。それで、新入りのボクは団体の皆さんに挨拶とかしなくていいのかな?」
「ん? 別にいらねえよ。そんな全員がなかよしこよしって集まりでもねえしな。あくまであのクソッタレの目に物見せてやりたいって連中の集まりだから、面識がない奴の方が多いくらいだぜ」
少なくとも今日は俺の知り合いはいねえみたいだな。と、オースはあたりをぐるりと見回して続けた。知り合いがいるのなら是非とも知り合っておきたかったんだけど、しょうがない。それは後回しにして、もう1つのブランを――。
「お前、まさかとは思うが人族か?」
そう言って話しかけてきたのは、一見すると人族にも見える男だった。一見すると、というのも簡単な話で、腕の手首から二の腕の中間あたりから折りたたんだ翼が生えていたいたからである。魔人の中でも比較的珍しい、自らの身体だけを使って空を飛ぶことのできる翼人という奴だ。もちろん一口に翼人といっても、翼の形状とか、人間的な部分がどれくらい残っているかとか個人差はとても大きい。今回ボクに話しかけてきたのは、黒い翼の男だった。カラスかな?
「んまー。そうだよ! エイシャって言うんだ、よろしくね!」
何はともあれ挨拶は大事だ。握手を求める意味で腕を差し出す。
「俺はレイブンだ。生憎だが、お前とよろしくする気は無い」
差し出したボクの手を一瞥して、レイブンはそう告げた。というか名前がそのまんまだな、とか関係のないことをボクは考えていた。
「俺はあの大公子も嫌いだが、それ以上に人族が嫌いだ。名目上は平等だのなんだの抜かす癖に、実際は俺ら魔族のことを見下している。唾棄すべき連中だ。ここのリーダー以外はな。ここの連中は俺のような考え方をする奴の方が多い、命が惜しければさっさと元いた場所に戻るんだな」
言い捨てて、部屋から出ていってしまった。握手をするための腕は結局相手を失って宙ぶらりんのままだ。悲しい。
「まぁ、なんだ気にすんなよ! リーダーはお前のこと気に入ってるみたいだし、俺もお前のことは疎ましく思ったりなんかしてないからよ!」
「ん、ありがとねおっ……オース。ボクってばすごく傷つきやすいからそうやってフォローしてもらえるとすごく嬉しいよ」
「そうかそうか。でもちょっと気色悪いぞ」
「あんまりだ」
それで、ボクらは顔を見合わせて笑った。その後にボクは一言。
「で、あのレイブンって人スパイっぽいし、ちょっと探りを入れてみようよ」
「がはははは……は?」
オースは笑った顔のまま固まった。




