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作戦、また変更するの?

 ロベルトに連れられてやってきたのは、館から少し離れた場所にある建物の前。結構大きいことから考えてもおそらくは傭兵たちが詰めているのはここなんだろう。言っちゃなんだけど結構汚い。ボクと比べて随分な待遇の差だな。五百人もいる傭兵にあれだけの待遇っていうのもありえない話ではあるけど。

 それよりも問題なのは何故か建物から出てきているたくさんの傭兵さんたちや、なんだかニヤニヤし始めたロベルトとか、後の自慢の生徒たちに向けられる不躾な視線とかである。ここでフリオの戦力を削るっていうのは勘弁願いたいところなのだけれど。


「わざわざお出迎えご苦労さまです。もう戻ってもいいですよね」


「オイオイ、まだ用件の中身すら言ってねえだろ? そう焦るなって」


 がさがさ、と道の脇から音がしたと思ったらそっちからも傭兵さんたちがこんにちは。揃いも揃って下卑た笑いを顔に貼り付けている。もう少し心の中を隠す努力をしてほしい。


「簡単な話さ。俺らのボスはどういうわけかアンタの持ち物に指一本触れるななんてアホな命令を俺らに下しやがった。折角の上玉が五人もいるのに、だぜ?」


「これは驚いた。まだ子供もいるんですけどね。それにしてもフリオ様がすぐにボクのお願いを聞いてくれる人で良かったですよ。せっかくのコレクションに傷を付けられるなんてたまったもんじゃない。そんなくだらない事をいつまでもほざきやがるなら部屋に戻りますよ」


「なーに、ちょっと俺らに()()()くれるだけでいいんだ。こっちのクソ共の中には小さい方がいいやつなんてのも普通にいることだしな? アンタだって五体満足でいたいだろう?」


 ちょーっと反抗してみればすぐ脅し文句をかけて来た。そりゃ客観的に見れば、傭兵の言葉を疑わずにホイホイついてくるお馬鹿さんと見た目はただの美少女が五人しかいないのである。百人を超えるような人数で囲んでいればそりゃ負ける気はしないわな。

 一応ラグとルドの戦闘力についても噂程度はフリオから聞いてはいるんだろうが様子を見るに大したことはないと考えているらしい。確かにいくら腕っ節が強かったり魔法が飛び抜けていても圧倒的人数差があれば叩き潰せると判断したのだろう。通常であれば全く問題ない判断なのだが哀れ相手が悪い。


「あー、面倒だな。ルド、ラグ。殺さない程度に鎮圧しろ」


「へへっ、待ってましたぁっ!」


「敵……、半分こする」


 はりきりだすラグと、何やら物騒なことを言い出すルド。半分こっていうのはやっつける人数のことだと考えて良いんだよね、ね? 物理的半分こだと殺しちゃうから絶対ダメだからね。


「へへっ、竜人だかなんだか知らねぇがこんだけの人数に囲まれてどうにか出来るもんかよ! お前ら、今夜はお嬢ちゃんがたに楽しませてもらうとしようぜぇ!」


 ロベルトが気勢を上げるが、彼にとっては残念なことに傭兵たちの声は後に続かなかった。周りを見渡せば一目瞭然なんだけど……。


「はっ、はぁぁぁ!? ど、どうして俺以外全員ぶっ倒れてやがんだよ!」


 そんなの二人がやったに決まっているじゃないか。戦闘にはまったくもって向いていないボクの目では何故か一瞬で敵軍勢の向こうまで駆け抜けた後のラグの姿と、何か使い終わったっぽい魔法陣をたくさん展開していたルドの姿を捉えるのが精一杯だったけど。

 あちこちからうめき声が聞こえてくる辺り言いつけを守って殺しはしなかったみたいだけど、これほとんどが再起不能レベルになってないかなぁ。なんていうか、死んでいないってだけでとても戦闘を行える状態じゃないよ……。大きな怪我をさせないようにも言っておくんだったな。次からは気をつけよう。とにかく次善の策を練らないといけない。あー、アイディアとか振って来てほしいなー。


「はは、何だこいつら……。意味わかんねえ……。へへっ、ひひひひひ」


 目の前で起きたことが理解のはるか外だったせいか哀れロベルトはちょっとおかしくなってしまったようだった。治す義理もないし世間のことを考えればむしろ放っておいたほうがいいな。

 さぁ、策を考えないと……、このままじゃフリオが兵力不足で叩き潰されてこの話が終わってしまう。もう! 誰かボクの代わりに作戦考えてよ!


(わたくし)に良い案がありますわ。よろしければお耳に入れてくださらないかしら?」


「あれー、ベロニカじゃん! 気ぃ失ってたんじゃねーのか?」


「私こう見えましても失神には慣れてますのよ。それで、そちらの方がラグの師匠様ですか? なにやらお困りのようですけれど、私で良ければお力になりますわ」


 つい声に出してしまった心の叫びに答えてくれたのはラグでもルドでもリーズでもユアンでもレイシアでも無く、攫われてきたお嬢様こと、ベロニカ=ガゼット様だった。失神から立ち直ってるのはいいけどどうしてボク達の後をつけるようなことをしていたんだろう……。

 そしてリーズ、君その顔はわかってて言わなかったな。君も後でラグと一緒にお仕置き決定。覚悟しておくように。そんな顔しない。


「おや、考えがお顔に出やすい方ですのね。私は単に 面白そうだと思いましたので後を付いて行かせていただいただけですわ」


「そんなに顔に出てましたかね? それで、ボク達は面白かったですか?」


「最高ですわ!」


 満面の笑み。美人だけど笑顔は可愛らしいといった表現がよく似合う。どうしてそんなに上機嫌なのかはわからないけどさ……。


「私、もうあの家はうんざりですの! これからは貴方に着いて行ったほうが面白そうですわ! とりあえず私がここの領主になろうと思うのですけれど、構いませんわよね?」


 いやいや、理由もおかしければ提案もおかしいですよお嬢様。

5/5 誤字修正

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